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2015.11.24 (Tue)

【夜明け前に】

【設定】

本物夫婦 

【注意事項】

こちらのお話も、某SNSのコミュの期間限定トピック
『いい夫婦の日 final』へUPしたお話です。









陛下と朝までこうしていたかった・・・・・・。


夜明け前、まだ空も白んでないのに、ふと目が覚めてしまった。
隣で眠る陛下の横顔。
めったに見れないシロモノだから、すごく嬉しくて。
思わず口元に笑みが浮かぶ。

半身を起こして、陛下の端正な顔を見詰める。
その額に掛かる黒髪を人差し指でそっと払ってみた。
それでも陛下は起きる気配もなく、身じろぎひとつしない。

「ホント、私ってこの世の中で一番幸せな奥さんなのかもしれないわね」

ふと独り言が漏れる。

私の大それた想いが叶って、陛下の奥さんになれた時、
正直もうこのまま逝くことになっても後悔しないって思った。

でもホントは・・・・・・違ってた。
もっともっと陛下の事を知りたいって純粋に思った。
もっともっと私の事を知って欲しいって願った。

恋するって、
愛するって、
人をこんなにも欲張りにするなんて・・・・・。

こんなこと、誰にも言えない。
陛下にも知られたくはない。


「陛下、愛してます」

黒髪の隙間から覗く額に、そっと口付けた。
自分の大胆な行動に、頬が熱くなるのを感じた。

真っ赤になっている。
それを自覚した。

はしたないわよね・・・・・いくら陛下が寝てるからって。
でも今日は大丈夫。
だって、こんなことしても陛下は起きないみたいだから。

クスッと笑って、私はまた布団に潜り込む。
だってまだ窓は暗くて、夜明けまで時間は有りそうだから。

陛下の温もりに安心して、私はまた眠りについた。



「全く、君って・・・どうして、こんな時だけ大胆なんだか」

夕鈴が眠りに落ちたことを確認して、黎翔は半身を起こす。
寝ているふりをしてて良かった。

「君から行動を起こしてくれることは余り無いからな」

黎翔は満足気に、口元を綻ばす。
そして掌を自分の額に当てる。
ホンノリ温かい気がして、離せなかった。

「お返しだよ」

黎翔はポツリとつぶやくと、隣で眠る愛しい妃の薄茶の前髪をかき分ける。
露わになった額。
そこに自身の唇を乗せた。

『チュッ』

静かな寝室に、リップ音が微かに響く。

「おやすみ、夕鈴」

黎翔もまた布団に潜り込んだ。
暖かい・・・・自分よりも少しだけ高い夕鈴の体温を感じて、深呼吸すると目を閉じた。




夜明けまで、後少し。
二人きりの寝台は、穏やかな寝息だけが規則正しく響く。


いつまでも、
ずっと、
永遠に、
離れない。

そうして
二人の愛は続く。



終。




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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

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