【春告草に誘われて】・1 (未来家族設定)
2015年03月20日 (金) | 編集 |
【設定】

未来家族設定 ・  オリキャラ有り ・ 原作外設定有り








随分冬の厳しさも和らいできた頃、後宮の一角のある一室の中で重要秘密会議が行われていた。
出席者は男女混合の三人・・・・言わずと知れたこの白陽国の王位継承者である三人、
夕鈴と黎翔の宝物である子ども達であった。

三人は仲良く頭を突き合わせ、真剣な表情で会談しているようである。

「大体、如何いたしますの?何とか手を打たないと」
「姉上は、頭が固すぎます。そんなのは成り行きに任せるのが一番良いのです!!」
「では、放っておくというの?」
「そうは言っておりませんよ」
「嘩鈴は良く分かんないから、姉さまと兄さまの協力するから早く~~~」

これだけでは、一体公子達が何を話し合っているのかよく分からない。
・・・・窓の外から護衛しつつ、聞き耳を立てている浩大の所見であり。

確かにこれだけでは分からない。
それには、もう少し話を聞く必要がある。

浩大は周りの気配、特に鼠どもが徘徊してないかを探りながらも
耳だけは室内に飛んでいた。

「成り行き・・・って言って待っていても、事態はきっと好転しませんわよ。
そしてこのままではお母様が里帰りしてしまう事だって有りうるのですよ。
そうなれば、その後この王宮がどんなモノになるかくらい容易に想像がつきますでしょ!!」
「そうですね、確かに母上が里帰りされた時の父上の状態は酷い有り様ですから、
犠牲者はどれくらい出るのか想像もつかないですね」
「いっちばんのギセイシャは・・・李順だよね~~~」
「ほら、嘩鈴(かりん)ですら分かっていましてよ」

一番年長である秦鈴(しんりん)が弟の遥翔(ようしょう)に窘めるように言う。
そして遥翔は何か良い手がないか、腕を組み真剣に考える・・・その父親譲りの深紅の瞳で一点を見詰めながら。

「では、態とらしくではなく二人きりの状態を自然に作りだすのであれば、どうです??」
「先ずは其処が手始めですわよね。何しろお母様は徹底してお父様を避けておいでだから」
「まぁ、父上と一緒におられれば、その内うやむやにさせられますからね」

末っ子の嘩鈴は上の姉兄の話を引き締まった表情で聞いていた。
自分もチャンと加わっているのだと主張するかのように・・・。
そして、上の二人に提案してみる。

「じゃあ、嘩鈴がやるの~~」

二人は待ってましたと言わんばかりでニヤリと微笑み、瞳が輝き出す。

「では、嘩鈴!!頑張って戴きましょう!!」
「出来るかな~~?」
「できるもん!!」

末っ子の夕鈴譲りの負けん気の強さは姉兄妹(きょうだい)ではピカイチで、
どう言えばその負けん気を引きだす事が出来るのかを知っている上の二人は、
上手に嘩鈴を誘導する。

「では、方法は嘩鈴に任せてもいいのですか?」
「うん!!!」

大きく胸を張って返事する嘩鈴の頭を遥翔はくちゃくちゃと撫でまわし、
頑張れ!と無言の声援を送る。
それを合図に立ち上がると、嘩鈴は勢いよく戸を開け広げ出て行った。


「ねぇ、あれで良かったのかしら?」
「??・・・嘩鈴に任せた事ですか?」
「ええ」
「大丈夫ですよ!!ああみえて、嘩鈴はちゃんと『狼陛下』と呼ばれる父上の血を引いているのですから。二人の仲直り作戦くらい上手く立てられますよ」
「まぁ!!よく言いますわよね・・・遥翔が一番父上の気質を受け継いでいる癖に、全く人の悪い。」
「そんな事はありませんよ!!現に嘩鈴は自分から言い出したではありませんか!!」
「・・・・・・・・」

二人がこんな会話をしていた事は嘩鈴には到底思いも寄らず、
真っ直ぐに夕鈴がいるであろう国王夫婦の部屋へと駆けて行く。

そして外では、中での密談を聞いていた浩大が『これは面白そうな事が起きるな!!』と予想し、
ニヤニヤしながら嘩鈴の後を追うべく移動したのであった。


「お母さま~~~~~」

戸をかなりの勢いで開け、中にズンズン入り夕鈴を呼ぶ。
でもどこからも返事一つも聞えず、誰もいない事が窺い知れた。

「あれ?いないんだ~~仕方無いからお父さまの所にいこ~~~とっ!!」

独りごちて、颯爽と回廊を駆け抜け執務室へと向かった。
そして着いた執務室の戸の前で、大きく深呼吸して呼吸を整える。
そうしないと、李順に走って来た事がバレるからだ。
バレると、『公主としてあるまじき行動です!!』と説教され兼ねないから。
ある意味黎翔よりも怖い存在であったのだ、李順は。

身だしなみを確認し・・・走って来たから金茶の髪が乱れており、
それを手櫛で丁寧に綺麗にしてから、戸を叩いた。

「誰だ!!」

中から聞こえてくるのは、不機嫌そうに返事をする黎翔の声。

「父さま・・・・私です・・・嘩鈴です」

ゴクリと息を呑み込み、戸の向こうの黎翔に声を掛けた。
すると直ぐに戸は開き、家族にだけ見せる穏やかな笑みを漏らす父の姿。

「どうしたんだい??そんなに慌てて」
「慌てて来たって、どうして解るの?」
「だって、少し息が上がっているよ」

洞察力の鋭い父には敵わない。
幼い子どもの誤魔化しなんて全く通用しない。
だったら、すぐに用件に入るに限る。

「だって!!父さまとご一緒に春を見つけに行きたくて、慌てて来たんですもの!!」
「春をかい!!」
「はい!!・・・・ダメですか??」

嘩鈴は少し俯き加減に、小さな声で呟く。
その様子を愛おしそうに見つめる黎翔は、直ぐに娘の提案に乗ることにした。

「そうだね・・実は今、丁度李順がいないから脱け出しちゃおう」

黎翔は小さな手を取り、ニッコリ微笑むと二人並んで回廊から庭園へと歩き出したのだった。




続。





2013.02.22 初出
関連記事
スポンサーサイト


コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック