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【設定】

臨時妃 ・ 原作寄り ・ オリキャラ有り ・ 原作外設定有り






夕鈴は、二人の先程とうって変わった表情に違和感を覚えていた。
特に悠の黎翔に注がれていた疑心めいた視線が無くなり、どうも愉しげな表情になっている事に、である。

「悠さま、会話は進んでましたか?」

敢えて黎翔に聞かないところが、夕鈴の察しのよさであった。
恐らく、黎翔に尋ねたところで、誤魔化しの回答しか返ってはこない事が解っているから。

「そうだね・・・結構、有意義な話しが出来たよ。」
「????」
「この方、白陽国の官吏の方でしょ!!僕も官吏だから、この国の情勢の事なんかを聞けたよ。」

ニッコリ無邪気な笑顔で、全くそんな会話が繰り広げられよう筈もないのに、ペラペラ話して聞かせていた。
夕鈴は台所だった為、二人の間にかわされた会話は知る由もないことから、適当なことを言ってもバレようない。

まさか、お互いの素性をバラシまくっていただなんて、思いも寄らないのだ。

「そうですか・・・それなら良かったです。それにしても悠さま、ホントに早く人探ししないと時間が有りませんが、お茶をしたらまた出掛けます??」
「そうだね、確かに時間はないよね。夕鈴さん、お願いしたいですがどうですか?」
「はい!!任せてください。」

悠の頼みに、夕鈴の顔がぱぁ~~と明るくなる。

―――人の役に立つって、ホントに嬉しい事だわ!!さっきはヘンなガラの悪い人たちのせいで中断してウチにくる事になってしまったから、張り切らないと!!

そんな夕鈴の様子に気に入らないのは、モチロン黎翔である。

―――大体、夕鈴は人が良過ぎる!!騙されたり、利用されたり・・・ってことも有るっていうのに。
全く人を疑うことを知らないんだから。

でも黎翔は解っていた____________其れが夕鈴の長所であり、魅力の一つである事を。

「じゃあ、早く飲んで出掛けないと!!ですね。」

夕鈴の合図で、四人は無言でお茶を飲み干す。
適度に冷ましてあった青茶は優しく口当たりがよく、乳香が強く鼻に抜けていく感じだった。

「これ、美味しいですね、夕鈴さん_!!」
「有難うございます。結構人気の有る茶葉で、売り切れている事が多いのですが・・・偶々知人が、先日持ってきてくれたみたいなんですよ。」

________知人・・・これは几鍔の事。
相変わらず、夕鈴が不在の汀家に入り浸っている様だ。
青慎の様子を見に来ているらしく・・・その際、色々なものを差し入れてくれるらしい。
夕鈴にとっては全くもって傍迷惑な話しである。
これ以上、アイツに借りは作りたくはないのだから。

まぁ、それはどうでもいいことなのだが・・・・悠の口に合ったので、夕鈴は一応心の中で几鍔に感謝してみたのだった。

「では、出掛けますか!!あっ、青慎も手伝ってくれる?」
「良いけど・・・姉さん、如何するの?」
「何が??」
「・・・・・・・李翔さんにも手伝って貰うつもりなの?」
「えっ??まさか、とんでもない!!!そんな事して頂かないわよ!!(陛下にそんな事させられる訳ないじゃない!)」
「夕鈴・・・まさか僕だけ仲間外れ??そんな事しないよね~~(冗談じゃない!悠鐸殿と二人っきりにさせられるものか!)」

黎翔の紅い瞳がキラリと鋭く光る________________誰にも有無を云わせない意志と共に。

「はぁ~~~解りました。では、李翔さんもお願いします。」

仕方ないと・・・夕鈴の方が根負けで押し切られ、黎翔に同行をお願いしたのだった。
当の本人はホクホク顔で、さっさと二杯目のお茶を飲み干した。


そして____________四半刻後、下町には普段見られないような奇妙な取り合わせの四人組が、下町を闊歩していた。
この異常な取り合わせが引き起こしているこの事態。
道行く人々が、振り返っていく。

但し周りの人はどんな取り合わせなのか解り様もなく、更に云えば汀姉弟も知り得ない事実__________一国を統治する若き王二人が共に歩いている事を。

「では、如何しましょう??何処から捜すのがいいのかしら??それにこのまま四人で歩いていても仕方ありませんし。」

―――それに・・あの二人、何故か目立つのよ。道行く人の視線が突きささってくるようだわ。

「・・・・そうですね。確かに、四人で同じ行動をしていてもですよね。では二手に分かれるほうが良いですよね。」
「では、如何すればいいかしら?」
「姉さんと僕ってことは?」
「それ、良いかも!!では、李翔さん、悠さま。お二人で・・・」

「良い訳がない!!」
「夕鈴さん・・・・其れはちょっと。」

夕鈴の提案を、即座に否定する二人。

其れはそうであろう・・・・これ以上腹の探り合いは勘弁したいし、装っている自分自身を見せたくはないのだから。

「・・・・・じゃあ、如何しましょうか?ここで、探し人の特徴なんかを話して・・・青慎と李翔さんで行っていただくと」
「どうして、そうなるんだよ!!!」
「だって、悠さまはこの下町をご存じないから、私が案内するのが一番かと。」
「では、青慎君でもいいと思うんだけど。」
「?????」

―――どうして解らないのか?夕鈴は・・・君は僕の妃なんだから。決して悠鐸どののモノではない事のだから。

―――どうして、陛下は頑なに悠さまと私が行くのを阻止しようとするのよ。

「はぁ、解りました。青慎、悠さまを案内してくれる?」
「僕はいいけど・・・・・・・・あの・・・宜しいのでしょうか?」
「では、お願いします。」
「青慎、シッカリお手伝いして差し上げてね。それじゃあ、夕刻にあの飯店で。」

____________二組に分かれた四人はそれぞれ別の方向に歩いていった。

夕鈴の横でホクホク顔で歩いているのは、モチロン黎翔である。
己の云い分が通った事にいたくご満悦の様子。

「もう・・・・李翔さん!!!さっきのは何ですか?」
「さっきって?」
「もう、しらばっくれないで下さいよ。私は真剣に悠さまの人探しをお手伝いしたいのですが!!!」
「だから、僕も協力してるんじゃない。」
「・・・・・・それに、王宮に帰らなくても良いのですか??黄稜国の王さまがいらしているというのに・・・。」
「あっ、其れなら全然大丈夫だよ。(だって、その本人が此処にいるんだから)」

黎翔は、片目を瞑ってニッコリ笑顔。
反対に大きく息を吐き出す夕鈴。

「今頃・・・・・・・李順さんはどうしているのかしら・・・・・・・帰るのが恐い。」

気がつけば、夕鈴は思っている事が自然に口について出ていた。

「大丈夫!!さっき浩大に報告に行かせたから。」
「・・・・・・・・・益々もって帰るのが恐いです!!」

夕鈴は歩きつつ、顔が引きつってくるのを感じ戦々恐々と為っていた。


こんなことで人探しなんて出来るの???
モチロン______________出来る筈なんてないのじゃないのよ~~~

__________夕鈴が胸中で大声を上げている頃。


王宮の執務室では、眉根を寄せて苦々しい顔つきで、浩大の報告を聞いている御人が。

「はぁ、では、夕鈴殿と居なくなったのは、黄稜国の国王陛下、その方であると?」
「そうだよン♬」
「更に・・・夕鈴殿のご実家で、陛下と鉢合わせて行動を共にしていると?」
「そう為るね~~~~。」

李順は湧き上がる苛々感に、更に頬が引きつってきている。

―――こええ、さすがに李順さんってとこか・・・お妃ちゃん、結構マズイよ!これは・・・・。

「それはまた、厄介な事ですね。何をやっているんでしょうね?夕鈴殿は・・・・・これは減給だけで済むと思ったら大間違いナノですからね。」
「でもさ、お妃ちゃんは不可抗力だったんだと思うよ。」
「・・・・・・・そうですか・・・・・解りました。では、陛下に速やかにお戻り頂くようにお伝え下さい!!!『もう探し人は見つかったのでしょう』と」
「りょ~~~~~か~~~い。」

―――但し、素直に戻る事はないと思うけどね・・・・。そんな事は李順さんでも解ってるだろうに・・・・側近って大変なもんだな。

浩大は、結果が解っている頼まれ事を遂行するために、また王宮を後にした。

そして李順は苛々の捌け口を、何処に向けるべきかが解らないまま、卓上の書簡を黎翔の卓上へと横滑りさせたのだった。

これで、黎翔が戻り次第、書簡に追われる事は必死。
そして夕鈴がこってり縛られるのは確実。

やっぱりいつも通りの光景が待っているのだった。

其れを予感しつつも、夕鈴は本格的に人探しを開始していた。



続。
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瓔悠

Author:瓔悠

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