【春告草に誘われて】・3(未来家族設定)
2015年03月20日 (金) | 編集 |
【設定】

未来家族設定 ・  オリキャラ有り ・ 原作外設定有り





夕鈴は立ち止まって考え込む風もなく、更に言うなら当てども無く探しているとは思えない足取りだった。
先ずは嘩鈴の部屋から近い庭園、次に花が咲き乱れている花壇。
そして鳥たちのさえずりが聞こえてくる四阿・・・室内に戻る事もなく、
後宮の主だった庭園などを廻っていた。

その夕鈴の後を、ひそひそとお互いだけに聞こえるように会話しながら付いて行く二人の姉弟。

「母上は、さすがと言うべきですね。嘩鈴の行きそうな場所は把握されています」
「まぁ、嘩鈴がこんなに天気が良い日に部屋に閉じこもって、
書物なんて読んでいる筈なんてない!!と分かっていらっしゃるのよ」
「確かにそうですね・・・・誰も室内にいるだなんて思わないか」
「それにしても、嘩鈴はお父様を何処まで連れだしているのでしょうね。
お母様でも分からない所って言うのが気になりますわね」

そこで二人のヒソヒソ会話は途切れた。
・・・と言うのも、夕鈴が急に振り返り付いて来る二人に疑問を投げかけたからだ。

「ねぇ、二人とも・・・まさかと思うけど嘩鈴の居場所、分かっているんじゃないの?」
「いえ、解りませんよ(これは、ほんとです!!)」
「わたくしも存じませんわ!!(嘩鈴の行動範囲は広すぎて、特定できませんわ!!)」
「そうなの?でも、ヘンだわ!!嘩鈴はきっと一人ではない筈よ!!
もしかして陛下と一緒なのではないかしら?」
「何故、そう思うのですか?母上」

これは母親の勘なのか?それとも夫婦愛なのか???
お母様って、何故なのか分からないけれど、ヘンに鋭い時が有るのよね。

二人はかなり焦っていた。
ここで嘩鈴を探すのをやめてしまったら・・・全ては水泡に帰すから。

「母上・・・・私達では、あの嘩鈴を探すのは無理でしょうから、頑張って下さらないと」
「ええ!!!あのお転婆公主は、お母様でないと見つける事は出来ませんわ」

秦鈴は後ろから夕鈴の腕に自分の腕を絡ませ、ニッコリと微笑むとそのまま引っ張って行く。
普段は人前でそう言う事をしない秦鈴の意外な行動に驚きながらも、
夕鈴は何だか嬉しくなってきてフフッと声を立てて笑った。

「じゃあ、秦鈴!遥翔!!二人とも協力して頂戴ね」
「「はい!!」」

三人は連れ立って歩きだした。
しかし大体見当をつけた所は一通り廻ってみたが見つからない事もあり、
正直あとは何処を探すべきかが分からなくなっていた。

其の時。
頬を撫でる風が目の前の丘の上から、サァ~~と吹き下りてきた。
その風に乗ってやってきたのは、馥郁(ふくいく)とした花の薫りだった。

「この香りは・・・・・梅の花ね」
「そうですわね、お母様。行ってみませんか?」
「ええ、行きましょう~~」

女性二人は、弾かれた様に丘を駆けあがって行く。
其れをゆっくりと眺めながら歩く遥翔。
頂上に着いて見降ろすと、其処には捜していた嘩鈴の姿があった。
それも黎翔と共に・・・・・・。

其れを目ざとく見つけた夕鈴は、尻込みして元来た道を帰ろうとしていた。
ところが其れは叶わなかった。
二人の子ども達が後ろに立ち、帰らせまいとしていたからだ。

「お母様、参りましょう。梅の花は春告草とも言いますから、一緒に春を感じましょう」
「そうですよ。ここで引き返すのは勿体無いと言うものですよ」
「・・・・・・・・そうね」

夕鈴はしぶしぶ二人に連れられ、梅の咲き誇る庭園までゆっくりと降りて行った。




続。




2013.04.08 初出
関連記事
スポンサーサイト


コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック