【約束は、叶える為にある・1】
2017年06月30日 (金) | 編集 |
【設定】

夫婦設定 ・ 原作寄り 






私には、ただ一つだけ。
叶えたい、いや叶えるべき約束がある。
でもその約束は誰としたものなのかは定かではないけれど。
それでも、それは絶対に叶えないといけない『約束』だという事だけは覚えてる・・・。

それを思い出せない私は、鬱々とした気持ちになってしまう。
だから、私は青々とした空を見上げて精一杯微笑むの。
そうすれば、きっと幸せが転がり込んでくる筈だから―――。


「おいっ、お前はまたあそこを見詰めて・・・・何してるんだよ」
「あっ、几鍔」
「そんな切なげな表情で見てるんじゃねぇよ」
「そうね・・・でもね、何でだろう?分かんないけど、何となく気になるのよ」
「ふぅん、そうかよ。で、何か思い出したのかよ?」
「う~ん、特に無いかな。さぁ~てと、仕事に戻りますか!」
「おうっっ、じゃあな」

そう言って、背を向けて歩き出したのは私の幼馴染である几鍔。
口は悪いが、何かと私に気を配ってくれている。
昔は正直言って鬱陶しいと思っていた事もあったけど、
こうしていつも気に掛けてくれている様子を見れば、有難いと思える様になっていた。

―――それは、私が成長したという事だろうか?
そう、大人になったって事で・・・・・・・大人?
私が、大人ねぇ。

その違和感が有りまくる私の感覚が、私を惑わせる・・・・の。

今、私は下町の或る場所でバイトをしている。
これは生活の為でもあり、もう一つ大きな理由があった。
実は――私には、ここ何年かの記憶が無い。
それを取り戻す為に、色んな人に会って話をして沢山体験して少しでも取り戻せるように頑張っている。

家族に聞いた話だと、私は王宮に住み込みの仕事をしていたらしいけれど。
そこで何かしらの揉め事に巻き込まれて、記憶まで無くして実家へと戻ってきたのだ。
だから正直言って、『もう成人に達している』なんて言われても、
記憶上は17歳だからピンとこないのが現状である。

「夕鈴ちゃん、これを3つ角の先にあるいつものおばあさんの家まで配達してくれるかい?」
「あっ、はい!!」

おかみさんの声だ。
さぁて、仕事に戻らないと・・・・・・。

「おかみさん、これですか?」

店先に置いてある、中くらいの包み。
その中には、生活雑貨が入っている。
ここは、下町一大きな商店『几商店』・・・先程の幼馴染の家だ。
私は、几鍔の口利きでこの几商店で働かせてもらっているのだ。

「そう、それ。お願いね」
「はい、行ってきます」

私は、包みを抱えて元気に店を出て行く。
店の前の道路はいつも賑わっていて、
私はこの賑わいが結構好きで自然とウキウキと心躍っていた。


「いつも元気だよね~お妃ちゃんは」

夕鈴の後を人知れずついて行く人がいるのを、夕鈴は全く気がついていなかった。
その人物が、この国の国王である『狼陛下』の道具である事も。
記憶の無い夕鈴には、顔を合わせても誰であるかも認識することは出来なかった。





続く。






******************


・・・・・新しい話です。
実は、これある企画用の話だったんです。
でもスンゴク長くなりそうで・・・・決められた頁に収まりそうになくて。
なのでボツりました。
でも、勿体無い勿体無い!!
ならば、ブログに載せてしまおう~~と安易な考えが。


そんな感じで、チマチマと書いていきます。
宜しければ、お付き合い下さいませ。

で、企画用の話は何とか思いつきました。
これならきっと長くはならないだろう・・・・と。
締め切り・・・・はい、踏み倒してしまいます。
ははは、、マズイ。
ゴメンナサ~~~~イ。←誰に謝っているのか、ゲスト様には分からないのにスミマセン。
でも、書いてますよ。
チマチマと。
だから、待っててくださいね~~~~~。



そんな感じで失礼いたします。


瓔悠。












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【僕の子守は、てんてこ舞い・前編】
2017年06月27日 (火) | 編集 |
こちらの話は特殊設定のお話になります。

下記の『彩怜シリーズ概要について』の部分をクリックして、
そちらに明記された記事をお読みの上で
お話へお進みください。
もし、その記事内容に一つでも引っ掛かる事がありましたら
そっとリターンしてくださいませ。
どうぞ 宜しくお願いいたします

彩怜シリーズ概要について





【設定】

未来設定(彩怜シリーズ) ・  オリキャラ有り ・ 原作外設定有り









大体、人には向き不向きがある。
それは解っていたけれど、こんなに顕著に出てしまうなんて誰が思うだろうか・・・。

「公子・・・それでは、公主様が泣いてしまいますよ」
「もうっっ、解っているよ!桃簾お兄さん」
「ふぎゃぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

ああ、泣かせてしまった。
ごめんね、不甲斐ない兄で。


*********


こうなったのは、僕の言葉からなんだ・・・・実は。


「母上、今日は確かご公務だったはずですよね?
そろそろお出掛けにならないといけないのでは?」
「・・・・・ええ・・・・」

歯切れの悪い母さんの言。

「どうかなさったのですか?」
「ええ、困った事があって・・・・」
「困った事?」

今日は妹公主が生まれてから、初めての公務。
しかし、いざ公務となった時に困った事が起こったんだ。

「それが・・・・誰が公主を見ててくれるのかを揉めていて」
「揉める?」
「ええ、誰もが『公主様のお世話をしたい!!』と申し出て、決めかねているのよ」
「・・・・・なるほど」

普通ならば乳母が付いているから乳母が面倒をみるのだろうけど、
母さんは乳母を置くことを良しとしなかった。

『彩怜も自分自身の手で育ててきたのだから、
この後宮で公主を育てると言えども同様にしたい』
そうきっぱりと告げて、周りの意見を退けた。

だからこんな時に困ったことになったんだ。

「じゃあ、僕が妹公主のお世話をしていますから。
母上は公務に行って下さい!!」
「彩怜が?」
「任せて下さい!!!!」

僕は、胸を張って答えたんだ。

だって、今日の公務再開には色々すったもんだが有ったのを僕は知っている。
だから母さんには心置きなく公務に行ってもらいたいんだ。


********


そもそも公務を再開する事が決まったのは、ホンの2週間前の事だ――。

母さんは妹公主を産んで半年以上経つ今まで、公務はしてこなかったんだ。
その事について、母さんなりに色々と考え込んでいたらしい。
やはり正妃という立場上、公務は大切だと。
キチンと責任は果たしたいとしっかり者の母さんは思うらしく。
しかしそれを阻止しようとする人物がいたんだ。
言わずもがな、それは父さんで・・・・。
産後しばらくは、父さんが命じて公務を入れない様にしていたんだ。


「乳母もいないのだから、夕鈴は休む暇なんてきっとないだろう。
だから公主の世話がない時はキチンと休んでおくべきで、
公務再開を急ぐことなんてないよ」
「でも、そういう訳には・・・・」
「私が『良い』っているんだから、君は夫の言うことを聞くべきだよ」

それで一度は公務再開は先送りになったんだ。
でもそれで終わるはず筈は無く―――。
2週間前に、母さんがそろそろ公務を再開したいと再度父さんに申し入れた。
しかし、父さんは何かと理由を付けて再開させようとしないのを、
いい加減嫌気が差した母さんが父さんを叱り飛ばして、しぶしぶながら再開を了承する事にしたらしい。

父さんは母さんに頭が上がらない・・・・。
だから何のかんの言っても、母さんの言には最終的には従ってしまう。
それは、恐らく父さんなりの優し故の愛情表現なのだろうけど、
しかしその愛情表現は僕にとってみれば複雑怪奇だ。
だって、父さんって官吏の誰もが恐れる『狼陛下』なんだよ。
だから、奥さんである母さんの言葉に大人しく従うなんてね・・・・・。
まぁ、それはいいとして。

母さんは父さんを前にして臆することなく主張する。

「大体・・・出産は沢山の女性が経験することで、
皆出産後も早々に家事を再開するものよ。
それに、私も彩怜が生まれた時なんて誰もいなかったんだから、
寝ていたりはしなかったわよ。
・・・・生まれたばかりの彩怜を連れて、住み込みしていた宿屋から出て行ったくらいだし」

あっ、母さん。
今、何気に父さんの傷をえぐった・・・よ。
父さん・・・マジで悲し気な表情になっているんですけれど。

「夕鈴・・・・・・・・・・・・ごめん。
あの時は本当に、君に辛い思いをさせてしまった。
もっと自分がしっかりしていれば」
「へ、へいか!!!
あっ、ごめんなさい・・・・・あの、その、あの時はそうするしか」
「解っているよ。
でも自分の不甲斐なさが」
「今はこうして家族が一緒にいるのですから、もう大丈夫です」
「いや、でも夕鈴には苦労を掛けたのだし」
「そんなことはありませんから」

あ~~あ、これは二人の世界に入ったよね。
多分。

やっぱり・・・・・だよ。
二人で抱き合っているよ。
あのぉ・・・・・一応、僕がいるんだけど。
お二人さん、気が付いてる?
二人の世界に入らないでよ~~~。
・・・・・ダメだ、これは。
もう放っておくしかないよね。


僕は、ゆりかごの中でむずがり始めた妹公主をそっと抱き上げ、
そのまま部屋を脱出した。
まっ、そんな事があって。
気が付くと、母さんは公務を再開することになっていたんだ。
母さんってば、父さん相手にどんな手を使ったんだか?!


********


「彩怜、大丈夫なの?」
「勿論、妹の面倒くらい見れるよ。
昔、友達たちが弟妹の面倒を見ていたのを、僕だってちゃんと見ていたし。
それ位出来ないと、兄にはなれないからね」
「そう?じゃあ、彩怜に頼むことにするわ。
もし困ったことがあったら、周りの人に頼ってね」
「うん、大丈夫!!
ほら、早く行かないと・・・・父上がお待ちだよ」
「そうね」

そう言って、僕の腕に妹公主を抱かせると母さんは慌てて出て行った。


さて、まずは何をすればいいんだろう・・・・。
僕の腕の中で眠る可愛い妹公主を眺めて、自然と頬が緩んでいた。


しかし、それは束の間の事で――――。
僕は、如何に子守が大変なのかを身をもって知ることになる。




続く。





*****************


こんにちは!!!


まだ続きモノが色々と書き上がってないのに、
新しいものに手を出してしまいました。

何となく、ふんわりした気持ちになりたくて・・・・。

続き物の事は忘れていません!!
はいっっ!!
張り切って書きますので、
今しばらくお待ちくださいませ。


瓔悠。










有り難うございます (6月27日追記)
2017年06月25日 (日) | 編集 |
こんばんは。


ご無沙汰してます。
先週は色々あって、兎に角忙しくしていまして・・・。

沢山のゲスト様からPASS請求のメールを頂いているのですが
今だ返信出来ていない状況です。

大変申し訳ございませんが、
明日くらいから返信出来ると思います。
もうしばらくお待ちくださいませ。
宜しくお願いいたします。

PASS請求のメール、誠に有り難うございます。
請求だけでなく、感想などのお言葉もあり
とっても嬉しく読ませていただいております。


それでは、失礼いたします。
はぁ~~今から洗濯物干さないと・・・・。
忙しい、忙しい。


瓔悠






6月27日 追記

本日、PASS請求のメール全てに返信致しております。
どうぞご確認くださいませ。

返信が遅くなり申し訳ありませんでした。







【パピヨンの耀き。後編】 (R18)
2017年06月20日 (火) | 編集 |
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作業完了です
2017年06月14日 (水) | 編集 |
こんにちは!!!


先日更新致しました、 【傍迷惑な歓迎・25】の続きにつきまして
記事の最後に『R対応をどうするのか?とキチンと決めて
UPしたい』と明記しましたが、
作業完了致しました。

『R』だけを収めたブログ(Rとは言っても作品数は4話くらいですが・・・)の方の話をこちらに移してきました。
コチラのブログのある場所で公開してます。
あっ、鍵付きです・・・スミマセン、自己防衛の為にPASS付にしています。

で、
入口の鍵である『PASS』ですが、
以前のPASSから変更しています。

大変お手数ですが、PASSが必要な方はブログトップ記事『ご挨拶』内の
『通知事項~入口PASSについて』をクリックしてご確認下さいませ。

*今回、PASSを変更したのは、理由がございまして・・・。
コチラのブログで以前ある連載モノについてPASS付にしていたのですが、
そちらの連載も終りPASSの役目も終了しました。
その連載モノはR作品では無かったので、
そのままのPASSを使用するとR作品なんて読みたくないゲスト様に、
ご迷惑が掛かる事を懸念したからです。

どうぞ、ご理解くださいませ。
コチラの我が儘でゲスト様にご迷惑をおかけするのは心苦しいのですが、
宜しくお願いいたします。



瓔悠。



追伸:

『傍迷惑な歓迎』の続きに関しましては、
ボチボチと書いていきますので
続きの更新につきましては、今しばらくお待ちくださいませ。






【傍迷惑な歓迎・25】
2017年06月12日 (月) | 編集 |
【設定】

臨時妃 ・ 原作寄り ・ オリキャラ有り ・ 原作外設定有り








「もっと・・・もっと・・・・・・」
「まだ、かい?」
「う、うん」

何が『まだ』なのか?
それは、さっきから何度も黎翔が口移しで飲ませている水の事。
酔った身体にはとても心地良いらしく、夕鈴は無意識に強請っていた。

何度も交わされる口づけ。
いや、口付けでは無かったか・・・。
それでも酔い回りの薄い黎翔にとっては、口付けている感覚で。
何とも言えない背徳感に苛まれる。

「夕鈴・・・そろそろ、いいよね」
「うぅん・・・・まだ」

もうそろそろ勘弁して欲しい。
ギリギリに保たれている理性の綱が切れそうだ。

これで最後だと決めて、黎翔は口腔内に水を溜め込んだ。
そして、優しく夕鈴の口元に運ぼうとした刹那―――。

ギュと夕鈴の腕が黎翔の首に巻き付いてきた。

『ゴクン』

驚いた黎翔は、口腔内の水を飲み込んでしまっていた。

「ゴホッゴホッ・・・・ゆ、夕鈴、どうしたの?」
「へーかぁ~~抱っこぉ」
「は、はい?」

自分の首に巻きついたまま、舌足らずの甘えた声が耳奥を擽る。

なに?この可愛い生物は。
一体これは何の罠なんだ。

夕鈴の訳の分からないおねだりに、訝しむ黎翔。
しかし・・・折角の可愛い我が儘を逃してなるものか!とニヤリと自然に口角が上がった。

「後からの、苦情は一切受け付けないからな」

ボソリと呟くと、黎翔はそのまま抱き上げ寝所へ運んで行った。
ユラユラと揺れる感覚が酔った身体には心地良いらしく、
夕鈴は黎翔の腕の中で微笑みを浮かべている。

「ほら、寝所だよ」

一応声を掛けて、黎翔はゆっくりと夕鈴を寝台の上へと降ろす。
そして自分も寝台の端に腰かけた。
寝台が二人の重みで静かに沈む。
黎翔は寝台に広がる薄茶色の髪を愛おしそうに、何度も撫でる。
寝かしつける様に優しく――――。

夕鈴が身じろぎしない事を確認すると、黎翔は名残惜し気に撫でる手を止めた。

「さて、飲み直すとするか・・・・うん?」

黎翔が立ち上がろうとすると、自分の衣に何か抵抗を感じた。
それは、衣の端を掴んで離さまいとする夕鈴の白い手だった。

「いかないで・・・・・・」

夕鈴によってポロリと吐き出された言葉。
寝ているものだと思っていた黎翔が、驚いてクルリと振り返った。
深紅の瞳に飛び込んで来たのは、夕鈴が寂しげにこちらを見詰めている茶色の瞳だった。

「どににも、行かないよ」
「そう?」
「もちろん」
「じゃあ、ここに・・・・・居て。
へーかがほしい・・・の」

上目遣いで見上げる夕鈴。
このまま抱き潰してしまいたい――――。
そんな淫らな願望が、黎翔の頭の中を駆け巡る。

抱きたい。
ダメだ。
相手は、酔っているのだぞ。
黎翔は必至で、理性を総動員して我慢しようとする。
しかし、夕鈴の破壊的色気に総動員した理性はぶっ壊されそうになる。

少しはだけた裾から見える白い生足。
上気した頬。
トロンとした瞳。
どれをとっても、美味しく見えるだけで。

上げ膳食わぬは、なんたら・・・と言う遠い異国の言葉が、フッと黎翔の脳内を掠めた。


「もうっっ、夕鈴のせいだからね!」

黎翔は自分を正当化するような台詞を吐き出した後、
ポスンと自分の身体を寝台に投げ出した。



続く。





************

えっ?ここで『続く??』
と、なりますよね。

ゴメンナサイ~~~~
続きはRが付く可能性も含んでいますので
ここで切ります。

『R』対応をどうするのか?とキチンと決めて
UPしたいと思います。


どうぞ、宜しくお願いいたします


瓔悠。











【優美な兎は何見て跳ねる??・11(完)】(未来家族設定)
2017年06月12日 (月) | 編集 |
【設定】

未来家族設定 ・  オリキャラ有り ・ 原作外設定有り

【注意事項】

こちらの話は、前々ブログからの移行分を手直ししたものです。
移行忘れを見つけたのでUPしてみました。

そして、この作品は、【精悍な狼は何を想う?】の夕鈴sideと及び補足となります。







黎翔は浩大から聞い出した下町の明玉の自宅へと馬を走らせる。

「夕鈴・・・夕鈴・・・夕鈴」

呟くのは愛しき妃の名。

夕鈴がどうして怒っているのか位は、ホントは見当はついてた。
でも夕鈴を守っていきたいから、言いたくなかっただけ。
あんなどうでもいい縁談の事なんて、
自分が揉み消した時点で夕鈴が知る必要無いと思っていた。

でも、それが夕鈴の重荷になっていただなんて―――。
そんな事、思いも寄らなかったんだ。
だって夕鈴は自分の跡を継ぐべき公子を生んでくれていたし、
押しも押されぬ正妃となっていると思っていたのだから。

黎翔は、ただ必死に町中を馬を走らせていた。
そうしてようや目的の家へと辿り着くと、すばやく馬から降り戸を激しく叩く。

『ドンッ、ドンッドンッッ』
『はい、は~~い!!今出ますから!!
そんなに強く叩かないで下さい・・・こんな遅くに誰なんです??』

中から、夕鈴ではない声が聞えてくる。
案の定、中から出てきたのは・・・夕鈴の友人である明玉だった。

「あら・・・・確か、李翔さんでしたよね。
お久し振りです。あ、あの・・・夕鈴ですよね、少しお待ち下さい」

黎翔の姿を見るや否や、足早に夕鈴を呼びに中に入って行く。
少し待つと、夕鈴が明玉に押し出される様にオズオズと出て来た。

「れ、れい・・・・・いや、李翔さん」
「夕鈴、ゴメン!あれは、私が悪かった!!
君がいないと、この闇も夜も明けないんだっっ」

夕鈴は目を丸くしていた。
それもそうだろう_____出て来た直後に、黎翔が捲し立ててきたのだから。

「あの・・その・・・李翔さん・・・・私も黙って出て行って、ゴメンナサイ」
「そんな事は謝る事はないよ。
だってそこまで、夕鈴を追い詰めたのは私なのだから」
「・・・・・・いいえ。
(正妃である)私がこんな事をしてはイケナイ事くらい、重々わかっていた筈なのに」

夕鈴の頬に冷たいものが零れ落ちる。
その綺麗な真珠玉の様な涙を、黎翔は直ぐに指で掬い取る。

そして、ゆっくりと優しく抱きとめた。

「李翔さん・・・・・・・」
「僕は君を守りたくて黙っていた事で、君が深く傷つけてしまった―――。
これでは本末転倒だ、これからはキチンと君に何でも伝える事にするよ。
だから・・・戻って来てくれる?」
「・・・はい。
でも、私で、いいのですか?」
「君じゃないと・・・いや、君だけだよ、僕のお嫁さんはね。
だから帰ろう」

夕鈴は深く頷いて『是』の意味を示した。
それを受け取った黎翔は優しく微笑んで見せた。
そして二人は抱き合い、この何日かのお互いの寂しさを埋めあった。

しばらくそのままでいて、やっと満足したのかようやく離れると、
中で待ってくれているであろう明玉に挨拶する為に中に入る。

「明玉殿、夕鈴がお世話になった・・・本当に有難う」
「いえ、大丈夫ですよ!!お気になさらずに。
私も久々に夕鈴に会えて、沢山話せて愉しかったのですから」
「そう言ってくれると、有難い。
明玉殿・・・いずれ、何かの礼はさせてもらおう」

黎翔は明玉に軽く会釈すると、夕鈴と共に出て行く。
もう離さないという様に、腰に腕を回し共に歩いていく姿をみて明玉はホッと胸を撫で下ろしていた。

「全く・・・愛されてるじゃないの、夕鈴は!!!
離したらダメよ、その優しい腕を」

明玉は、門から出て行く二人の後ろ姿にそっと声を掛けた。



*******************


それから数日後。

明玉に御礼の品として、夕鈴から手の込んだ刺繍の入った手巾が送られた。
勿論、夕鈴のお手製である。

そして明玉の旦那の店には、何故か王宮からのご用達としての王命が下り、たまに王宮から注文が入る事になった。
それが評判を呼び、今まで以上に大繁盛へと繋がる事となった。



夫婦とは一心同体。

隠し事が一番の仲違いの元だという事を今回の事で肝に銘じた黎翔は、
夕鈴に言える事は何でも相談する事にした。
そして正妃として夕鈴も黎翔の助けと為るべく尽力をつくし、
益々国王夫妻の仲睦ましい様子が内外に広く知れ渡り・・・陛下に妃をと薦めてくる者がいなくなった。


今日も、国王夫妻は王宮で仲睦ましく暮らしている。
そう、子どもたちが呆れるくらいに・・・・。
子供たちは口々に『こんな調子じゃ、いつ弟妹が増えてもおかしくないよね』と、
呆れ顔で両親を揶揄するのだった。

仲良きことは美しき事かな―――。
それはきっと白陽国にとっては、もっとも僥倖な事であった。


終。





**************



ご拝読、有り難うございました。

この話は、前ブログに残っていたモノですが。
その際は前・中・後編で書いていました。
今回コチラに移すに当たって書き直すと、
こんなにも長くなってしまってました。

でも書いてて、楽しくて。
スゴク楽しくて。
だからやめられないんですよね。

オリキャラがバリバリ出てきますが、
如何だったでしょうか?
楽しんでいただけましたら幸いです。


瓔悠。





痛いのは・・・・
2017年06月09日 (金) | 編集 |
こんばんは。


はい。
気が付けば、前回更新から1週間が経ってますね・・・。

先週の週末に更新しようと思っていたんですけれど、
出掛けたりしてバタバタしてました。
出掛けていたことをUPする予定だったんですね、実は。


ところが、週明けに右腕の付け根を痛めてしまって。
それがかなり痛くて、キーボード打ちを止めてました。
日常生活してても痛くて。
でも家事は待ってくれない、仕事は休めない。
ジレンマでウンウン唸ってました。


ホント、私が更新予告すると何かしらあるんですよ。
これは何か・・・・・何かが妨害するのはどうしてか?
『??』と首を捻るばかりです。
なので、更新予告はしない事にします。
更新出来ないと、私も落ち込むんで。


やっと、こうして腕もかなり治って『よ~~し』と思ってても
明日と明後日は用事が入ってて、多分更新出来ないだろうなぁ~~と遠い目。


次書くなら、【傍迷惑~】をとは思ってます。
但し、いつか?は公言しない事にしますね。


こうして訪問くださっているゲスト様に感謝しつつ
失礼いたします。



それでは!!!


さぁ~~て、
家事の続きをします。
息子も迎えに行かないと。
ああ、洗濯もしないと。
そう言えば、私・・・夕ご飯もまだ食べてなかった。
ああ、忙しい!忙しい!!
どうして主婦ってこんなに忙しいんでしょうね。



瓔悠。




6月ですね~~
2017年06月01日 (木) | 編集 |
こんにちは。

今日はどんよりとした曇り空。
気が付けば6月。
梅雨入り間近です・・・・・・・・・。


昨日、久々に熱中症の症状に見舞われ、
ズキズキする頭を抱えつつ家事をこなしました。
そんな季節なんですね~~~
忘れてました。
結構蒸し暑い部屋で、エアコン・扇風機無しはダメですね~~
ついつい一人だと、エアコンをつけるのも憚られて・・・・。
更に扇風機は隣の部屋の部屋干し用に使っているし。

皆様も熱中症には十分ご注意くださいませ。




さて、何が言いたかったのか?
特にありません。
ただ、運動会・体育祭の春の二大イベントが無事に終わったので、
ようやくゆっくり過ごせそうだなぁ~~という訳で。
コチラの更新も出来れば2日に1回は!!と思っているのですの。

今まで散々放置してましたからね~~
取りあえず、終われる連載物は終わらせていこうと思ってます。

どれだけ需要があるのは、置いといてなのですが。


・・・・・・・・・まぁ、需要がなければ、さっさと下げてしまいますけれど。
それだったなら、お目汚しにならないでしょうから。



さて、今日は仕事場の送別会に行くので
この辺りで家事を済ませておこうと思います。
送別会なんて、面倒だわ・・・・なんて言わないで行って来ることにします。
今まで、3年間・・・行かずに済んだのですけれど。
そうも言ってられなくなりまして。
はぁ~~。
大人の世界は本当に面倒くさい・・・です。


それでは!!
失礼いたします。



瓔悠

【交差しない道標・9】
2017年06月01日 (木) | 編集 |
こちらの話は特殊設定のお話になります。

下記の『彩怜シリーズ概要について』の部分をクリックして、
そちらに明記された記事をお読みの上で
お話へお進みください。
もし、その記事内容に一つでも引っ掛かる事がありましたら
そっとリターンしてくださいませ。
どうぞ 宜しくお願いいたします

彩怜シリーズ概要について



【設定】

未来設定(彩怜シリーズ) ・  オリキャラ有り ・ 原作外設定有り

【注意事項】

こちらの話は彩怜クンシリーズの最初のお話、【最奥の鍵】より
以前の話となります。
なので、陛下は全く出てきません。

更に、捏造も甚だしく。
読む方を選ぶ内容になってます。

何でもOkだとお思いのゲスト様のみ
お進みください。





僕は、母さんが自分からいなくなるなんてことは絶対無いと信じてる。
だから、何かあったのかもしれないと思うんだ。
なら、僕が助けに行かないといけないんだ。
だって、僕には母さんしかいないのだから。


「ほらっ、おチビ君行くよ」
「僕はおチビ君ではないんだけどな・・・・・」

僕と連れ立って歩くのは、僕の家に訪ねて来た母さんの知り合いだと言う男性。

「あのっっ!行くって言っても、あなたは母さんの居場所が分かるんですか?」
「さぁ?分かんないけど」
「じゃあ、何処に行くつもりなんですか?」
「まずは、情報収集だよ」

僕の顔を見て、ニヤッと笑う。
その表情を見て、僕は一抹の不安を感じていた。

こんな事で大丈夫なんだろうか?
悠長にしていて、母さんの身に何かあっていたら・・・・僕は嫌な想像をしてしまい、ブルリと身体を震わせた。

「あの・・・そんな感じで母さんは見つかるんですか?」
「まぁね~。だってさ、この村から母ちゃんは出て行ってはいないからさ」
「うん?どうしてそんな事を知っているんですか?」
「だって、オレの仲間がこの村の出口付近を張っているからさ」
「張っている??」

―――僕と母さんは誰かに監視されているの?

僕の身体は、襲い来る緊張で咄嗟に固まった。
それを目ざとく感じ取った隣にいる大人は苦笑する。

「ホント、おチビ君はあの人に似てるよな~~。
瞬時に変わった空気の変化を感じ取る能力とか、その危機回避本能とか」
「あなたは・・・・一体、誰なんですか?」

僕は恐る恐る訊いてみる。
本当の事を答えてくれる確証なんてものは、無かったけれど。

「オレ?
だから言ったじゃんか、おチビ君の母ちゃんの古い知り合いだって」
「では、質問を変えます・・・あなたの名前は?」
「ああ、オレの名前ね~~オレは、浩大って言うんだけど」
「浩大さんですね」

僕は口の中で何度も範疇してみる。
そしてその名前の人物が過去に僕達親子に会いに来たことも無いし、
母さんからその名前が口に出されたことが無い事を思い返していた。

「どういった知り合いなんでしょうか?
申し訳ないのですけれど、僕は貴方の名前を母さんからは聞いたことは無いですし」
「そうだろうな~。だって、母ちゃんは多分忘れておきたかったんだろうし」
「忘れたかった?」
「まぁね」
「何を忘れたかったんですか?
それに、何故母さんは浩大さんの事を忘れたかったんですか?」」
「わりぃ、オレはそれについては話せないんだわ。
話すとオレの首が飛ぶからね」
「はい?」
「唯一、オレが言える事は・・・敵じゃないって事だけだよ」
「・・・・・」

僕はこれ以上問い詰めても、僕が欲する答えは得られないだろうと感じていた。
だから、僕は腹を括る事にした。

―――この人を信じよう。

僕はゴクリと唾を飲み込んだ。

「分かりました。
あなた・・・いえ、浩大さんに全てを任せます。
僕は母さんが無事に家に帰って来てくれればそれでいいのですから」
「りょ~~かい!オレに任せておけよ!」
「はいっっ!!」

浩大さんと僕は、まず村の外れの露店通りに行ってみることにした。
この露店通りの露天商は朝市もしていて、もう店開きしているだとうと見越してだ。
ここはこの村に住む人達も結構歩いているから、何か不信な事でもあれば露店主達は覚えているはず。
それにここでは村の女性とかとの情報交換の場にもなっているから、
露店主から何か情報を聞き出すことも出来るかもしれない。

陽が登りきってはいないが、やはり朝市が開催されるとあって露店通りではすでに準備が整っている。

「おっ、これは新鮮そうな果物だね~~1個いくらかい?」
「おやっ、見かけない人だね」
「まぁね~ちょいとこの村に用事があって立ち寄っただけだからね」
「そうかい!」
「そうそう、最近面白い話なんてないかい?」
「面白い話?」
「そう!」

僕は浩大さんの背中に隠されていた。
この露店のおじさん達には、母さんと買い物に来た時に会っているから。
ここで僕が前面に出てきていたら、話をしてくれないかもしれないし・・・。

「そうだなぁ~~あっ、思い出したけどよ。
最近この村の村長んとこのどら息子が、村外れの未亡人に求婚しているらしいな」
「未亡人?それは綺麗な女性なのかい?」
「綺麗・・・まぁ、綺麗かどうか、オレにはよく分からないけどさ。
その未亡人には子供がいて、子供の為に受け入れるって話だよ」

はい?
村外れって言ったら、僕の家があるけど。
母さんは未亡人なんかじゃない。
でも村長さんの息子さんって言ったら、昨日僕にしつこく言ってきていた。
母さんを説得して欲しいとか、何とか・・・。
僕は話を最後まで聴かずに、友達とまた遊び始めたんだけど。

「ふぅん、なるほどね~~楽しい話をありがと。
じゃあ、この果物2個もらっていくな」

浩大さんは露店主に果物2個の代金よりも少しばかし多いお金を渡して、
僕を伴ってスゥーと離れていった。

「おチビ君!お前の母ちゃんの居場所が掴めたよ」
「えっ?さっきの話だけで?」
「まぁね~~~~じゃあ、この果物食べて乗り込むとするか!!」
「はいっっ!!!!」

僕は受け取った果物をガブリと一口かじって、浩大さんの後に付いて行った。

母さん!待ってて。
僕が迎えに行くからね。

東の空には明るい陽が昇りつつある。
その方向に歩を進めて行った。


続く。