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【意味などとしての水入らず・10】
【設定】

臨時妃 ・ 原作寄り ・ オリキャラ有り ・ 原作外設定有り






「それにしても、夕鈴は全く人が良いんだから・・・あの悠って云ったっけ、黄稜国の官吏の人探しなんか引き受けて・・・急に居なくなるから心配したんだよ。攫われたのかと・・・。」
「スミマセン・・・あんな書き置きだったら心配になりますよね。ただあの時は、ああ書くしか思い浮かばなくて。」
「まぁ無事に見つかったから安心したけどね。それにしても夕鈴が知ったら驚くよ、悠鐸殿の正体は・・・そして、探し人か・・・・其れも母上とは。」
「李翔さん、何か云いましたか?」
「いや・・・夕鈴が無事でよかったってことだよ。」
「はい、有難うございます。」


―――それにしても、悠鐸殿の母上?幾ら友好国と云えど、一介の掃除婦に話しても大丈夫なのか?これは黄稜国の一大醜聞だぞ。
それほどまでに切羽詰まっていたというのか??

「ねぇ、夕鈴。当てはあるの?」
「そうですね・・・・飯店で聞こうと思ったんですが、其れは後にするとして・・・・さっき思い付いたんですが、このあたりの長老と呼ばれる方々に、聞いてみようかと。」
「・・・・・そうだな。」

二人は普段集会所の様になっている、昔から操業している茶店に行ってみることに。
黎翔は二人きりで歩いているのが嬉しくて、隣りでブラブラさせている夕鈴の手をさり気無く取ってみた。

「☆!★・・・・・あの・・・・手。」
「??何か云った?夕鈴。」

二ヤリと意地悪く微笑む黎翔の行為を、誰が止められよう____熟れた林檎の様に色づく頬と、徐々に上昇していく体温にじっと耐えるだけの夕鈴。

「いえ・・・・何でもないです!!」
「そう?」

―――夕鈴の承諾も得られたことだし、張り切って人探しでも何でもしようではないか。

―――此処は往来で、しかも下町・・・そして私は今は一介の庶民。陛下が手を取る必要はない筈。でも、振りほどけない私がいる、それに喜んでさえいる。これって許されるというの?

夕鈴の自問自答が続く中、平然と手をシッカリ握ってウキウキの黎翔であったが、其れを邪魔するものが目の前に飛び込ん来た。

「あ~~見つけた!!!李順さんが帰って来いってさ!!」
「浩大・・・・・・・お前な。この状況を把握した上で声を掛けたのだとしたら、その度胸だけは買おう。」
「・・・・・・・・やべっ、すいません。オレっち、帰ります。」
「ねぇ、浩大。イイところに来てくれたわ。此方の方にお帰りになって欲しいのだけど。」

夕鈴は繋がれた手をさっと離し、黎翔との距離を取る。
距離を取られた黎翔は・・・・・勿論良い感じがする訳がない!!

―――マズイところに声掛けた感じだよな。これはどうにかして元に戻しておかないと後が怖いことに。

「あっ、まだ帰れそうにないって報告しておきますです!!」

―――ここは退散するのがオレの為!!!

「そうだな、そう云っておいてくれ。頼んだぞ、今すぐにな。」

紅い瞳が鋭く光り、射殺しかねない形相になっている。
自分自身の保身のため、浩大が素早く夕鈴に耳打ちする。

「お妃ちゃん、陛下の事頼んだよ。オレが李順さんの方をどうにかしておくからさ・・・帰っても絞られないように。」
「????」
「だから・・・・兎に角、オレを助けると思って。」

其処まで云うと、浩大は『失礼!!』と断りを入れて夕鈴の手を取り黎翔の掌に乗せてニタッと笑った。

夕鈴は訳が解らず、でも浩大の助けてって云う必死な瞳を受けてそのままにしておいた。
黎翔は当然とでも云う様に、その乗せられた手をシッカリと握り、破顔したのだった。
其れを見た浩大がホッと胸を撫で下ろして、その場をさっさと後にした。
これ以上実害が及ばぬうちに。

浩大が消えて行ったのを確認したうえで、黎翔は繋いだ手を引っ張って探し人再開を促す。

「夕鈴、早く行こうよ。」
「えっ・・・そうですね。」

二人の長い影が道に伸びていくのを、木立ちのてっぺんで見守っているのは追い返された筈の隠密。
見られているとは気付かない夕鈴は、目的地に向かってスタスタ歩いていくのだった。

そして着いた先は、町中の一角にある茶屋。
長老たちは、日がな一日お茶を手に屯って、人生についてかどうかは分からないが、
議論を交わしている場である。

「「あぁ~~~~~、青慎(姉さん)も此処にきたの??」」

その場所にたどり着いた夕鈴は、同時にやってきた青慎を見て声を上げた。
汀姉弟のピタリと重なる声に残りの二人は居ずまいを正し、後ろで苦笑いを呈していた。

「だって、下町の事は生き字引の長老たちに聞くのが一番かなぁ~と」
「青慎!!偉い!!さすがに私の弟だわ。官吏登用試験受かるのは、間違いなしよ!!」
「姉さんったら、こんなところで・・・。」

青慎が自分と同じ考えだった事に感動する夕鈴は、思わず満面の笑み。
そのまま青慎の隣りを陣取り、集会所となっている茶店の戸を力を込めて開く。

「さぁ、行くわよ!!」

青慎を引き連れてズンズン入って行ってしまい、残されたのは黎翔と悠の二人。
夕鈴の後についていくのかと思いきや、その場で立ち止まり茶店の入口を見詰めていただけだった。

「・・・・・・全く、夕鈴は必死になると、周りが見えなくなるな。」
「そうみたいですね。」
「それにしても、これって『置いてけぼり』ってことだな。」
「そうなりますね。入りますか?」
「いや、いい。これ以上、不用意に町のモノと関わるのは避けたいからな。」

そう云ったっきり、黎翔は腕を組んで道脇の壁に凭れて立っていた。
道行く若い女性達がすれ違いざまに振り返るのを、興味もなげに流し見していた。

其れを少し離れたところで観察している悠。
やはり、二人では会話なんて弾む筈もなく、ただ通りの喧騒だけが耳に入ってくるのだった。

「すみませ~~~ん、お待たせしました。ってあれ??お二人如何されましたか?」

離れた所で立って手持ちぶさたな二人を見つけると、夕鈴は二人の怪訝な様子への素直な感想が口から飛び出す。

「どうもしてませんよ・・・夕鈴さん、どうだったでしょうか?」

やはり結果が気になる悠が、先に口を開く。

「・・・・ゴメンナサイ・・・どなたに聞いても『悠那』って女性は、聞いた事はないですって・・・・。」
「そうなんですね・・・・・。」

悠の項垂れた様子に、夕鈴はどうにかしても見つけて差し上げたいと意欲が湧いてくる。

「諦めちゃ駄目ですよ!!まだ、捜しようは、きっとある筈ですから!!ねっ」

ニッコリ笑って、悠を元気づけようとする夕鈴。
その様子に黎翔がイイ気分な筈はない____________。

「では、夕鈴、また手分けして捜すことにするか。」

それまでは話にも加わってない様子だったのだが、ここにきて夕鈴を連れて行こうとする。

「ちょっ、ちょっと、李翔さん、待って下さい!!手分けするとして、またお互いが同じ場所にならないようにしないとですね・・時間の無駄と云うか・・・・だから・・・。」
「ああ、そうだな。」
「青慎、次は如何するの?」
「姉さんは?」
「そうね・・・・・商店会のおかみさん達に聞いてみようかと・・・女性の事は女性が一番だからね。」
「そうだね…じゃ、僕はどうしよう・・・・・あれ?あれは几鍔さん??」

青慎が指を差した先には、確かにまだ遠くであったが几鍔が子分達を引き連れて歩いてきている。

「やばっ!!なんでアイツが居るのよ!!」
「そりゃ、ここは下町だよ、姉さん。」

青慎の言葉を聞き終る前に、夕鈴は隣にたまたま立っていた悠の手首を掴んで、全力疾走でその場から逃げ出したのだった。

―――冗談じゃない!!!この王宮関係の男性二人と一緒の所を見られたら、何を云われるのか解ったもんじゃない!!!

夕鈴の素早い行動に、呆気にとられた黎翔と青慎はその場に茫然と立ち尽くし、几鍔と逢う羽目になる。

そしてその場を去った夕鈴と悠は、当初のおかみさん達に聞いて回ることを実行に移すべく、そのまま商店街へと向かったのだった。


続。
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