≪ 2015 05                                                2015 07 ≫
 - 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 - - - -

こんばんは!!!


今日、人間ドック行ってきました。
『疲れた~~~~~』の一言です。

スタッフさんが少ないからか、受ける患者さんは少ないのに
待ち時間が長い!長い!!

手持無沙汰で、ボンヤリスマホのゲームをする始末。

もっと効率よく出来ないもんかしら??と一人胸の内で毒づいてました。


結果は、詳しい事はまだ分かりませんが・・・・2年前と同様の結果でした。
良くもなってないし、特に悪くもなっていない!!
まぁ、取りあえずは安心しました。
でも逆に最近の体調不良は何なんだろうか???と首を捻るばかり。
ストレス??????なのでしょうね。

でも詳しい結果が来ないと分からないこともありますが・・・。

胃透視・・・・・・・バリウム。
やっぱりイヤでした。
でも今回バリウムを超えるイヤなモノが~~~~
今回行った検診センターは初めてのところでして。
胃透視の前に、胃の動きをよくする注射を打たれたんです。
しかも筋肉注射!!!!
もう痛いのなんのってありゃしない!!!
検診に行って、血液検査で採血があることは知ってますが・・・まさか注射されるなんて思いもしなかったですよ。

言われたとき、『はぁ、注射ですか???』と本音が漏れましたもの・・・・。


やっぱり胃の検査はロクな事は無いなぁ~~~と思いました。




まぁ、人間ドックに行って良かったのは、終わった後に付いてくる食事券ですね~~
何か所かあるのですが、私と旦那が選んだのは、ハンバーグの美味しいお店のランチ券1000円分でした。
そのハンバーグ店、自宅の近くにあるのですが・・・こちらに越してきた時、10年ほど前に行ったきりでした。
夕食の外食に使うには結構お高くて、気軽に~~とは行けずに足が遠のいていたんです。
それが今回はサービス券がある~~と言うことで行ってきました。

10年ぶりに食べたハンバーグセット。
スンゴクお肉がジューシーでとても美味しかったです。
今度子どもたちもランチに連れて行ってあげようと思いました。



さぁて・・・・・・・もう疲れたんで今日は早目に就寝します。
まだ身体の中にバリウムがあって、重苦しい気がします。
明日には重苦しいのが取れてくれると良いのですが・・・・。


スポンサーサイト

【設定】

臨時妃 ・ 原作寄り


【注意事項】

こちらの作品は、前ブログ『遥か悠遠の朱空へ』にて公開していた作品です。
今回こちらへ移行するに伴い少しだけ手直ししておりますが、
書いた当時の陛下と夕鈴の関係が浅いものでありましたので、
当時の雰囲気を残すべく糖度はあまりありません。
そのことを踏まえた上でお読みいただけます様、宜しくお願いいたします。   瓔悠。







朝も早く、李順は黎翔の自室へと足早に向かっていた。
大体ただの側近であるはずの李順が王の自室に行くなんてことまでしないといけない事には、彼なりの理由があった。
それはもちろん黎翔を逃がさない為である。
昨日は、グチグチいうこともなく大人しく政務をこなしていた。
すでに帰省した夕鈴殿は居ないというのに・・・・。
今にしてみれば、いつもの『夕鈴がいないとやる気なんて起きない~』の言すら無かった。
それが妙に気に掛かり、早朝の訪問と相成ったのである。

黎翔の自室へと向かう途中で李順は一人の官吏とすれ違い、すれ違いざまに一礼をされた。
いつもなら『今日は日曜日だというのに朝早くから頑張っているのですね』などと気安く声を掛けたりするのだが、急いでいたので会釈のみで李順は先を急いだ。
李順が気が付くことは無かったが、その礼を取っている官吏は俯いたままニヤリと意地の悪い笑みを口元に浮かべていた。

バンッと音を立てて、王の自室のドアを勢いよく開け放つ。
まずは入る前に一礼して、声を掛けてみた

「陛下っっ、おはようございます!!もう、起きていらっしゃいますか?」

かなり大きな声を出したが、返事はない。

嫌な予感しかしなかったが、まずは中に入って見る。
しかし、やはりそこは最早もぬけの殻であり。
『やられた~~~』と急ぎ足で部屋を出て黎翔を探すことにするが、そこでふと足が止まる。
そして先程出会った官吏の事を思い出していた。

もしや、あれが陛下だったりして。
でもそれは大いにあり得る話で・・・・・それにしてもわざわざ変装までして抜け出し、夕鈴殿のところに行ったというのでしょうか。
たかがバイト妃のために、何をしているのやら・・・全く。

李順は真剣に頭を抱えていた。
どうせまた帰りは夕方でしょうね・・・と思いつつトボトボ執務室へと入って行く。
皮肉な事に、机の上にはきちんと判を押された書簡の山が整然と並べられていた。

一応、政務だけはこなして行かれたということですか。
そこまで何が気に掛かるんでしょうか、あんな小娘に。
まぁ倹約家で綺麗好きで美徳は沢山あると思いますが、
がさつで落ち着きがないことは欠点であり、妃としてはあるまじきだと思いますがね・・・・。

はぁーーーと眉間に皺が寄る李順であった。




********


同じ頃、下町の夕鈴宅では早起きの夕鈴が(とはいっても殆ど眠れなかったのだが)朝ご飯の支度をしていた。
昨夜ついに帰ってこなかった父の分まで・・・。

青慎を起こし、朝ご飯を二人でゆっくりと食べる。
これは王宮に上がる前なら当たり前の風景だったのだが、今は懐かしく感じる。

食後の片付けまで終り、自室でお出掛け用の服に着替え一応髪も結い上げてみる。
鏡に映る自分は、大した美人でもなくタダの下町娘。

李順さんはバレないようにしてくださいと言っていたけど、誰がこの国の王である狼陛下の唯一の妃だと思うのかしらね・・・。

夕鈴は鏡中の自分を見詰めつつ、フフッと自嘲気味な笑みを浮かべる。
しかし、ふと以前に黎翔に言われたことを思い出し、ボフッと音が鳴った様に頬が桃色に染まる。
それは・・・・・
『――君は己を卑下してはいけない。
いついかなる場所にあり、どんな姿格好をしていようと君はかわいい私の妃だ』
その言葉を。

でもあれは演技なんだから・・・・・と高鳴る鼓動を抑えようと、必至に自分へ言い聞かせていた。

「ねえさ~~~ん、明玉さんが来てるよ」

青慎が部屋の外から声を掛けてくる。
深呼吸を2、3回ほどしてから部屋を後にして居間に行くと、明玉がいた。
その手には小箱と大きな袋を持っている。
そして夕鈴を見つけると駆け寄ってきて夕鈴の顔をまじまじと見て一言、言い放った。

「夕鈴・・・・・・いくら気が乗らないからって、それはいくらなんでもだわ。
しているかしていないか判らない様な薄化粧で!!!やっぱり私がきて正解だったわね」

明玉は慣れているのか、夕鈴を鏡の前に座らせ手早く化粧を施していく。
段々妖艶な大人の女へと変化していく自分に戸惑いながら、夕鈴は為す術も無く鏡の前でほんのり朱色に頬を染めながら見ているだけだった。
夕鈴を華麗に変身させた明玉は、腕を組んでウーンと唸りながら夕鈴の服を確認する。

「悪くは無いんだけど・・・・・地味なのよね。
で、私が親友の為に服を持参したのであります!!夕鈴、着てみてよ。」

明玉を見ると、ニヤニヤしていて凄く楽しんでいるようだった。

ここで辞退なんかすると後で厄介なことになる・・・・・。
そう思った夕鈴は、仕方なく明玉の言う通りにする事にした。
しかし持ってきている服は派手な物が多く、何故か妃を連想してしまい着るのに抵抗があった。
でも明玉の好意を無駄にする訳にはいかず、その中でも一番地味な服を選ぶ。

「それか~~~一番地味だけど、まぁいいんじゃない?
もっと派手な服もあるんだから、いつもとは違って冒険してもいいと思うけどね。
まぁ、仕方ないか・・・・夕鈴だしね」

一人で納得する明玉に半ば呆れていたが、折角自分の為に考えてくれているのだしと直ぐさま着替え、
それに合わせて用意してくれていた耳飾りや首飾りを素早く付けてみる。
すべて終わると、夕鈴はその場で一回りして明玉の合格を待った。

「バッチリじゃないの!!こうして見ると夕鈴、アンタ中々の美人なのね・・・」

明玉は腕を組んだまま満足げに首を縦に振って、自分の成果を納得していた。
準備もすっかり整った夕鈴は、部屋の真ん中に置いてある卓に明玉と顔を突き合わせて座っていた。
明玉はツトツトと話し出す。

「夕鈴、いい?まず男が寄ってきても、直ぐに色良い返事をしちゃダメ!少し焦らして相手を良く見るの。
まずは容姿・身のこなし・・・別っているとは思うけど、焦らした事に腹を立てて態度に出すのは最もダメな男ね。
次に一つだけ質問するの。う~~ん、そうね・・・・例えば『あなたは何処に連れて行ってくれますか?』とでもいいわ!
その回答で、経済・判断力なんかが分かるから。次に・・・・・・・・・」
「まだあるの?」

夕鈴は明玉先生から華装会における男性の見極めや扱いについてのご指南を受けていた。
流石に去年の華装会での武勇伝を持っているだけに、先生のご指南は確かに的を得ていた。
・・・・・が、しかし全くその気の無い夕鈴には、使えそうな技は無かった。

「じゃあ、夕鈴いってらっしゃいっっ!!!!
男どもを悩殺してくるのよ!!健闘を祈るわっっ」
「悩殺って・・・・・・・・」

一通りを伝授し満足した明玉は、夕鈴の背中をバシンと叩きながら片眼を瞑りニッコリと笑った。
その激励に感謝しつつも・・・私、ホントに興味無いから健闘と言われてもなぁ~~~と本音もチラホラ見え隠れさせながら、曖昧に微笑んで夕鈴は実家を後にした。




続。


こんばんは!!

最近は再録のお話のUPのみで、申し訳有りません。
取り敢えず、早急に再録UPは済ませたいとは思ってます。


さて、昨日は旦那様が久々の休みでして・・・・子どもたちへのサプライズな事を!
と言うことで、年パスを持っているスペースワールドへ行ってきました。

天気も良くて・・・・(結構良すぎて熱中症になりかけましたが)
息子に連れられて旦那は絶叫系マシンへ。
娘に引っ張られ、私はゆるゆるマシンへ。
二手に分かれて、半日子供たちに引っ張り回されました・・・・・・・。


そして今朝!
息子クン・・・・「ご飯食べたくない!」と朝から言うんです。
まさかっっ!!熱???
測らせると・・・・・37度5分。
はぁ~~~~~~~~~。
風邪ですか??
何ですか??

今日は仕事なのに・・・・・・・。
また電話掛けないといけないの??
と気が重くなりまして、一応、実家の両親にまずは電話。
あわよくば、看てもらえないかと。
でも、父が用事で出掛けていていないから行けないよ!とのことでアウト!

こうなれば、仕方ない!パート先に休み申請の電話をするか!!
と腹を括りかけたとき・・・実家の母から電話。
「もう小6だから、一人で留守番させなさいよ」と。
私は、スンゴク悩みましたが・・・・・・・結局、留守番させることに。

仕事中、息子の事が気になって気になって・・・・・。
でも途中で帰るわけにはいきませんし。
13時過ぎ、仕事がおわって速攻で自宅に電話をしました。

電話口の息子の声には覇気もなく、聞けば38度2分あるとのこと。
で、何が食べたいのか?何が食べられるのか?を聞いて、買い物をして大急ぎで帰宅しました。

一人でアイスノンも用意して、大人しく寝ていたようです。
いつもは我儘で反抗的な息子ですが、少し可哀想に思えました。

そして思ったのは・・・・・・・・世の中のフルで働いているママさん達の中には、
どうしても休むことが出来ずに病気の子供さんを置いて、
後ろ髪を引かれながら仕事に行っている方もいるんだろうなぁ~と思いました。
そして、どんなに心配で辛い気持ちを味わっているのかなぁ~とも。

私は5時間くらいで帰宅できましたが、それでも心配でした。
まぁ、小6だから大丈夫なのかもしれませんが、私にとっては子供離れの第一歩だな・・・と感慨深く思いました。

夕方病院に行きましたが、タダの夏風邪だと診断され・・・特に薬も貰えず帰宅しました。
今現在、野球中継を観ている息子クン。
熱は37度台に下がりました。
明日は学校に行ってね。



さて・・・・・・・明日は恐怖の人間ドックです。
旦那と二人で行ってきます。
どんな結果が出るのか?今から戦々恐々です。
全くの健康体ではないだろう~と思いつつ、再検査!なんてことにならない事を切に願ってます。



それでは!!!


【設定】

臨時妃 ・ 原作寄り


【注意事項】

こちらの作品は、前ブログ『遥か悠遠の朱空へ』にて公開していた作品です。
今回こちらへ移行するに伴い少しだけ手直ししておりますが、
書いた当時の陛下と夕鈴の関係が浅いものでありましたので、
当時の雰囲気を残すべく糖度はあまりありません。
そのことを踏まえた上でお読みいただけます様、宜しくお願いいたします。   瓔悠。








さて、夕鈴が帰省する土曜日の朝。




「陛下、こちらは急ぎの書簡ですから早急に目を通して下さい」

彼の優秀な側近は、急かすように書簡を積み重ねていく。
眼鏡の奥の瞳からは『今日は逃しません』という意思が見え隠れしているようで、黎翔は深い溜息をつく。

「李順、分かっている。今日は(あくまで今日はだが・・)夕鈴について行く様な事はしないから」
「そうですか?くれぐれも自重下さい。それに夕鈴殿はいずれあるべき場所に帰られる方なんですから、
今回のお見合いもいい機会ではありませんか?」

側近の何気ない一言が、黎翔にとってはすごく感に触る。
不機嫌になった黎翔は、手に持っていた書簡を乱暴に卓上に置いた。

一方夕鈴は、そそくさと後宮立ち入り禁止区域で帰り支度をしていた。
お見合い自体は全く気が進まないが、家に帰省できるのは少し嬉しかったりもする。

今から帰れるんだから、青慎に美味しい夕食を作ってあげれるわよね。
何がいいかしら?今日は土曜日だから、変って無ければ八百屋さんが特売していたような・・・。

すでに気持ちは完全に下町へと飛んで行っていた。
準備が整ったところで、こっそりと後宮の裏門から出て行く。
今回は李順さんにお願いして馬車は遠慮させてもらった。
言わずもがな黎翔が馭者さんにすり替わってついて来ない為である。
前回のあの時の上司は、正に鬼のようで恐かったから・・・。

裏門から出ると夕鈴は大きく深呼吸して、町の匂いを確かめてから家路へと歩を進め始めた。
歩いて行くと露店などで賑わう商店街に入る。
ここはいつ来ても活気に満ち溢れていて、賑やかで帰って来たんだと実感する。
買い物は後でする事にして、取り敢えず家に帰ることにした。

「ただいま~~」

玄関先に入ると、直ぐに青慎が出迎るために居間から労いの言葉を掛けながら来る。

「お帰り!姉さん。いつもお疲れ様です!待っていたんだよ」

本当に良く出来た可愛い弟だわとホンワカしてくる。
そして居間にはいない父の行方を空かさず尋ねる。

「青慎、父さんは?」
「あれ、さっきまでいたんだけど、何処に居るのかな?あっ、書き置きがあるよ」

卓上の殴り書きされている1枚の料紙を姉に手渡す。

『父さんは楊さん宅で夕方から飲み会だから夕飯はいらないよ』・・・・・と。

エヘッとイタズラッ子のような表情の父の姿が眼に浮かぶ。

「全く、父さんは相変わらずのようね。いいわ、青慎。二人で美味しいものでも食べよ」

夕鈴はため息混じりで青慎を見て、ぎこちなく笑った。
持って帰ってきた荷物を解いて急ぎ服を着替えた後、買い物籠を片手に町へと出掛ける。
町に出てきた夕鈴が買い物より先に訪れた所は、明玉の勤める飯店である。

「明玉~ただいま~~」
「あら?夕鈴。帰って来てたんだっっ。お帰り~~」

二人にこやかに手を握って、喜び合う。

「休憩時間、もうすぐだから待っててくれる?」
「大丈夫よ。私の方は時間はあるから、隅っこで待ってるね」

直ぐに仕事に戻った明玉は看板娘らしく、お客から次々に呼ばれていた。
ホントに明玉はテキパキしているし、イキイキと仕事をしているよね・・・と感心してボォーと見惚れていた。
そんなこんなしていると、自分の目の前で手がヒラヒラ振られているのが眼に入る。
ボォーとしている夕鈴に明玉が手を振っていたようだ。

「夕鈴、休憩時間だから茶店にでも行こう。私も色々と聞きたい事もあるし・・・」
「聞きたいこと?なぁに?」
「いいの、それは後で!ほら行くよ」

ウンと返事をする前に、明玉は夕鈴の手を引いて店を出ていた。
茶店で明玉は注文後、直ぐに夕鈴を問い詰めていた。

「夕鈴、帰省するときには必ずと言っていい程一緒に来る、あのかっこいい男性はどうしたの?
確か上司とか言っていた・・・今回は来てないの?
まぁ今回、帰省の理由が華装会だと言うんだから連れて来れないわよね。
あの人、夕鈴のオトコだと思っていたりしたんだけど、華装会に行くんだったら違うのか・・・・」

夕鈴は明玉の鋭い質問攻めとそれよりも華装会に出席する事を知っていた事に驚いて、
金魚の様に口をパクパクさせていた。
そして、大声で明玉に訊く。

「なっ、なんでその事を知ってるの~~~?!?!」
「夕鈴、声大きいって!ここいらじゃ、皆知ってるよ。
だって酒屋のおばさんお喋り好きだから、『汀さんところの夕鈴ちゃんが華装会に出るんでよろしく~』と宣伝しているらしいよ」
「え~~~そうなの???気乗りしないから、っこで大人しくしていようと思って、
去年出た明玉に目立たない方法を教えて貰いたくて、来たのよ」
「目立たない方法って・・・アンタ華装会が何か知っているんでしょ。
あれは目立ってナンボの会なのに、変わっているわよね。
まぁ、あのかっこいい人がアンタのオトコだったりするんだったら分かるけど・・・・。
で、実のところ、どうなの?」
「そんなわけ無いに決まっているでしよっっ!!あの人は職場の単なる上司だって言っているじゃないの」

夕鈴は勘違いしてはいけないと自分に言い聞かせるように、明玉に呟いていた。

「まぁ、目立たない方法は一応あるはあるわよ。珠に名家のご令嬢なんかが来る時の為に、
男女とも仮面を付けても良い事になっているのよ・・・だから、仮面でも付けていれば大丈夫だと思うよ。
男の人は結構容姿から入る人が多いからね」

・・・・・・なるほど!そう言う方法もあるのね~
仮面ね~私も仮面でもなんでも付けておく事にでもしようかしら。
そこまでしておいたら、官吏の方に会ったとしても私が妃だとばれないわ。

夕鈴はホッと胸撫で下ろしていた。
その後は明玉の昨年の華装会での武勇伝を散々聞かされた後、やっと解放されたのであった。



明玉と別れ、急いで買い物を済ませ家に戻るとすでにお昼はとうに過ぎていた。
家にはお腹を空かせた青慎が、姉の帰りを今か今かと待ちかねていて、夕鈴は急いで昼ご飯を作ってやった。
そしてその後は夕ご飯の支度や掃除などとして、久々に主婦を満喫していた。

そんな家事をしている自分がシックリと落ち着いている事に、夕鈴は何だか胸の奥がチクンとしていた。
やっぱり王宮で妃として過ごす自分は分不相応で、本来ならあり得ない現実なんだと思い知らされる。
その夜、何だか寝つけず、夕鈴は折角の実家だというのに狭い布団に中で寝返りを何度も繰り返していた。

夢に見るのは・・・・黎翔の事で。
自分の中で黎翔の存在が大きくなっていることに、不安を覚えていた。
私はただのバイト!借金返済さえしてしまえば、此処に帰ってくる。
ここが私の居場所であって・・・・。
だから、これ以上陛下の事を知る必要もなくて・・・・・・・・勘違いしてはいけないんだと。

自分の胸の奥にある恋心の火種を、夕鈴は見て見ぬふりをしていたのだった。




続。


【設定】

臨時妃 ・ 原作寄り


【注意事項】

こちらの作品は、前ブログ『遥か悠遠の朱空へ』にて公開していた作品です。
今回こちらへ移行するに伴い少しだけ手直ししておりますが、
書いた当時の陛下と夕鈴の関係が浅いものでありましたので、
当時の雰囲気を残すべく糖度はあまりありません。
そのことを踏まえた上でお読みいただけます様、宜しくお願いいたします。   瓔悠。






執務室へと戻る黎翔は、どうしたら抜け出せるのか?如何にして李順を騙せるのか?
それについて思考を巡らせており、表情が硬くなっていた。
そのせいで、すれ違う官吏が次々に青ざめながら拱手していく。
しかし全く官吏の様子にも気付かない程、黎翔は真剣に考え込んでいた。
それでも執務室に辿り着くまでには考えが纏まり、近くにいた官吏に李順を執務室に呼ぶようにと申し付けた。

「お呼びだとの事ですが、如何されましたか?不手際な案件でもございましたか?」

黎翔からの呼び出しだと聞いた李順が慌てた様子で執務室へと入って来て、黎翔へと質問を投げかける。

「李順!華装会なるものを、お前は知っているか?」

逆に質問で返してくる黎翔を見ながら、何だ・・・そんな事かと安堵した様子で李順は答える。

「華装会ですか・・・確かその会場内で見つけた意中の女性に花を捧げ、
受け取ってもらえたら話をしてもらえるという、町で1年に1回開催されているお見合いでしたね。
参加する女性も商家の娘、町娘、下級・中級役人の娘など幅広い層の女性が集まるとかで、
若い官吏の参加者も多いとか・・・それがどうかしましたか?」
「その華装会に夕鈴も出席するそうだ」
「はぁ、夕鈴殿がですか?私は聞いてませんが」
「先程預かった封書に書かれていたようだ。それで、後ほど執務室に相談に来ると言っていた」
「まさかとは思いますが、陛下も一緒に行くなんて事を仰りませんよね。
先日、夕鈴殿の実家の衣替えに付いて行かれた際にどれだけ政務が滞ったか・・・」

やはり、李順は有能な側近である。
黎翔の行動を把握して、きちんと釘をさす事を忘れない。
しかし黎翔とて、こう言われるだろう事は既に承知の上で・・・黎翔は先程考えた事を伝えるべく言葉を紡ぐ。

「流石に私が参加するのは無理があるだろうが、どうも毎年その華装会を隠れ蓑に裏で色々な取り引きがあっていたりする様だ。ここは調査を兼ねて、方淵にでも行かせてはどうだろうか?」
「華装会でそんな事が??私の耳には入ってはきていませんが・・・・まぁ、調査するのは良いとして、方淵殿が調査員ですか?彼は、ああいう場所には最も向かない人だと思いますがね」
「確かにそうかも知れないが、方淵は実直で堅物であるから・・・周りの雰囲気にも飲まれることなく、調査してくれるであろう?」
「陛下が、そう仰るのあれば・・・・私としては、陛下が直接赴かれるのでなければ誰でも良いですし。
では、後ほど方淵殿には通達しておきます。そうそう、陛下・・・机の上の書簡の山はキチンと減らしておいて下さいよ」

李順は政務室へと戻るために戸口に向かいながらも、キッチリと黎翔を急ぎの書簡の山へと向かわせることは忘れない。
残された黎翔は書簡の山崩しに取り掛かりながら、布石は完璧だとニヤリと微笑んだ。


*********


その頃の夕鈴はというと・・・午前の続きの針仕事をしていた。
しかし先程の封書の事を考えながらしているので全く集中出来ず、
時折自分の指を刺してしまい「痛っ」と呟き、その度に侍女たちは薬箱を持ってオロオロとしていた。

お見合いねぇ・・・私、今までそんな事考えた事もなかった。
几鍔なんかには『行き遅れ』だの『嫁の貰い手のない』だの散々の言われようだけど、
お見合いしたいだなんて思いも寄らないし。
第一、まだ青慎も一人前になってないし多額の借金だってある・・・・今はどれくらい減っているのかは分からないけど。
あんまりというより全く気が進まないんだけど酒屋さんの顔を潰すわけにもいけないから、参加しておかないとね。

色々考え込んでいた夕鈴であったが、別に参加したからと言って自分の所に男の方が寄ってくることも無いだろうと、
お気楽に『美味しいものが食べられる』くらいの感覚で参加する事にしようと割り切ってしまい、
考えることを止めた。

そうした事で、いつの間にかいつもの夕鈴らしい柔和な表情に戻っていたようで、
侍女たちもいつものお妃様だとホッと息を吐き安堵していた。


*********

夕刻が訪れる少し前・・・・ようやく書簡の山をほぼ制覇した頃、
執務室に夕鈴の侍女が妃の訪れを先触れしてきた。

黎翔は書簡から視線を上げて侍女に入室を許可しつつ、ついでに政務室に居る李順を呼んでくるよう命じる。
そして少しすると侍女に先導されて夕鈴が裾を翻しながら優雅な足取りで、更には顔には微笑みを浮かべて入って来た。

如何にも黎翔に逢いかった・・・・という寵妃を上手く演じながら。

黎翔はそんな夕鈴を独り占めしたくて、椅子から立ち上がり大股で近づくとスッと手を差し出す。
差し出された手を取ってしまって良いのかと夕鈴は一瞬躊躇ったが、
侍女たちがまだ下がってはいない以上妃演技は続けなければならない。

はにかんだ笑顔で差し出された大きな手を握ると、頬を朱に染めながら黎翔の紅い瞳をジッと見詰めた。

「あの・・・陛下。私、どうしても陛下にお逢い致したく此方に参りましたが、ご迷惑ではございませんでしょうか?」

もう他には何も見えないというように・・・・薄茶の瞳は潤んでいた。
確かに傍から見れば、陛下におねだりしている可愛らしい妃である。
しかし夕鈴にはそんな気は毛頭なく、寵妃らしく振る舞う演技の恥ずかしさに瞳を潤ませていたのである。
ただ此処に来る口実を作るためだけなのに、かなりの苦労を強いられていたのだった。

「君から逢いに来てくれるなど余りないことだから、迷惑などと思う筈はない。
寧ろ、君が来てくれた事で政務も捗るというものだ。」

黎翔も夕鈴の必死の妃演技を受け、さらっと手慣れているように答えた。
殊更に離したくはないと意思表示するかの様に、握った手をそのまま強く握り直した。
そして夕鈴は表情そのものはニッコリとはしているものの、手を離そうと必死にもがいていた。

そんな様子の夕鈴に黎翔は意地の悪い笑みを浮かべると、右手を挙げて侍女を下がらせた。
そうしてこの先はどうしてやろうかと思案していると、タイミングよく李順が入って来てしまった。

「夕鈴殿!陛下から聞きましたが、華装会に出席するそうですね」
「はい、どうやらそういう事になりそうです。
それで・・・・その・・・・誠に申し訳ございませんが、帰省させて頂きたくて・・・」

鬼の上司を目の前にして、夕鈴は言い淀む。
李順の眼鏡がキラッと光った気がした。
その様子に、ビクッと夕鈴はおののく。

「やっぱり・・・・・・ダメ・・・ですよね・・・・・そうですよね・・・・・私はバイトの身ですし」
「ダメだと言っていませんよ。それは仕方のない事ですし・・・貴女にも事情がありそうですし、許可しましょう。
但し王宮勤めの官吏も多数参加するようですから、くれぐれも貴女が妃だとばれないようにして下さいよ。
あと方淵殿も参加しますので、特にご注意をっっ!!いいですね」
「えっ、方淵殿が?それは何故ですか?あの華装会は、貴族と言っても下級・中級貴族で、更には次男三男ぐらいがくるものですよ。
方淵殿といえば確かに次男ではありますが、大貴族出身では有りませんかっっ!!!」

夕鈴は驚きを隠せず、素っ頓狂な声を上げた。

「夕鈴殿、静かにっっ!!方淵殿は、ちょっとした調査を命じらて出席するんですよ。
ですから、あくまでサクラです」
「あっ、そうなんですか・・・分かりました。では、妃だとバレないように気をつけます。」


そう決意して、夕鈴は李順にきっぱりと返答していた。
画して、夕鈴は大手振って前日の土曜日からの休みをもぎ取ったのであった。




続。


この記事を閲覧するにはパスワードが必要です
パスワード入力


【設定】

臨時妃 ・ 原作寄り


【注意事項】

こちらの作品は、前ブログ『遥か悠遠の朱空へ』にて公開していた作品です。
今回こちらへ移行するに伴い少しだけ手直ししておりますが、
書いた当時の陛下と夕鈴の関係が浅いものでありましたので、
当時の雰囲気を残すべく糖度はあまりありません。
そのことを踏まえた上でお読みいただけます様、宜しくお願いいたします。   瓔悠。










ゆっくりめの昼食後、黎翔は優秀な側近からお茶の時間を捥ぎ取って、
愛しい妃の元へと意気揚々と廊下を歩いていた。
そこに回廊外の芝生の上に座り、談笑する官吏の声が聞こえてくる。
どうやら昼休憩を外でしているらしい。

「今年の華装会に、やっと出席してよいと父上からお許しが出たんだよ」
「ほぉー、君はやっとなのかい?自分は去年から出席しているけど、イマイチだったよ。
今年こそは・・・と思っているがね」
「自分は、必ず成功させるよ」

カソウカイ?それは仮装する人々の集まりなのか?と黎翔は首を捻る・・・。
そんな会が催されているなどと聞いた事がない。
まぁ自分には関係が無いのだろうと、夕鈴のいる後宮へと足を早めた。

「夕鈴、午後のひとときを共に・・・と思い参ったが、如何していた?」
「はい、陛下。本日は侍女さんたちと針仕事を致しておりました」
「そうであったのか。政務室にも参らぬから具合でも悪いのかと心配をしたが、大事なさそうだな」
「ええ、大丈夫ですわ・・・ご心配戴き嬉しゅうございます」

夕鈴を見ると、恥ずかしさを必死に隠して黎翔の話に合わせてくれている。
それと言うのも・・・黎翔は抵抗できない夕鈴に話し掛けながら腰に手を回して、
しっかり自分の方に引き寄せ、抱きしめようとしているからである。

夕鈴、かなり頑張ってくれているようだけど、
ここら辺が止め時なんだろうな・・・。

黎翔はニヤリと笑みを浮かべつつ、夕鈴の様子を観察する。
もうすでに夕鈴の可愛い円らな瞳は少し潤んでいて、その涙目で『早く侍女さんをさげて下さい』と訴えている。
もう妃演技は限界寸前のようである。

こんな可愛い夕鈴を見ていたら、僕も我慢出来無くなって本当に抱きしめてしまいそうだし・・・。
僕は無言でスーと片手を挙げ、侍女を下げた。

「もうっっ!陛下!!!甘い演技は程々で!って、いつも言ってますよね」
「えっ?そんなに甘くは無かったと思うけどなぁ~」

返事をしながら黎翔は長椅子へ、そして夕鈴はお茶の用意のため少し離れた卓へと向かう。
夕鈴は手早くお茶を入れると黎翔へ茶杯を手渡し、ゆっくりと黎翔の隣へと腰掛けた。

黎翔は手渡された茶杯をすぐに傾け、乾いた喉を潤す為一気に飲み干した。
お茶の味は少し苦味はあるもののスッキリとしていて、飲み切った後は口の中に爽快感が広がる。

「陛下、もう一杯お入れ致しましょうか?」
「ありがとう、でももういいよ。それより李順からコレを預かったんで、夕鈴に渡しに来たんだよ」

服の袷の中から、一通の封書を取り出して夕鈴に手渡す。
実は李順が渡しに行く所を阻止した上で、昼休憩を無理やり捥ぎ取ってここに来たのだ。
差出人の名を見た途端に、夕鈴は満面笑顔になる。

「ありがとうございます!青慎からの手紙・・・久しぶりなので嬉しいです。
あの子元気にしているかしら・・・。

夕鈴は待ちきれないと、封を直ぐにビリビリ破って中身を取り出す。
開いて見た内容は。

『姉さん、元気にしていますか?僕は元気に学問所に通っています。
近々実力考査もあるので、毎日勉学に勤しんでいます・・・・』

こんな書き出しから始まり、家の事、学門所での事、後どうでもいい几鍔のことまで丁寧に書かれてある。
それはいつもの青慎が書いて寄こす近況報告で、夕鈴は嬉々として読んでいた。
ところが次第に読み進めて行くと、今回の手紙はそれだけでなく加えて書いてある事が・・・。
段々難しい顔つきになってくる夕鈴を、横から黎翔が心配顔で覗きこんで問うてみる。

「夕鈴、どうかしたの?何か悪い知らせでも?」

しかし夕鈴は熱心に読んでいるせいか、黎翔の言葉も耳には届いてないらしく・・・。
読み終えるとふぅーーと長い溜息をついて考え込み、次第に夕鈴は困り顔になっていた。

横から見ていると百面相の様にくるくると変わる表情が可愛らしいが、
何が書いてあって夕鈴を困り顔にさせているのかが、すごく気に掛かる。

黎翔は黙ったままではいられず、もう一度聞いてみる。

「夕鈴、どうしたの?」

すると夕鈴は瞬時に我に返って真顔になり、恥ずかしげに顔を赤らめる。
隣には黎翔がいたことを忘れていて、あまりにも真剣になっていたことに・・・・。

「いえ、また父が余計な事をしてくれて・・・どうも華装会に出席しないといけないみたいなんです。
李順さんになんて言って帰省させて頂こうかしら」

夕鈴はブツブツ独り言のように呟く。
黎翔はさっきの官吏達の話を思い出し、夕鈴に聞いてみることにした。

「夕鈴、華装会って何?」
「華装会ですか・・・うーんなんて言っていいのやら。
えーとですね、早く言えば集団お見合いですね」
「ふう~んお見合いかぁ~って、あのお見合い?!
どうして、夕鈴がそんなものに出席しないといけないんだっっ。君は私の唯一の妃ではないか」
「えーなんで、ここで狼陛下になるんですか?私以外誰も居ませんよ」

急に狼の雰囲気を纏い、自分に詰め寄る黎翔を夕鈴はすかさず抑制する。

「あっ、ごめんね。ちょっと驚いたものだから・・・でもなんで夕鈴がそんなものに出ないといけないの?」
「それがですね・・・・・まだ嫁にも行ってない上に王宮務めをしているのを心配して、
酒屋のご夫婦が酒代のツケの帳消しを盾に、どうも父に私の参加を迫ったみたいです。
流石に酒代帳消しともなれば、父も二つ返事とはいかないまでも色良い返事をしてしまった様です」

夕鈴は、また溜息をつく。

「仕方ありませんが、李順さんに帰省のお願いをしてみます」
「それって、いつ開催されるの?」
「確かこの手紙には、来週の日曜日と記載されてますね」
「ふうん、日曜日ね」

黎翔が小さく独りごちたのは、夕鈴の耳には届かなかった様だ。

「じゃあ・・・封書も渡せたし、夕鈴のお茶も飲めたから政務室に戻る事にするね。
そろそろ戻らないと、流石に李順が鬼瓦の形相で僕を探しに来そうだから」
「そうですね・・・では、頑張って下さいね。
後ほど李順さんにも帰省のお願いをしに行かないといけませんから、執務室へお伺いします」

黎翔が部屋を後にしたのを確認して、また夕鈴は封書を読み返していた。
やっぱり難しい表情をしながら。





続。


こんにちは!!

昨晩、新ブログ入り口のPASSの請求下さりましたメールすべての返信をさせていただいてます。
届いてない!と仰る方は、どうぞご連絡くださいませ。


そして新ブログの入り口は、このブログのリンク欄に
『水晶の夢、瑠璃色に染めて』のブログ名で明記されてます。
そちらをクリックしてください。
パスワード画面になりますので。


そして、お話は現在『桃色水面・恋人バージョン』の前後編をUPしてます。

今後、どれくらいの頻度で更新するかは不透明です。
(私の気分と気力次第・・・です)

なので、こちらのブログ内の『密かに・・・・・月日』にて
更新お知らせをしていきます。


宜しくお願いいたします。

瓔悠。


【設定】

臨時妃 ・ 原作寄り


【注意事項】

こちらの作品は、前ブログ『遥か悠遠の朱空へ』にて公開していた作品です。
今回こちらへ移行するに伴い少しだけ手直ししておりますが、
書いた当時の陛下と夕鈴の関係が浅いものでありましたので、
当時の雰囲気を残すべく糖度はあまりありません。
そのことを踏まえた上でお読みいただけます様、宜しくお願いいたします。   瓔悠。










寝台の上に置いてあった薄い夏用の膝掛けを持ち上げると、身体に巻いてもう一度姿見で見る。
肩から膝まできちんと隠されており、これで帳の外で待つ狼対策もばっちり!と安心して帳を開けて寝室を後にした。

「わぁ~~」

黎翔は感嘆の声を挙げた後は、夕鈴の姿を上から下までジックリと見惚れていただけだった。
華奢な撫で肩から伸びる腕は白く透き通る滑らかな肌が続き、その腕でシッカリと頸紐が落ちないように抑えている。
そして桃色の水玉模様の水中着越しからでも解る柔らかそうな双丘。
太ももの真ん中程度まで桃色の水中着の襞が被い、その下から覗くのは白くすらっとした両の足。
恥ずかしさを強調するようにホンノリと薔薇色に染まった艶やかな肌。
文句のつけようのない完璧な肢体で黎翔を虜にしてしまいそうである。

「あの・・・余り見ないでください」

瞳を潤ませ、紅を差してなくても薄桃色に染まった唇から紡がれる懇願の言葉は、
どうしようもなく黎翔の庇護欲と独占欲を駆り立てる。
夕鈴は恥ずかしがりながらも頸紐が解かれている事が気に掛かるようで、
胸の上ではだけない様に抑えている手を離す事が出来ない。

「僕が頸紐を結んであげるから、こっちに来て後ろを向いて」

ニッコリとご機嫌に笑うと、手招きをして夕鈴を誘う。

どうやら、逃げる事は最早出来そうにないわ。
ここは大人しく陛下の申し出を受けた方が得策・・・・・なのよね、きっと。

「では、お願い致します」

頭を下げた後、黎翔にゆっくりと近づき結び易い様にそのまま目の前に立った。
黎翔は待ってましたとばかりに両肩に乗っている頸紐を素早く持つと、
薄茶の柔らかい髪の毛をそっと左右の肩に分ける。
そこには日焼けしていない真っ白な項が露わになり、夕鈴の髪から花の様な芳しい香りがふんわりと立ち昇る。
黎翔はその芳香にクラリと眩暈を覚えながらも、真白の項には極力当たらないように気を付けて頸紐を即座に結び、両肩に分けた髪を元に戻した。
纏めていない柔らかそうな薄茶の髪は窓からの風でサラサラと揺れ、
真後ろで見ている黎翔は思わず触ってみたくなり無意識に自身の掌で優しく撫でていた。
夕鈴は、黎翔の無意識行動に身動き一つ出来ずに、文字通り『銅像』化していた。

もう頸紐は結んで下さった様だから、振り返ってお礼を言ってもいいのかしら?
このままだといつまで経っても小川には行けそうもないし。
行けないとなると、この衣裳はまだ脱ぐ事は出来ないと言う事で・・・。

「陛下、有難うございましたっっ。無事に頸紐も結べた様ですので、当初の目的の水遊びに参りましょう」

夕鈴は振り返りニコッと眩しい太陽の様な明るい微笑みを見せ、
黎翔の腕を引っ張って戸口に向かおうとした。

「夕鈴・・・そのままだと、回廊で他の者に逢った場合がマズイから」
「あっ、そうですねっ!侍女さん達が見たらビックリしてしまいますね。
では先程の膝掛けを巻いて行きましょう。」   
「いや、侍女達でなくて」
「えっ、他に誰かいましたか?」
「もういいよ・・・・・・・」

夕鈴の鈍感さには全く呆れるよ・・・全く。
何故夕鈴と同性である侍女に対して警戒する必要があるんだ。
僕以外の男性に対してだと如何して気が付かないんだ!

しかし男性に免疫のない夕鈴に、自分が注目の的になりうると気が付いて欲しいと言う方が酷である。
意識の距離は、夕鈴と黎翔とではかなりかけ離れているのだから。
気が付かないのなら教えるしかないのである。

「夕鈴・・・侍女ではなくて、回廊には官吏がたまに横切って庭園に方に抜けて行く者もいるのだから、
そんな所にこんな可愛い格好の寵妃が現れたら・・・どうなる?」
「そうでした・・・考えが足りずに申し訳ありません」
「ホントだよっっ、じゃあこれを纏って」

先程の膝掛けではなくそれよりは少し小さいが、
湯上りの際に使用する大判の手ぬぐいを夕鈴に手渡し身体に纏わせた。
これならば男性の好奇の視線もかわせ、水遊びをした後にも身体を拭けるので一石二鳥と言うものだ。
これで黎翔の心配事は無くなり、心置きなく出掛けられる事となった。

「では、夕鈴」

優しい眼差しで夕鈴を見ていた黎翔が、そっと手を差し伸べる。
でも当の夕鈴は、どうしてよいのか解らず戸惑ってしまい身体が固まってしまった。
けれどそんな夕鈴にはお構いなしに、黎翔は強引に夕鈴の手を握り締めた。

「行こうか、我が妃よ」
「・・・・・はい、陛下」

回廊に出るということで、黎翔が纏う雰囲気が狼のものに変わる。
それを感じた夕鈴も寵妃の受け答えをしたのだった。


***********




回廊を横切り飛び石の続く先には目指す庭園が有り、
その奥に入ると草が生い茂った先に清水の湧き出た小川があった。

「わぁ~~綺麗ですね」

日差しで水面はキラキラ宝石箱を引っ繰り返したかの様に色とりどりの光りが反射して、瞳に飛び込んでくる。
庭師によってキチンと整備された小川のようで、川岸は置き石で囲まれており周りには季節によって咲き変わる花々が植えられていた。
夏の盛りの今は薄桃色の夏水仙、赤色の姫檜扇水仙が所々で咲き誇っている。

夕鈴は川岸に座り込み、キラキラ光る水面の上澄みを両の手で掬ってみた。

「冷たくて、気持ちいい~水も透き通っていますよ~」

子供の様にはしゃぐ夕鈴を見詰めながら黎翔の表情は破顔していた。
夕鈴と水遊びに興じる事が出来る喜びを感じていたのだ。

「夕鈴、そんなに覗きこんでいると落ちてしまうよ」
「陛下、大丈夫ですって!!それよりも水が冷たくて気持ちいいですよ。
陛下も手を浸してみて下さいよ。涼が取れますよ」

振り向いて無邪気にニコッと微笑む寵妃は、否応が無く黎翔の胸を高鳴らせる。
直ぐにでも纏っている手ぬぐいを外して、夕鈴の肢体を僕だけのモノにしたくなる。
そんな独占欲が首をもたげてきて抑えきれなくなり、気が付けば黎翔は夕鈴を後ろから抱き締めてしまっていた。
髪からは陽光の匂いが立ちこめ、黎翔の頭の芯をクラクラさせる。
その香りに包まれ、黎翔は抱きしめた手を更に強め、夕鈴の身体をグイッと自身の逞しい胸に引き寄せた。
そして抱き締めたはずみで夕鈴の身体を覆っていた大判の手ぬぐいがハラリと肌蹴て、
微かに震える細い肩や薄桃色に染まったスラッと伸びた足が露わになる。
 
「へいか・・・・あの・・・どうなさったん・・・ですか?」

突然の黎翔の行動に慌てふためき、夕鈴は言葉が詰まり出なくなった。

バイト妃だからこんな事を喜んではイケナイのよ。
だけど本当は嬉しい・・・けど。

そんな相反する感情に夕鈴は戸惑っていた。
そして自分自身を如何していいのか解らず、身体をピクリとも動かせなくなっていた。
気が付けば、黎翔にされるがままで固まってしまっていた。


どれほど刻が経ったのか?
どれとも刹那だったのか?

・・・・・蝉の大音量の鳴き声が耳を劈き、二人は我に返った。

黎翔は後ろ髪を引かれつつ抱きしめた手を離し、夕鈴は居ずまいを正すと何事もなったかのように肌蹴た手ぬぐいを傍の置き石に掛けた。
そして小川の真ん中くらいまで入って行き両手で水を掬い振り返ると、
ニコリと口角を上げ微笑みそのまま『それっ』と黎翔に向かって浴びせた。

「冷たいよ~~~夕鈴」
「冷たいでしょう!!でも気持ちいいと思いますが、どうですか??」
「そうだね・・・結構気持ちいいね」

夕鈴は気恥しさを隠すために、敢えて楽しい雰囲気を出して先程の事は忘れてしまおうとしたのだった。

「陛下も入って下さいよ~~~水嵩はそんなにないですから、水中着が無くても大丈夫ですよ」

夕鈴は嬉しそうに足先で水を蹴って雫を遠くに飛ばしていた。
そのパシャパシャ音を立てて水面が揺れるさまは、二人の今の落ち着かない心情を物語っている様だった。

「じゃあ、僕も入るとしようかな・・・折角の夕鈴のお誘いだし」

片目を瞑りいたずらっぽく笑う黎翔に、やっと緊張が解け夕鈴は手招きして同じく笑ってみせた。
そうして黎翔は濡れる事も構わずズンズン入ってきたかと思うと水を掬って夕鈴に投げかけ、
あははと愉しげに声を上げて笑っていた。

「ほらっ、さっきのお返しだよ」

水嵩は膝よりも下ほどで夕鈴は生足で水の冷たさを感じていたが、
黎翔は衣裳が濡れ足に張り付いた衣裳越しに水の感触が伝わっていた。
衣裳がひんやりと肌に触れ、その冷たさにジリジリと肌に差す暑さはとうに何処かに行ってしまった様に感じて、この水遊びは正解だったと痛感した。

しばし童の様に水の掛け合いこをして笑い合っていた二人だが、
ふと空を見上げてみると遠くの空に出来上がった大きな入道雲が徐々に空の大半を占めてきていた。
更には微かに遠雷が耳の奥深くに届き、雨が近い事を教えていた。

通り雨がくる!!!

二人はそう確信して無言で水から上がると夕鈴は傍の置き石に置いてあった手ぬぐいを肩からふんわりと掛け、雫の付いた身体を拭いた。
ふと隣の黎翔を見ると、濡れた衣裳を絞りながら妖艶な瞳で夕鈴を見ている。
いや、盗み見をしていると言った方が正しいだろうか。

陛下が見ている・・・・私、何かヘンなの?

自分の姿を見回して、確認してみるも何処もヘンなところはなく首を傾げた。

『水も滴るイイ男』なんて言葉が有るけど、夕鈴の姿はさながら水の精霊とでもいったところだな。
やっぱり水中着を贈って正解だった。
こんな艶やかな夕鈴を見る事が出来たからね。

夕鈴は自分の姿が男性を誘う色香が備わっていることを全くと言っていいほど理解しておらず、
しきりにおかしいところがないか入念に調べていた。
そんな夕鈴が可愛くて、クックックッと声にならない笑いをコソコソとする黎翔だった。


「陛下、何かおかしい所でも?」
「いいや・・何もないよ。夕鈴、雨が落ちだす前に戻ろうか?」
「はい」

二人は連れ立って肩を並べて歩きだした。

「また、夏の間にもう一度二人で 楽しもうね」
「ええ・・・」

ハッキリと『はい』と言えないのは、もう水中着を着るのは恥ずかしくてコリゴリだと思ったからである。
しかしその後夏は駆け足で去って行き、水中着は箪笥の奥深くで静かな眠りに就いたままで取り出される事は無かったのであった。




終。


おはようございます~

昨日は父の日でしたね。
世の中のパパさん、良い一日となりましたか???


ウチの父の日ですが~
昨日は、旦那様の誕生日でもありまして・・・・・
まぁ、メデタイ!なんていう年ではないのですが、
一応子どもたちから誕生日兼父の日のプレゼントを貰ってホクホクだったようです。
(・・・・・・・・・・・母の日なんて、娘からのお手紙だけだったのにさっっ!!←少し拗ねてます)


娘からは傘。
これは私が提案!
だって、旦那はしょっちゅう傘を失くす人で・・・・・・・
その殆どが飲み会の時で!
JRの車両内で、飲み会の開催されたお店で・・・・と。
何度私が溜息を漏らしたことか。
もう今度失くしたら、ビニール傘にするからね!!!と宣言してるくらい。
なので、今回娘に傘をプレゼントしたら??とアドバイス。
流石に娘から買ってもらった傘となると、失くさない様に気を付けるだろうと。
さぁ、どんな結末になりますやら・・・(笑)


そして息子は、最初ビールにする!なんて事を言ってましたが、
それは私が却下!!!
ただでさえ、最近は飲み過ぎだなぁ~と思っているので。

で、日常で使えるものがいいよ~とアドバイス。
それで、部屋着として着れるTシャツ。
休みの日に履ける靴下。
仕事の時に持って行けるタオルハンカチ。
この3点にしました。
柄なんかは息子が選びましたが・・・・結構、男の子の割にまともなチョイスでした。
私が口出しすることなく、パパ好みのものを選んでました。
DSC_0656.jpg  DSC_0658.jpg


旦那も一緒に買いに行ったのですが、子どもたちからの贈り物~と言うことで
感動も一入だったようです。

私からの誕生日プレゼントは???ですが・・・・昨年の私の誕生日プレゼントは結局もらいそびれましたので、今年の旦那の誕生日プレゼントは無し!の方向です。

でも、旦那が昨晩寝る前に漏らした一言。
「折角の誕生日なのに、ケーキがなかったなぁ~何か雰囲気が出なかったよ」と。
・・・・・・・・・・・・・・・・忘れてました、ケーキの存在。
夕ご飯は旦那の好物のトンカツにしたんですけどね。

今日買ってくるべきなのでしょうか???
あはは・・・・・




そして昨晩は、夏前の風物詩イベントに行ってきました!!
それは家族で蛍鑑賞!!!

以前のブログでも、書いたことが有りますが・・・・自宅から車で5分弱のところで蛍の出没スポットがありまして。
毎年この時期に家族で行くのが恒例となってます。
蛍を見ないと我が家に夏が来ない!というくらい重要なイベントです。

夕ご飯後の8時半前に行ってみました。
もう時期的に終盤に近いためか?乱舞とまではいかないものの、かなりの蛍が飛んでました。
そして、毎年恒例で子どもたちは飛んできた蛍を掌に乗せて。じっくりと観察してました。
『可愛いね~綺麗だね~』と言いつつ。
更には昨晩は月も星も綺麗にくっきりと見えていて、さながら幻想風景が広がってました。

蛍の淡い光を見ていると、心和んでくる気がしました。
日頃の疲れも癒されるような・・・・・・。
自然の力は凄いですよね~~~

はぁ~~~良かったなぁ。




それでは、現実に戻って・・・・・仕事に行ってきます!!!
行きたくないけど・・・・・頑張ってくるとしますか!







新ブログのPASS請求くださっているゲスト様へ。
返信が滞ってまして、スミマセン!!!
実はまだUPしている作品が前後編になってしまい、まだ後編の書きかけでして・・・・・前編しかUPしてません。
それなのにPASSだけお渡しするのも申し訳ない!と思い、返信してないんです。
そして鍵の方に何度か不都合があって、試験中でもあるんです。
ですので、少しだけお待ち下さいませ。
宜しくお願いいたします。



瓔悠。


【設定】

臨時妃 ・ 原作寄り


【注意事項】

こちらの作品は、前ブログ『遥か悠遠の朱空へ』にて公開していた作品です。
今回こちらへ移行するに伴い少しだけ手直ししておりますが、
書いた当時の陛下と夕鈴の関係が浅いものでありましたので、
当時の雰囲気を残すべく糖度はあまりありません。
そのことを踏まえた上でお読みいただけます様、宜しくお願いいたします。   瓔悠。







黎翔の予言は見事に的中していた。
あの水中着に初めて袖を通した日から、丁度3日後・・・・・・その日はやって来たのだ。

その日は朝早くから蝉がジィーーと大音量で鳴いており、さながら演奏会でも開いている様な錯覚に陥りそうで。
まだ日も高くないというのに背中には汗が流れ、ジトジトベタベタ・・・不快指数はぐんぐん急上昇していた。
恐らく気温もウナギ登りで上がっており、このままいくとあの長雨の後から一番暑い日になりそうだった。
 
「お妃様、今日はお暑い様ですので、冷たいお食事に致しましたが宜しかったでしょうか」
「はい、そうですね・・・有難う御座います」

侍女の方々は私の体調を常に考えてくれる・・・本当の妃でもないのに。
本当に申し訳無いばかり・・・・。

夕鈴は侍女たちに軽く会釈して感謝の意を表していた。
全く以て、感謝してもしつくせないのである。

私は、何度有難うと言えば良いのだろうか?

夕鈴はそんな事をボンヤリ考えながら食事を取っていたので、思ったよりも中々箸が進まない。
傍で仕える侍女はこの暑さでお妃さまは体調が悪いのではないかと心配して夕鈴の様子を見ていたが、
出した食事はすべて食してしまったようなので一安心して、個々の仕事に戻って行った。

朝餉を済ませると暑い事も手伝ってか何もする気が起きないが、
そうも言っておられず掃除バイトにでも行こうかなと侍女に伝えようとしていた正にその時、
陛下の渡りを告げられた。

「夕鈴、今日は暑いが体調は大丈夫か?」

暑さには全く堪えていないというように涼しい顔で、黎翔は静かに入って来る。
もうとっくに政務は始まっている時刻。

何故陛下は、後宮の寵妃の部屋なんぞに居るというのだ。

よっぽどポカンと呆けた顔をしていたのだろう・・・黎翔はニヤリと口角を上げ、寵妃の頬を掠める口づけを攫う。
予測通り夕鈴は目を白黒させ口をパクパクしている様を、
黎翔はクックッと忍び笑いをしながらしっかり観察しつつ楽しんでいた。

「夕鈴、侍女達が見ているよ」

黎翔が耳元で囁くと、夕鈴は顔を真っ赤に染めながらもみるみる背筋がピンとなり見るからにお妃然となった。
そんな様子を微笑ましく見ていた黎翔だが、可愛らしい夕鈴を独り占めしたくなりそそくさと侍女達を下げる。
二人っきりになると、夕鈴は先程の黎翔の所業に対して直ぐに抗議を入れる。

「陛下、侍女がいるにしても・・・あれはやり過ぎです!」
「たまにはあれくらいしないと、寵愛が薄くなったなんて思われてはいけないからね。
何事にも念には念を入れないと」

ニッコリと笑顔を見せながら、夕鈴の手を取るとワザとらしく手の甲に口づけを落とす。
ビックリして慌ててと手を引っ込めようとするものの、力強い黎翔に阻まれ夕鈴は大きな溜息と共に断念したのだった。
ドキドキし徐々に高まる鼓動を体中で感じつつも自分ではどうする事も出来ず、黎翔に手を取られ窓辺まで移動した。

「夕鈴見てごらん、今日は晴れて雲一つないよ。先日の約束には絶好のお天気だよね~」
「先日の約束?」
「覚えてない?ほら、一緒に水浴びしようと・・・・」

決して忘れていた訳じゃない・・・あの水中着を着ないといけない事を考えると、
さすがに恥ずかしくて誤魔化そうと悪あがきをしてみただけ。

「あっ、そうでしたね。ただ陛下は政務がお有りなのでは?
李順さんがそろそろいらっしゃりそうですが。」
「それが今日は大丈夫なんだよ!ここ何日か夕鈴の顔も見に来たいのも我慢して頑張って、
一通り政務に目途はつけたんだ。だから今日は休暇だよ」

語尾に『ルン』とでもつきそうな程上機嫌で話している黎翔を見ていると、
小犬が盛大に尻尾を振ってご褒美を強請っている幻覚まで見えそうである。
そうなると、これ以上は何を言っても駄目なんだろうなぁと諦めの境地に陥ってくる。

「分かりました!!では、水遊びに行きましょうか・・・」

踵を返し、戸口に向かう夕鈴の腕を黎翔は素早く掴む。

「夕鈴、何処に行くの?僕が贈った水中着は?」

逃がさないよ・・・と妖しい笑みで夕鈴に迫る。

「えっ、着ないとダメですか?」
「ダメっっ!!僕が折角夕鈴の為に選んだのに・・・。
凄く思案したんだよ、夕鈴に一番映える物をと骨を折ったんだからね。
来てくれないと、水中着が勿体無いよ」

『勿体無い』・・・この言葉に夕鈴は敏感に反応する。
正しい庶民感覚が『勿体無い事をしてはイケナイよ~~』と夕鈴を追い立てる。

「分かりました・・・そうですね・・・勿体無いですよね・・・では着替えて参りますので、少しお待ちください」

足取りは少し重そうだが、そそくさと寝室に入っていく。
そんな夕鈴を長椅子に腰かけながら、ニヤニヤと眺める黎翔の背中には黒い羽が生えているようである。

寝室に入ると夕鈴は過日箪笥の奥底にしまい込んだ水中着を取り出し、姿見の前で当ててみる。
いきなり着るのでは恥ずかしくて、まずは姿見で自分の姿を慣れさせる為である。
でも今一歩なのに、中々着る勇気が出来ない。

この前は他の人には見られる事はないと解っていたから、直ぐに着れたのよね。
でも余り陛下をお待たせする訳にはいかないし・・・・でも・・・・恥ずかしいし。

陛下を待たせるのはマズいという理性と恥ずかしいという羞恥心がせめぎ合う。
でも夕鈴は意を決して、女は度胸よ!と覚悟を決め・・・短く一言、掛け声を掛けた。

「えいっ」

気合いを入れ、妃衣裳をするりと脱ぎ右足から入れてみる。
両足を入れるとなんだかもう慣れっこになってしまい、スルスルと着れてしまう。
やはり肌にぴったりと張り付いて、大きくも小さくもない丁度いいサイズだった。
そして後残すは頸の後ろの紐を結ぶだけとなった。

その時、居間から黎翔の声が発せられる。

「ゆうり~~ん!着てみた~~~?首の後ろの紐は、僕が結ぶんだからね~~~結ぶ前に出てきてよ~~~」

何ともまぁ上機嫌で、夕鈴の恥ずかしさを堪えて着ている苦労なんて全く気付かず一人楽し気である。
夕鈴はと言うと・・・今から結ぼうとしていた手が止まり、水中着からすらっと伸びた両足まで真っ赤になって姿見の前でカチコチに固まっていた。
寝室の中の気配が消えたのを察知した黎翔は、帳の向こうで夕鈴が固まっている様子を容易に想像できクスッと笑みを漏らした。

「ゆうりん~~~大丈夫?」

なんともまぁ、原因を作った発言をしていて全く悪びれていないのである。

このまま結ばずに出て行くべきなの?
陛下には申し訳無いけど聞こえてなかった振りをして、自分で結んでいくべきなの?

黎翔の声で正気に戻った夕鈴は、さてどうするべきなのだろうと真剣に考えていた。

でも陛下の手を煩わせるのは忍びないと・・・そう、夕鈴は黎翔が結んでくれるのは、
ただ単に自分では結びにくいであろうと親切心で言っていると物凄い勘違いをしており、
黎翔が下町の女の子が言っていた『彼女と仲良し作戦』を実行しようとしているなんて、
全くと言っていいほど考えも及んでなかった。

夕鈴は素早く紐をキュッと結んでしまうと、そのまま部屋を出ようとした。
キラッと窓辺から差し込む光に輝く姿見に映しだされたのは、
桃色の水中着を身に纏いほんのり薄桃色に染まった肌が露わになった自分の姿。
余りの露出にこのままではイケナイと兎の防衛本能が夕鈴に教えてくれている。

狼に食べられてしまうと・・・・

夕鈴はう~んと唸りながら、狼対策を考え込んでいた。





続。





*************




この先、分岐します。

通常バージョンと禁断(?)の裏バージョンとへ。

裏バージョンの記載先は、新ブログ『水晶の夢、瑠璃色に染めて』となっております。
新ブログは裏バージョンの作品のみとなっておりますので、鍵付きとなってます。
鍵につきましては、このブログの記事の 
【お知らせ】 PASS請求について(新規) ・・・・に記載してます。
ご興味のあるゲスト様は、そちらへお回りくださいませ。

宜しくお願いいたします。

瓔悠。


【設定】

臨時妃 ・ 原作寄り


【注意事項】

こちらの作品は、前ブログ『遥か悠遠の朱空へ』にて公開していた作品です。
今回こちらへ移行するに伴い少しだけ手直ししておりますが、
書いた当時の陛下と夕鈴の関係が浅いものでありましたので、
当時の雰囲気を残すべく糖度はあまりありません。
そのことを踏まえた上でお読みいただけます様、宜しくお願いいたします。   瓔悠。














夕鈴は、上機嫌に部屋を後にした黎翔の去った戸口を見詰めて再度嘆息を吐いた。
心境は、どんよりと今にも雷雨にでもなりそうな灰空色と言う感じであった。
手に持った水中着をしげしげと見詰め、眉間に皺を寄せていた。

いつしか侍女も戻ってきており、長椅子で難しい表情で水中着を見詰めている夕鈴を遠巻きに見ていた。

「お妃様、恐れながら其方は陛下からの贈り物で御座ますか?」
「ええ、陛下が先程いらした際に頂きたのですけど・・・」

頬をポッと赤らめ言葉を紡ぐ夕鈴に、周りの侍女たちは『お妃さまは本当にお可愛らしくて素敵だわ』と感動に似た感情を皆が感じていた。

「その水中着は、街で話題の最先端のもので御座いますね」
「そうなの?そういうものに私、疎くて・・・よく分からなくて」
「首で紐を結ぶものは今年の流行だそうで、売り切れ続出だそうです」
「お妃様、そのお色とお柄も素敵ですね。桃色の水玉模様は今年初めて出たものらしいですわ」
「まぁ、そうなのね・・・」

侍女さん達は本当によく知っているわね~しかし一体何処でそんな情報を仕入れるのかしら?
下町では今まで本格的に泳ぐ機会なんてなったから持ってなかったけど、これが今年の流行りなのね。
確かに可愛いけど、これを陛下の前で着るの?
恥ずかしくて、穴があったらではなく穴を掘ってでも入りたいぐらいだわ。

キャイキャイ盛り上がっている侍女たちを尻目に、夕鈴は一人考え込む。
そして近日中に・・・いや下手したら明日にでも着ないといけない日が来る事を想像して、
夕鈴は気が重くなっていくのを感じていた。


*******


そんな夕鈴の様子なんて知らない黎翔は、自分の策略を楽しげに思い足取りも軽やかであった。
政務室に戻ってきた黎翔はいつになくご機嫌で、うず高く積まれた書簡の山も不平不満一つ言わず精査して印を押捺していた。
そんな黎翔の様子を一番喜んでいたのは、他の誰でもない李順であった。

夕鈴殿のところで何があったかは分かりませんが、政務をこなして頂けるのは有りがたい事ですが。
しかし先日の様に急にどちらかに出掛けられても困りますから、キチンと監視しておかないといけませんね。
あっ、そうそう!この上ないほどの上機嫌な内に、決済頂く書簡を揃えておくことにしませんと。
残りは何処に置いてありましたかね・・・・・・。

側近殿はこの好機にと眼鏡を拭き拭き眼を光らせ、
『陛下仕事詰め込み作戦』を実行に移そうと密かに画策していた。

李順が更に用意した書簡も二刻程であらかた押捺して官吏に指示も出し終わった黎翔は、
執務室に場所を移して夏の少雨対策を講じる為に資料に目を通していた。
ふと、頭を上げて見ると此方をいぶかしげに見ている側近の視線がとかち合った。

「李順、どうしたの?さっきから視線を感じるんだけど」
「いえ、今日はいやに政務に精が出ていらっしゃるなと思いましてね。
夕鈴殿と何かありましたか?」
「ああ、それは昼に水中着を渡して約束を取り付けたからな」

急に狼の気配を醸し出していた。

「そんなもの・・・・いつの間にご用意してらしたのですか?」
「先日、下町へお忍びで下った時に」
「先日とは?もしかして・・・」
「ああ、お前が血眼で私を捜していた日だ。それはそれは楽しいものであった。
女性物のみを取り扱っている店だったから若い娘に取り囲まれ、
『あれがいいだ』の『これが今年の流行だ』のと色々と世話を妬いてくれ、
挙句に『彼女に贈るのですか?』と問われ『ああ愛しい人へと贈るのだが』と答えると、
奇声が上がり更に店がどよめいて店主は苦笑いをしていたぞ。」

黎翔はたった今の事の様に楽しげに話して聞かせていたのだが、
李順はというと眉間に深い皺を寄せずり落ちた眼鏡を指で直しつつあきれ果てた表情を浮かべていた。



************



その日は直ぐに訪れるかに思われたが、連日の振り続く雨で小川は濁った茶色の水が流れ、
水嵩も増しており水遊びどころではなかった。
夕鈴は鈍色の空を仰ぎつつ例の水中着を着なくて良いという安堵感と、
折角陛下が用意して下さったのにという申し訳なさとが半々で心を占め、奇妙な感覚が鬩ぎ合っていた。

黎翔も中々晴れない空を忌々しく感じ、窓越しにチッと舌打ちをしていたのであった。
更に降り続く雨により道路が冠水してしまい流通がマヒしているとの報告がきたため、
その対応に追われそれどころではなかった。
そのせいで政務室に缶詰め状態が続き、後宮に足を向ける事も叶わず五日間も夕鈴に逢っていなかった。
その為か、いやそのためであろうが政務室には夏だというのに冷たい空気が始終漂い、
雷雲は遥か彼方に過ぎ去った筈なのに怒号が響き渡っていた。

官吏たちも連日の雨の対応で急ぎの案件処理に忙殺され、
ついには体調不良を訴える者が続出し、それにはさすがの李順も頭を悩ましていた。
そして優秀な補佐官の二人・・・そう方淵と水月は、方淵はいつにも増して眉間に皺を寄せつつも黙々と抜けた官吏の穴を補完すべく文字通り走り回っていた。
一方の水月は雨が2.3日振り続いた時点で王宮で姿を見たものは誰一人としておらず、
自宅に引き籠って長期休暇を満喫していたのであった。
しかし余りにも忙しかったせいもあり水月が出仕していない事に気がついていたのは、
ごくわずかの官吏だけでそれすらもどうでもよい事として認知されていた。
それくらい皆忙しい日々を送っておりそのお陰もあって迅速な対応となり、
滞っていた物資流通も早くに解決しまた冠水被害もそこまで拡大せずに済んだのであった。

全てが解決した日の夕方、嬉々として後宮へと向う黎翔の姿が回廊のあちこちで目撃され、
これで政務室も陛下の機嫌急降下による異常気象も解消されると官吏たちは胸を撫で下ろしていた。

「夕鈴、このところの雨で気分が塞ぎこんでいるのではないのか?」

後宮唯一の妃の部屋に着くなり、愛しの妃の腰をガシッと強く攫いながら軽く抱くと温もりを確かめた。
夕鈴は侍女がいる手前、拒絶するなんて叶わなかった。
黎翔の胸の中で自分の体温が急上昇していくのを自身では止める事が出来ずに、
次第に震えていく身体を自分でも持て余しジッと銅像の様に耐えていた。

侍女一同は国王夫婦の仲睦まじい様を久方振りに見たことで相変わらずの寵愛に安堵したのか、
スッと音も立てず退出して行った。
侍女の気配が無くなると同時に満足したかのように夕鈴から離れ、優雅に長椅子に腰かけて夕鈴をジッと見詰めると悠然と微笑んだ。
余りの鮮やかさに意表を突かれ、夕鈴は先程の行為について追及する気もすっかり失せて隣にストンと腰かけた。
ただまだドキドキする鼓動を鎮めようと目の前にある桃を手に取ると、
慣れた手つきで素早く剥くと長めの楊枝に突き刺し黎翔へと差し出した。

「陛下、冠水対策が緊急を要しているのだと女官の方より聞きましたが、ひと段落ついたのですね。
本当にお疲れ様でした」
「そうだね。あらかた終わったし、そろそろ多雨の時期も終りを告げる頃だと思うからゆっくりと出来るだろうね」
「それは良かったです。官吏の方も随分と大人数が療養休暇を取っていると聞き及んでいますし・・・まぁ方淵殿は相変わらず精力的にお働きのご様子だったとの事ですが」
「誰から聞いたんだ?」

急に声が鋭利になったことで、夕鈴は桃を持つ手が自然に小刻みに震えてきた。

「いえ・・・侍女の中に官吏とお知り合いの方がいるらしくて・・・陛下がお見えでないからお寂しいでしょうからと。
少し皆さんの様子を教えてくれて・・・方淵殿はやはり柳家の方で憧れている侍女も多いらしくて。
情報が沢山入ってくるらしいので・・・それで・・・」

夕鈴はどう説明すれば誤解なく解ってもらえるのかを考えながら話しているので、
しどろもどろになってしまっていた。
そんな夕鈴の誠実さを伺いしれて自分の嫉妬心が恥ずかしくなり、
黎翔は夕鈴の白い手を取ると叱られた小犬の様に項垂れる。

「夕鈴、ごめんね。あんまりにも方淵や他の官吏の事を気にしているから・・・夕鈴は僕のお嫁さんなのに」
「いや・・・陛下、私は臨時花嫁ですよ」

殊更に『臨時』に力を込めて、自分にも再認識させるように言い放つ。

「臨時だろうと何だろうと、僕の妃に変わりないんだからね。
だから、僕の前で他の男性の話はしないように。いいね!!」

黎翔は夕鈴の言葉を疑いはしなかったが、一応釘は刺しておく周到さを如何なく発揮していた。

「あっそうそう、先日約束していた事だけど・・・もう2、3日晴れが続けば、
あの小川も元の清涼な流れに戻ると思うから楽しみにしているよ。一緒に水浴びしようね」
「は、はい。そうでしたね」

うわ~~なんか陛下の目キラキラしてない?
すっごく嬉しそう・・・・これは逃げられないという事なのよね。
そろそろ覚悟を決めないといけないようだわ。

しばらく他愛のない話をしてまた政務に戻った黎翔を見送ると、
夕鈴は直ぐに箪笥の中から例の水中着を取り出して姿見の前で自分に当ててみる。
確かに桃色の水玉で可愛いとは思うし、着てみたいという興味も少しはある。
ただ下着のように露出している部分が多過ぎるのが恥ずかしいだけ・・・。

でも私の為に用意してくれているのだから着て見せないと申し訳ないし、
直しっぱなしにしておくことのは勿体無いわよね。

寝室に入り人払いを済ませると深く息を吸い込んで静かに吐く。
そして意を決したように踝まである衣裳をするりと脱ぐと、
誰も居ないのだからと自分を安心させ下着も外し寝台の上に丁寧に置いて代わりに水中着を手に取った。

両足をまずは入れて見て、少しずつ上へとあげていく。
どうしてサイズが解ったのか疑問が残るがぴったりとしており、まるであつらえた様であった。
上半身まで綺麗に着てしまうと後は首の紐を結ぶだけ。
両手を後ろへ回し器用に結ぶと姿見で自分の姿を映してみたが、恥ずかし過ぎて直視する事が出来なかった。
取り敢えずサイズはぴったりだったのは解ったので、直ぐに妃衣裳に着替え水中着はそのまま箪笥の奥底に直し込んだ。



続。


【設定】

臨時妃 ・ 原作寄り


【注意事項】

こちらの作品は、前ブログ『遥か悠遠の朱空へ』にて公開していた作品です。
今回こちらへ移行するに伴い少しだけ手直ししておりますが、
書いた当時の陛下と夕鈴の関係が浅いものでありましたので、
当時の雰囲気を残すべく糖度はあまりありません。
そのことを踏まえた上でお読みいただけます様、宜しくお願いいたします。   

そして此方は、【桃色水面1】内の幕間の話となってます。

瓔悠。






それはそう、黎翔が李順に内緒で王宮から姿を消した時の事。
一体何処で何をしていたのか?
それは黎翔にしか分からない・・・・・・・・。




「店主、此方には女性物の水中着があるとのことだが」
「はい、いらっしゃいませ。各種取り揃えておりますが、どのような物をお探しで?
うちは品ぞろえは豊富ですから、お客様のお気に召さない筈はございませんよ!!」

薄い生地質の灰色の外套を羽織った若い男性が、
小太りで商売上手そうな店主に質問を投げかけてニヤリと微笑む。

「そうだな、髪は薄茶で細身の女性に贈りたいのだが、直ぐに用意できるだろうか?
余り露出してない物を好むのだが・・・」
「左様ですか・・・でしたら、この通路の奥に可愛らしい方がお召しになられるとお似合いのものがありますよ。」

目当ての右手で指し示しただけで店主は案内をする風も無く、椅子にどっかりと座り込んだ。

これは、自分で気に入ったものを選べということか・・・。
しかしその方が余計な押し売りなどされずに自由に選べるから良しとすべきだな。

黎翔は一人、店主の指し示した通路へと一歩足を踏み入れた。
その教えられた売り場を遠くから眺めると、居るわ居るわ妙黎の女性達が。


「まぁ、これも新作よ!」
「見てっっ、これは大胆な作りよ!!これなら男性の瞳を釘付け、間違い無しよ!!!」
「でも、可愛らしさを強調する方がいいんじゃない?」

女性達は、かしましく水中着談義を繰り広げている。

あの中に自分のみでいけと・・・・。
はぁ~~正直、勘弁して欲しいものだな。

振り返ると店主はキリキリとお金の勘定をしており、協力する気は更々ないという意思が見える。
仕方なく腹を括って黎翔は、賑やかな売り場へと近付いた。

「これは?これ見てよっっ」
「きゃ~~可愛いわね~」

まだ談義は続いているが・・・外套を羽織っているとはいえ見目麗しい男性の登場となり、
かしましい女性達は揃って全員頬を染め、先程と打って変わって売り場はシーンと静まり返る。

「ここに水中着があると聞いて来たのだが・・・」

黎翔は女性達が見ていたので、一応断わりを入れてみた。
低くて艶のある声が頭上から降ってきた為か、夢見心地だった女性達も一斉に我に返る。

「は、はいっっ!こちらです。あのう~一つ聞いてもいいですか?
水中着はなんの為に購入するんです?だれの為です?
まさか、自分の為なんて言いませんよね」

その内の一人が遠慮がちに、しかし大胆に黎翔へ質問する。
 
「いや、自分の為では断じてない。
実は愛しい人に贈るのだが・・・それがどうかし「キャ――聞いた?」」

黎翔が言い終わらないうちに歓声が上がる。
そして間髪入れずに、女性たちは自分の言いたいことを口々に言って騒ぎ立て始めた。

「良いですね~~彼女さんにですか?羨ましいです」
「一度でいいから、私も彼女さんのように大切にされたい~~」
「彼女さんと一緒に水遊びなんですね~~いいなぁ~~」

全く元気なものだな、これが下町気風か。
そう言えば、夕鈴の友だちの・・・確か明玉とかいうのもこんな感じだと言っていたな。

黎翔は気を悪くする風も無く、女性達の元気の良さに感心していた。
それと言うのも、先程から夕鈴を『彼女さん』と断定され連呼されているのが嬉しかったのである。

「じゃあ良かったら、私達が彼女さんの水中着を選ぶお手伝いをしましょうか?」
「そうだな・・・では、お願い出来るだろうか?」
「「「是非に!!!」」」

女性達はハモリつつ、すでに目は色とりどりの水中着を選んでいた。
何点か出してみて、黎翔に見せてみる。
黒の背中空きの物や水色で胸元が大きく空いている物・・・・更には小花柄の上下が別れている物など、
それこそ様々な種類を次々に出してくる。
その様子に、黎翔はこんなに種類があるのかと感心を示す。
女性達は気を良くして、色々と黎翔に一つずつその水中着を着た時に強調される女性の魅力について語っていく。
黎翔も負けじと、女性達の語りに頷きながらも駄目出しをしては選び直しをしてもらっていた。

そうこうしているうちに、半刻が過ぎていた。
段々と売り場の水中着が出しつくされようとしたその時、女性達の視線が一つの水中着に注がれた。

「では、これではどうだ~~~絶対にバッチリだと思いますよ」

黎翔の前に差し出されたのは、桃色の水玉模様の可愛い水中着。
首の後ろで紐を結ぶ種類のものだから、黎翔が結んであげれば更に仲良くなれると女性達は大威張りで主張する。

黎翔も夕鈴の着た姿を想像してみて似合いそうだと・・・『うんうん』と頷き、妖艶な笑みを浮かべた。
そして女性達に一言告げる。

「では、そなたたちもこれで彼氏と仲良くなれるのではないのか?」
「そうですね~~~それにはまずは彼氏ですけど・・・・。
でも、これいいかも?!私達もこの形の物にしようか?・・・・確か違う柄があったよね」

黎翔が放った鶴の一言で、あんなに中々決まらなかった女性達の水中着もすんなりと決まった。
店主へお金を支払い店を同時に出た所で、女性達と別れることに・・・。

「彼女さん、喜ぶといいですね」
「お幸せに~~私たちも頑張りますね」
「お礼を言っていなかったな・・・そなたたちのお蔭で良い品を購入できた。
礼を言おう、ありがとう」
「いいえ、とんでもないです!!私たちも楽しかったですし」
「そんな・・お礼だなんて・・・」

女性達は黎翔の言葉に恐縮しつつも、やはり見目麗しい黎翔の姿にポっと顔を赤らめながら手を振り歩いて行った。


女性達の姿が完全に見えなくなった所で、黎翔も王宮へと足で向けた。
その足取りは軽快で跳ねているようだった。

黎翔の思いはすでに後宮の唯一の花へと向けられており、
後日夕鈴に手渡す際の反応を楽しみに想像しながら、ニヤリと微笑んだのだった。





終。 


【設定】

臨時妃 ・ 原作寄り


【注意事項】

こちらの作品は、前ブログ『遥か悠遠の朱空へ』にて公開していた作品です。
今回こちらへ移行するに伴い少しだけ手直ししておりますが、
書いた当時の陛下と夕鈴の関係が浅いものでありましたので、
当時の雰囲気を残すべく糖度はあまりありません。
そのことを踏まえた上でお読みいただけます様、宜しくお願いいたします。   瓔悠。












今日も、外は茹だるような暑さ・・・ここ何日かはこんな日が続いている。
聞くところによれば、この暑さに体調を崩して休暇を願い出る官吏もいるらしい。
そしてこの後宮も例外無く、ジリジリとした暑さに覆われていた。

確かにうだるような暑さではあったが、侍女さんたち総動員で団扇で煽いで貰っている夕鈴はそこまでの暑さは感じてはいなかった。
普段ならば、そんな侍女さん達に煽いでもらうだなんて申し訳無い!と断固丁寧に辞退するのだが、
昼休憩でお茶を楽しみに来ている陛下がいるということで、仕方なく享受していたのだった。

「この頃は特に暑いですが、陛下は夏の避暑はどうされていますか?」
「避暑か・・・私は暑いからと言って休んでいられないから、
冷たい飲み物を飲んだり冷たい食事にしてもらうくらいしかできないな」
「そうなのですね・・・」

氷が入った冷たいお茶を飲み干して、黎翔は答える。
そして夕鈴は直ぐに、空になった杯に新しいお茶を入れ直す。

「では、後宮の小川などで水浴びはしないんですね・・・・それは勿体無いですね、あんなに冷たくて気持ち良いのに」
「うん?気持ち良いって・・・・夕鈴、もしかして・・・入ったのか?」

黎翔は、つい杯を持つ手に力が入る。
見詰めた先にいる夕鈴は、残念そうな表情を浮かべているだけで、
黎翔の視線なんて気にも留めてないらしい。

「はい、先日暑い日に足を浸けただけですけど入りましたよ。
ホントは足だけでなく、ちゃんと入りたかったんですけど・・・・。
えっ、何かいけない事でも?実はあの小川って入ってはいけない所だったのですか?」

夕鈴は慌てて杯のお茶を飲み干したため、コホッコホッと空咳が出てくる。

「夕鈴・・・・君は、以後小川での水浴びは禁止!!いいねっっ」

黎翔の深紅の瞳がジッと睨んでいるようで夕鈴は少し怖い気もしたが、
いきなり禁止を言い渡されるのには納得がいかず再度聞き返す。

「何でですか?」
「何ででも!!」

理由は告げずにただ『否』という黎翔にやっぱり納得はいかないが、
狼の声音を出してくる黎翔に逆らうことなど出来る筈も無く、夕鈴は仕方なく了承だけしておいた。

「分かりました・・・・」

どうしてあそこまで頑なに止められるのかしら?
でもまぁ、陛下達が暑い中一生懸命お仕事されているのに私だけが楽しんだら申し訳ないわよね。
そうよ、バイト妃なのだから、陛下のお役に立てる事でも考えないといけないのよね。

冗談じゃないっっ。あの小川は官吏も通る回廊の近くじゃないか!!
夕鈴の可愛い脚を見せるなんて出来るか!!!

夕鈴は黎翔の想いになんか到底気がつかず、違う答えを導き出し一人ウンウンと頷いて仕方が無いと諦めたのだった。
そんな可愛らしい夕鈴の様子に黎翔は満足したのか、
杯の中のほろ苦い冷茶を最後の一滴まで丁寧に飲み干すと、
何かを思いついたように急いで部屋を後にした。

この後黎翔が夕方頃にふらりと王宮から居なくなり、
李順が血眼になって探していた事を後宮で過ごしていた夕鈴は知る由もなかった。
まして黎翔が王宮を抜け出した理由が夕鈴にあるなんて思いもよらない事であった。


*******

それから数日後。
暑い日に小川で水浴びしたのを咎められた夕鈴は、今日のこのムシムシとする暑さに身体が涼を求めて悲鳴を上げかけていた。

やっぱりこんな日は、水浴びをするには最高の日なんだけどなぁ~
どうして陛下はダメだっていうのかしら??
水中着で本格的に泳ぐ訳ではないのに。

「お妃様、陛下がお越しです」
「分かりました、お通しして下さい」

戸口まで黎翔を迎えるのに、夕鈴は長い裾を静々と音を立てず足で捌きながら歩いて行く
窓を開けきっているというのに、高温多湿な部屋では少し動いただけで背中に一筋の汗がツゥーと流れていく。
本当に今日は気持ちが悪いくらいジトジトして暑い。

「夕鈴、今日は暑いがどう過ごしているのか気になって・・・それとそなたの冷茶が飲みたくて此方に参ったが」

黎翔は手に包みを持って入ってくる。
夕鈴の髪がいつもと違いおくれ毛を残したまま高く結い上げられているのを見て、「ほぅ」と感嘆の声を上げた。
それと同時に、夕鈴の白い項に手を添えてきた。
夕鈴はその行為に驚いものの、『私はプロ妃!私はプロ妃』と繰り返し呪文のように唱えながら黎翔にされるがままになっていた。

「陛下、お逢いでき嬉しゅうございます」

夕鈴は淑やかに言いつつも、しかし手を添えられた項が熱を持ってその熱が全身を駆け回っている感覚に襲われていた。
頬も上気しているのも感じて、恥ずかしさのあまり両手で自分自身の顔を隠してしまった。
黎翔はそんな夕鈴の様子はお構いなしに、今度は指でおくれ毛を摘まんで弄ぶ。
我慢の限界近くに達した夕鈴の瞳は『やめて下さい』と訴えており、
更には全身から静かな怒りオーラが出ている。

お楽しみは此処までだな。

黎翔は夕鈴の項から手を離して、さっさと何も無かったようにドッカリと長椅子に深く腰かけた。
夕鈴も妖しい指からやっと解放され、安心してお茶の用意へと向かった。
項に残る暖かさと胸の高鳴る鼓動を抱えたままで・・・・。

そして黎翔から離れた卓で高鳴っている鼓動を何とか落ち着かせるようと、夕鈴は何度も何度も深呼吸を繰り返した
次第に落ち着いてくる鼓動に安堵して、今度はお茶を入れるのに集中することにした。

「あの・・・・こちらは冷茶です。今日は甘めの茶葉にしてみましたが、陛下のお口に合うとよいのですが」

零さないように黎翔に杯を手渡しながらも、黎翔が手にしている包みの中身が気に掛かりそちらをチラチラと見る。
何かしら、あれ・・・・結構大事そうに持っているけど、重要なものかしら??

夕鈴の視線に気が付いた黎翔は、ニヤリと口角を上げて微笑んでみる。
これが気に掛かっているみたいだな・・・と。
そして未だに怪訝そうな顔つきをしている夕鈴の様子に、黎翔は直ぐさま侍女たちを下げる。

「夕鈴、これが何か気になるんでしょ」
「はい、スミマセン・・・実は気になってしまって・・・それは何ですか?」
「夕鈴、顔に出過ぎているんだもん。僕、面白くって吹き出しそうになったよ」

そう言うと、黎翔はクスクスと思い出し笑いをする。
笑われた本人はと言うと、少し拗ねてそっぽを向いてしまった。

全く可愛いんだから・・・・ホントにこんなに可愛いから後宮に閉じ込めておきたくなるんだよね。
まぁ、そんな事なんて出来ない事は解りきっているんだけどね。

「夕鈴、これ僕からの贈り物だよ。ハイ、どうぞ」

黎翔は夕鈴に包みごと手渡す。
渡された包みを持つと夕鈴は深々と頭を下げ、お礼を言う。

「有難うございます。今ここで開けてもいいですか?」
「良いけど・・・・夕鈴に一つお願いがあるんだけど、聞いてくれる?」
「お願いですか?な、なんですか?」
「うん、まずは承諾してから開けて欲しいから・・・どう?聞いてくれる?」
「承諾ですか?気になりますからお願いごとを言って下さい」
「まずは夕鈴が『いいよ』って言ってくれないと」

二人の押し問答は続く_。
しかしこのままでは埒が明かないし、いつまでたってもこの包みの中身も分からない。
夕鈴は言い合いしていても仕方がないと思い始め、自分が折れることにした。

「分かりました!お願いですね、聞きますから」
「じゃあ、これを着る時は必ず僕の前だけにしてね。もう一度言うけど、僕だけだからね!」
「着るですか?中身が何なのか、よくわかりませんが陛下の前でだけですね・・・・そうします」

念押しする黎翔に返事をしつつ包みを開けると、中から出てきたのは・・・・・・・。
可愛い桃色の水中着。

夕鈴の顔は真っ赤を通り過ぎて、深紅に染まっていた。
恥ずかし過ぎて、頭から湯気がでて今にも沸騰しそうである。

「こ、これは・・・・何でしょうか?」
「え、見て解らない?水中着だよ!!今度水浴びするときは、これを着てしてね。
それとさっき約束したけど僕が見ている時に着てね~。いや~~今から楽しみだよ」
「楽しみって・・・」

夕鈴はガックリと肩を落とし、不謹慎だとは思ったものの水中着を凝視しつつ『はぁ~~』と深い溜息を吐く。
そんな夕鈴を見ながら、作戦成功と満足げにニヤリと意地悪く微笑む黎翔がいた。





続。


こんばんは。


また更新が滞ってます。
はぁ??またかよ!とお思いの方もいらっしゃるかと・・・・。

身体がしんどくて。
相変わらずの忙しさと睡眠不足の日々でして。

コメントの返信すらも出来てません。
ホントにスミマセン。


したいこと、書きたい気持ちはあるんですが・・・・いかんせん、身体が思うように動いてくれません。
昨晩は左胸がいたくて・・・・・思いっ切り、何かの病気?とか思ってPCで検索しまくりました。

月末には人間ドックに行く予定です。
あまり気は進まないのですが・・・・・子どもたちもまだ小学生。
私が病気になるわけにはいかないので、健康診断はしておくべきかな??と。
(昔人間ドックが切っ掛けで、胆石が見つかり、胆嚢除去の手術しましたし・・・)
一家の大黒柱の旦那が病気になるのは一番困りますが、
地味に一家の主婦も病気になると困りものですものね。


も少し、お待ち下さい。
元気に復活致しますので~(多分・・・)


今、したい事!!!
実は・・・・・・・・ある方に触発されて、またオフ本を作りたいなぁ~と思ってます。
売らなくてもいいから、自分だけのものにしてもいいから欲しいなぁ~とか思ってます。
あちらに置いたままの話で作るのもいいですけど、何か新作で作りたい。
ブログで書くのとはまた違う感覚が味わえるんですよね~オフ本って。
縦書きだからなのか??表紙を考えるのが楽しいからなのか??
印刷会社から戻って来た時の、段ボール開ける時のドキドキ感が良いからなのか?
一度味わうと、抜け出せません。



時間と冴えわたる脳みそと元気な身体が欲しい!です。
切実に・・・・・・・・・・・・。



瓔悠。


こんばんは!!


一部の方にはご心配いただき、有り難うございます!!
コメントまでお寄せいただき、嬉しかったですっっ。
スミマセン、返信は明日にさせてくださいませ。

そして昨晩寝たのは、やはり日付が変わるホンの前でした。
本来ならば、熱があるのならば早目に就寝すべきなのですが・・・・主婦は中々実行できませんね。
しかし、仕事は休めない!という気合があったのか?・・・・・朝には熱は下がってました。
うん!これこそ、『病は気から』の反対バージョンなのでしょうか?(笑)



そして今晩も夜更かし決定のようです。

実は明後日の日曜日は子ども会行事が入っていて、
今その準備をしてるんです。
日曜日は、『キッズ縁日』を開催するんです。

射的や千本釣り、輪投げ・・・・など。
子どもたちがお店屋さんになり、ご近所の自治会の方に来てもらうという・・・。
そして近くのパン屋さんにお願いしたパンの販売やデザートセット・飲み物などを販売もします。
そのイートインスペースの隅で、ミニフリーマーケットを開催!!!
それで今、手作りでシュシュを作っているんです。

DSC_0635.jpg
材料はこれくらいなんです・・・・・編んだりしないからホントに簡単。

DSC_0637.jpg

不器用な私でも作れるお手軽シュシュ!
ストローに巻き付けていくだけで出来て、結構見映えもいいので学校や幼稚園のバザーにも出したことが有ります。

DSC_0639.jpg
折角だから、プライスカードもPCで作っちゃいました。

DSC_0638.jpg
完成品!!!
中々手作り感が出ていて、満足!!!!


色とりどりで作ったから、売れるといいなぁ~~~
収益金は、子供会の活動費になります。
出来れば、沢山収益をあげて年度末のお楽しみ会を豪勢にしたいなぁ~とか思ってます。

日曜日、お天気だといいけど・・・・・
今のところの天気予報は『曇り時々雨』
子どもたちの元気パワーで雨雲を寄せ付けないで欲しいなぁ~~
だって、娘は浴衣を着るのを楽しみにしてるんで・・・・・。


それでは、作業に戻ります。




明日は連載モノで何でもいいからUPしたいんだけどなぁ~~~



瓔悠。


【設定】

臨時妃 ・ 原作寄り ・ オリキャラ有り ・ 原作外設定有り








陛下をまともに見れない。
あんな事の後じゃあ・・・。

私・・・・・陛下に・・・・・キスされたのよね。
夢なんかでなければ・・・・ね。
これは、何か言うべき?
抗議するとか?
いや、何て言えばいいの?
『如何してそんな事をなさったんですか!』とか?
いやそれはおかしいわよね。
もうヤダっっ!頭ぐちゃぐちゃになりそう。
思考がグルグルグルグル回って、考えが纏まらない。

顔を赤らめせ俯いたまま、夕鈴は先程の事が頭から離れず黙りこくっている。
そして黎翔はその様子を見て何か言おうとしたが、これまた何を言えば良いのかが分からず黙っていた。

広い部屋に二人きり、何をするという訳でもなく・・・・・。
回廊の喧騒が微かに聞こえるだけで、静かすぎる部屋に居たたまれない二人がいた。

そんな静寂の刻が流れる中、ずっとこのままかと思いきや・・・・突然、来訪を告げるノック音がした。
拝礼をして入ってきたのは、黄陵国女官だった。
来訪の用向きは、悠から夕鈴への贈り物を届けることだった。
奥まで入ってくるのは憚られるのか、女官は入り口付近で結構大きな包みを頭を垂れたまま差し出していた。
夕鈴はゆっくりとした所作で近づくと、人好きするような柔らかい微笑みを女官に向ける。

「如何なさったのですか?」
「我が王より、お妃様への献上品でございます。どうか、こちらをお召しの上今宵の宴にいらして下さいと仰せつかっております」
「そうですか。それは、わざわざご苦労様です・・・・悠鐸国王様に『有り難うございました』とお伝えくださいね」
「はい、必ずお伝えしておきます」

夕鈴は女官から包みを受け取り、再度微笑んで見せた。
その瞬間女官はポッと頬を赤らめ、深々と拝礼すると静かに退室した。

そしてまた残される黎翔と夕鈴。
夕鈴は女官から受け取った包みを、取り敢えず卓上に置いた。
そして黎翔を見ると、その包みには一瞥もせずにそっぽを向いている。

うん?

夕鈴は怪訝に思い、口を開く。

「陛下?どうかなさったんですか?」
「いや・・・特には」

いや、特には・・・なんて表情じゃない。
微かだが、眉間に皺が数本寄っている・・・ような。

「そうですか」

一応そう答えてみたが、夕鈴は納得いっていなかった。
絶対に陛下はヘンだ。
でも自分も陛下に対してまともに見れないのだから、それはお互い様であり。

取り敢えず、夕鈴は悠からの贈り物の包みを開いてみた。
その中には、見たことも無い衣装が丁寧に畳まれた状態で入っていた。
雲一つない空の色がそのまま生地に移されたような青色の衣装。
裾の部分は波打っていて、クルリと一回転するとふわりと舞いあがるようなフワフワした質感で、
それでいて手触りはサラサラしている。
丈は今着ているお妃の衣装が踝まであるのに対して、この空色の衣装は少し・・・いや結構短い。

「綺麗・・・・・・・・・・」

衣装を持ったまま、夕鈴は素直に感嘆の言葉を呟いた。
こんな衣装は、白陽国では見たことが無い。
黄陵国独自のものだろう。

「これを着て、宴に出てって言っていたわよね・・・・・素敵な衣装だけど、実際に着るには恥ずかしいような。
足元が露わになってるし。でも折角悠様がご用意してくださった衣装だから、着ないと申し訳ないし。
どうしよう・・・・・・・・」

夕鈴は衣装を持ったまま考え込む。
其処へ黎翔があるものを手に持って、夕鈴の後ろに立った。

「ほらっ、夕鈴!」

そう一言だけ言うと、黎翔は手に持った濃い桃色の衣装を後ろから夕鈴にあてがう。

「えっ?これは???見たことが無い衣装ですが・・・・」
「これ??ああ、李順に言って作らせた!」

黎翔はにこやかに答える。

「作ら・・・・・・せた_?」
「だって夕鈴が初めて外交に出るというのに、いつもの地味な衣装ではダメだよ」
「えっ、でも・・・・・衣装は何度か宴に出た時に作ってもらったものを持ってきてあるから、こんな高価そうな衣装は要りません!!」
「え~~~~折角李順を説得したのに、それじゃあ意味がないよ」
「何の意味ですか?私は私の衣装ごときで無駄使いしてほしくは有りませんっっ!」

夕鈴はきっぱりと黎翔に衣装を突っぱねる。

「じゃあ、夕鈴はどちらを着るつもりなの?」
「どちら?」
「そうだよ!悠殿から贈られた衣装と僕が用意した衣装と!」
「イヤ、それは・・・・その・・・どうしましようか?
でも悠様が好意で用意してくださったのだから、そのお心遣いを無下にするわけには・・・・。
(それにそれが外交問題になったとしたら、マズいでしょっっ!!李順さんに怒られるどころで済むはずがない)」
「私が我が妃に相応しいものを用意しているというのに、君はよその王が用意した物を着るというのかっっ」

黎翔の言葉つきが先程の小犬とは打って変わって、狼のソレに変わる。
ホントのところ、黎翔はただのヤキモチに過ぎなかった。
悠に対する対抗意識が勝っているだけだった。
しかしそんなことは夕鈴が気づく訳も無く・・・・・・・。

「陛下っっ!!私は白陽国の妃として此処にいるんです!!!
衣装一つで外交問題に発展するような事態にするわけにはいかないんですっっ!!」

夕鈴はぴしゃりと言い放った。


段々雲行きが怪しくなる・・・・・黎翔と夕鈴。
仲良し夫婦ごっこは一体何処へやら??

悠の思惑通りに進んでいる事なんて、黎翔ましてや夕鈴が気づくはずも無かった。




続。



*******************


こんばんは!!!

一気に書いたところで取り敢えずUPします。
読み直してないので、誤字脱字等あると思いますが、
誤字脱字等は明日手直します。

実は現在37度7分あって、節々が痛かったりするんです。
このところのリア問題が、ついに身体にまで来たようです。

胃が痛い。
身体がだるい。

こんな事で明日仕事に行けるんでしょうかね??
いやはや。
早く寝たい~~~~~
なのに、まだ寝られないんですよね。
はぁ~~~いつになったら寝れるのかな???



瓔悠。


こんばんは!

先日、娘の嘔吐事件の記事にお見舞いのコメントやアドバイスのコメントを頂き、
本当に有り難くて、とても嬉しかったです。

有り難うございました。


幸いその後私を含め、家族には感染せずに済みました。
そして娘も土曜日には元気になりました。



こちらの更新など放置気味で・・・・・
ですのに、ご訪問くださっているゲスト様には感謝しかありません。


スミマセン・・・・・・・・
ちょっとリアの方が色々あってまして(現在進行形なのですが)
こちらにまで心が向かなくて。
正直、ここを少しお休みしようか?と迷ってました。

でも今日、友人と色々話して・・・・・少し浮上しました。
こんな時だからこそ、私が少しでも気分転換して
楽しく過ごさないとダメなんだ!と思いました。


なので、少しづつですが
また書いていきます。

連載モノの続きは直ぐには書けないかもしれませんが
このままずっと放置と言うことは有りませんので、
少しお待ち下さいませ。


取り敢えず、生きてます。
主婦業。妻業。ママ業。
それだけはこなしてます。



それでは宜しくお願いいたします。


瓔悠。


こんばんは!

こんな遅くに更新です。

何故???
娘が吐いたんです!!!

1度目は11時半頃。
確かに寝る前から、何か気持ち悪い・・・・とは言ってましたが寝ていたので安心していたら、
2階から息子の叫び声。
慌てて行くと娘が『吐きそう~』と!
直ぐにトイレに行きました。
トイレで嘔吐して、それで何とか治まったようで・・・・・・・。
私は旦那を駅に迎えに行かなにゃならん!と息子に託し、旦那を迎えに行きました。
そして、1時頃就寝。
すると20分もしない内に、今度は間に合わずそのまま寝たまま吐いて泣き出しました。
髪の毛から、パジャマ・・・・・掛け布団、ベッドなのでシーツなども被害に。
私の掛け布団や枕にまで。

本人はビックリして泣くばかり。
宥めながら、取りあえずシャワーで髪なども洗ってあげて寝せました。

私???
現在2時半、私は汚れ物の洗濯待ちです。
そのままにして寝れませんので・・・・・・・・。
しかし、先程ネットで調べたら、嘔吐物はマスク・手袋・ペーパータオルで処理する方がいいらしい。
どうしよ・・・・・・思いっきり素手で下洗いしちゃったよ。
いやぁ~~忘れてました。
うちの子、風邪引いても嘔吐はほぼしたことがないんですよね。

日付が変わったから昨日ですが、
昼間に先日お子さん及びご自身が胃腸炎の風邪で大変だった友人と電話で話してて、
『大変だったよね・・・・・でも、うちの子は風邪でも吐いたことはないのよ~』と言ったばかり。
まぁ、こんなことが起こるなんて・・・・・・ビックリです。

兎に角朝まで無事に寝てくれるといいのですが・・・・。

はぁ~~仕事休まにゃならんだろうなぁ~~~。
パート先に電話するのが、気が重い・・・・・・。



**************


6月5日10時 -追記-

ご心配お掛けしました。
そして、適切なコメント有り難うございます!!!
スンゴク助かりました。
後程返信いたしますね。

結局、彼女は朝までぐっすりと寝てくれたので安心でした。
私の方が睡眠2時間半のウトウト寝なので、眠いです。
(結局、洗濯2回したので就寝したのは3時半過ぎです)

そして今朝まだ38度あったので先程病院に連れて行きましたら、『嘔吐下痢』との診断が。
取り敢えず食べられそうなら、食べさせて様子を見てください・・・でした。
彼女、熱があってもゲーム出来るくらい元気はあるので・・・・・今、おにぎり食べさせました。
吐かないといいけれど・・・・・・。

さて、洗濯物を干して・・・一眠りしますか。
ふあぁぁ~~眠い。

それにしても、パート先に休みの電話を入れたのですが・・・・・・
まぁ社員の冷たい対応。
だからイヤだったのよね・・・・・・・電話するのは。
次の出勤の時が更にイヤだな。
それ考えると胃が痛くなりそう。


こんにちは!!!

今週早々に梅雨に入ってしまった福岡ですが、今日は洗濯物がよく乾きそうないい天気です。
心が洗われる様な感じです。
でも天気予報で明日からまた雨だと言ってます。


さてと・・・・魂が小旅行から帰ってきました。
何処に行っていたのか??
魂の無い本体の私は、昨日一日中ウトウトしていたのでよくわかりません。
昨日は、朝から眠くて・・・・子どもたちが朝の支度をしている間中、寝てました。
そして子どもたちを送り出して、その後もウトウト。
バドに行って帰って来て、本格的に昼寝。
夜は旦那が遅くてPCの前でウトウト。
どれだけ寝ればいいのか?と言うくらい眠くて・・・・・寝てました。
更には、今朝も子どもたちが学校に出掛けた後1時間ほど睡眠を貪ってました。
お蔭さまでようやく元気になりましたっっ!!!
やっぱり、人間には睡眠が必要ですね~~



さぁて、やっと日常が戻って参りました。
金曜日からドタバタの4日間で、兎に角疲れました。

金曜日こちらで連載モノを更新してから、主婦してました。
掃除・夕ご飯の支度・お弁当の下準備などなど。
旦那のご両親をご招待している手前、一応嫁の務めは果たさねばなりませんから・・・。
夕方、到着~~~それからは、もう座る暇もないほどでした。
そしてその日に限って旦那はいつもよりも遅く・・・・22時半過ぎの帰宅。
もうっっ、明日は早起きなのに~~~~~。

そして次の日は5時起き。
空を見上げると曇りの合間からお天道様がっっ!!!
天気は下り坂とは天気予報は言ってましたが、何とか終わるまで天気が持ってくれるかな?と思いつつ、お弁当作り。
6時には『運動会決行』との学校からの通達メールもあり、お弁当作りに専念出来ます!
取り敢えず、間に合わせないとっっ!!と必死に作りました。

そうして・・・・・・子どもも学校へと出掛けた8時過ぎ、すべてが終わった頃には無情にも空から雨粒が落ちてきてました。
お弁当作りをしていた私は全く気が付かず、実家の父母が来た時に外の様子を知らされ愕然。
「マジですか???」が一言目でした。
しかし、運動会が決行されるのは決定事項で・・・もう行くしかありません。

9時過ぎ・・・・・雨が滴り落ちる中、開会式。
子どもたちは濡れ鼠。
親御さんたちは傘をさしてのビデオ・カメラ撮影。
空を見上げて溜息しか出ません。

そして学校側としての苦肉の策で、プログラムは大幅変更。
まずは、ダンスなどの表情演技をしてから、かけっこ、リレー。
そして最後に騎馬戦、綱引きなどの競争遊戯。
そんな訳の分からんプログラムでした。
見応えもありません・・・・・だって一番の盛り上がりの組体操がプログラム5番だなんて!!
感動もへったくれもありません。
しかし、兎に角最悪出来るところまでと言うことで、そういうプログラムなので仕方ありません。

雨の中、親御さんも濡れながらの撮影です。
ウチの子どもは小3と小6で、創作ダンスに組み体操!!!
丁度有り難い事に、娘の時は小雨程度で、息子の時は雨が上がってました。

S1160008.jpg
娘の創作ダンス。

S1180001.jpg  S1180002.jpg
S1180003.jpg
息子の組み体操!

雨が降ったり止んだりを繰り返しながら、出来るものは兎に角ぎゅうぎゅう詰めで行って、
残りは4・5・6年の競争遊戯3個を残すのみとなったところで昼休憩。
昼食休憩も最低限の時間、たったの40分だけ。
もうお腹の何処へ入ったやら。
DSC_0609.jpg

その休憩の間、ジャンジャン降り。
どうなるかな?と心配になりながらお弁当を食べました。
が、何とか雨も上がり、4年・5年と競争遊戯が予定通りありました。
雨の様子では、4,5年は省くこともあり・・・となってましたので。
ヤレヤレ、良かったね~~~となったところで息子たち6年の騎馬戦。
雨も止んでいたので良かった~と思いきや、また雨は降り出し・・・・競技中に強く降り出しました。
でもビデオ撮影は止められません。
で、結果・・・私もずぶ濡れに。
DSC_0391.jpg

そして最後の閉会式は、テントに入ったまま行われました。

・・・・・・・・・・凄まじい運動会でした。
でも恐らく、子どもたちも私たち親も一生忘れる事はないと思います。
それはそれで良かったのか???
でも晴れてる中でさせてあげたかった・・・というのが、親心です。



そして、次の日。
まぁ朝から上天気。
昨日の雨は何処へやら・・・・・・・・・一日待てば良かったのに。
と空を見上げて愚痴りました。
旦那の両親もまだいるので、少しお出掛けしました。
世界文化遺産への登録を勧告した「明治日本の産業革命遺産」のうちの
「官営八幡製鉄所」の資料が展示されている施設へ見学へ。
子どもたちには少し難しかったらしく・・・・・退屈そうにしてました。
でもその隣の環境ミュージアムでは展示物を触れたり、クイズが有ったりで愉しんでました。

DSC_0612.jpg
こんなに晴れているんです・・・・・くすん。


そしてその日の夕ご飯はBBQにしました。
これだったら準備も楽ですし、子どもたちも楽しめますし~~
お義父さんは大いに喜んでくれました。
ビールも美味しかったそうです。
DSC_0613.jpg  DSC_0615.jpg

そして月曜日!!
子どもたちは代休。
そして旦那も私も休暇をもらっていたので、旦那の両親もその日までご滞在。
子どもたちへの運動会のご褒美を買いに出かけました。
イオ〇のショッピングモールで逢うのは、同じ学校の知り合いばかり。
そりゃそうですよね~~~近隣の学校で運動会が有っていたのは、ウチの小学校だけでしたから。
(近隣の小学校は軒並み23日の土曜日でした)

それで夕ご飯までご一緒して、新幹線の駅まで見送りました。
DSC_0621.jpg  DSC_0622.jpg
のぞみで帰られました。

大変だったけど、新幹線が出て行ってしまうと何だか寂しくなりました。
次は夏休みに私たちが帰省するので、2か月ほどで逢えるのですが。

DSC_0628.jpg


まぁ、そんな感じの怒涛の4日間でした。、
何とか嫁としての務めも果たせましたから、ヨシとしますか・・・・・・・・。

やっと今日あたりから元気になりましたので
バリバリ更新していきますね~~
またお付き合い頂けましたら幸いです。



宜しくお願いいたします~~~~


瓔悠。



追伸、

私が更新してない時にもコメントくださったゲスト様!!!
コメントは有り難く、読ませていただいてました。
返信中々出来なくて、スミマセン。
明日以降にでも返信致します。
もうしばらくお待ち下さいませ。


こんばんは!!!

お久しぶりです。
金曜日に更新して以来です・・・・


話の続きを書きたい!
色々あり過ぎた運動会について『つらつらと・・・』を書きたい!
コメントの返信もしたい!

したい!書きたい!思いはあれど、身体が付いてこない・・・です。

疲れました。
正直・・・・・。


今日は更新しようとPCはずっと開いてましたが、テンプレ変えるくらいしか
出来ませんでした。
話の続きをお待ちになられているゲスト様、スミマセン。
コメントくださったゲスト様、スミマセン。

全ては明日以降に・・・・・・・・・・・。
明後日が仕事休みですから、何とかなると思います。


もう少しお待ち下さいませ。

何も更新していませんのに、ご訪問有り難うございます!!!
訪問者数を見てると本当に嬉しいです!!
有り難くて・・・・・なのに、申し訳なくて。

現在、魂が抜けているようで・・・・・・魂が小旅行から帰ってきましたら、
また元気にバリバリ更新します。


それまで失礼いたします。



瓔悠。


瓔悠

Author:瓔悠

現在の閲覧者数:
05 | 2015/06 | 07
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 - - - -