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こんばんは。
新学期も始まりようやく一息!と思ってましたが、
学校から持ち帰る大量のお手紙類に悲鳴を上げておりました。

学校に提出の保健関係の書類・教育調査票・家庭訪問の希望日時調査票・
更にはPTA委員の調査票などなどなど。
書いても書いても終わらない。
一体どれだけあるのよ!!
去年も同じモノ出したよね・・去年とほぼ変わらないんですけど。
もうっっ、変更になった項目だけ書いて出してもいいですか?
正直、面倒くさいんです。

はぁ~~~。
溜息を吐き、文句を言いつつ・・・ようやく昨日、提出書類を子供たちに手渡しました。
子ども二人分でもヘトヘトで。
お子さんの多いママさん達、マジで尊敬します。
お疲れ様ですっっ!!

さて、そんな感じでリレー止まっていました。
私のターン。
さてどうしましょうか・・・・・・・・・。

狼さん、頑張って『待て』してください!!!
そして兎さん、忙しすぎてへばらないでくださいね。

それでは、続きをどうぞ。


第6話はコチラから~(この世の春様)






***************


【設定】

本物妃 ・ 原作寄り ・ 夫婦設定

【注意事項】

こちらの作品は、ほんのりとネタバレが出てきますので
ご注意ください。








朝が来た。
昨晩も夕鈴と共寝出来無いままで。
更には、我欲まみれの夢まで見てしまう始末。

これは、大いに問題だ。
このままでは毎夜夕鈴を想い夢を見続け、その夢こそが現実だと錯覚し兼ねない・・・・・。
原因はただ一つ。
『夕鈴不足』がこの事態を招いているのだ。

しかし、夕鈴には自分と共に過ごす時間などないらしく。
寂しいなどという感情も何処かへ飛んでいっている様に見受けられる。

「この状況を打破するために、何とかせねば・・・。
それには、まずは夕鈴との接点をもっと持つべきで。
あれくらいで足りないのであれば、何をすればいいのであろうか」

黎翔は起き上がりながら独り言をブツブツと呟く。
しかしここには誰もおらず、返答はおろか相槌すらも聞こえてくることは無かった。


***********

「さぁ、今日は紅珠と筝の稽古からだったわね。
張り切っていくとしましょうか!」

昨晩も早目の就寝をしたことから、夕鈴の体調は万全でやる気も漲っていた。

今日こそは、演奏曲を全て通して弾ける所まで持っていく!!

夕鈴は、今日の目標を心の中で唱える。
まだ一度も通しでは最後まで演奏出来ておらず、
自分の不甲斐なさに辟易していたのだ。
わざわざここまで足を運んでくれている紅珠の為にも、
そろそろ自分一人で練習出来るくらいになりたい。

「お妃様、そろそろ氾家の紅珠様がお着きになる刻限でございます」

手前の居間から、侍女が自分を呼ぶ声が聞こえてくる。
その声に導かれて、夕鈴は背筋がピンと張っていくのを感じていた。

「そうですね、分かりました。
今から参りますので、少しお待ちくださいね」

柔らかい声で答えると、夕鈴はお妃然とした顔つきに変化した。


紅珠との練習場所はその日の気候や気分によって変えられており、
今日は天気も良い事から後宮の庭園で執り行われることになっていた。
夕鈴は、淑やかな歩みで指定された練習場所へと向かう。
視線の先に紅珠が見えて来た。

流石に高位の家柄のご息女であるだけあって、
椅子に腰掛けているだけなのに気品が溢れ出ている。
姿勢良く腰掛けたまま、微動だにしていない。

「紅・・・・・・」

近づきながら声を掛けようとして、夕鈴は自分の言葉を飲み込んだ。

だって、そこにはここに居るはずの無い・・・いや、居てはいけない人物の後ろ姿が見えてきたのだから。
自分の歩く傍脇にあるこんもりとした樹木で遠目からは見えなかったから、
気付くのがこんなに近づいいてからになってしまったのだが。

「えっ?!へっ!・・・・どうして、ここに?」

自分が今、どんな言語を発しているのか?夕鈴は一瞬分からなくなっていた。
そして、自分の視線の先の紅珠は、小刻みに震えている。

そう、紅珠は優雅に腰掛けいたのではない。
目の前の人物に恐れおののて、身動き一つ出来なかったのだ。

「・・・・・・・・・・どうして、ここにいらっしゃるのですか、陛下?」
「夕鈴、そなたの筝の演奏を聴きに来たのだが」
「それは、とても嬉しゅうございますが・・・・・。
ただ、まだ私の演奏は未熟ゆえに陛下のお聴かせ出来るものでは到底ありません。
大変申し訳無いのですけれど、ここはお引き取り頂きたく・・・・」

言葉こそ丁寧ではあるものの、夕鈴の言は黎翔を邪魔者扱いしているのである。
その間の夕鈴と黎翔のやり取りを、紅珠は固まったまま聞いているだけだった。
背中に冷や汗を流しながら・・・・・・。

これで黎翔は立ち去ってくれるだろうを夕鈴は思っていた。
ところが、いい所でお預けを食らいおかしな夢まで見てしまっている黎翔が引くことは無く、食い下がってくる。

「いや、出来ている所までで構わぬ」

はい?陛下・・・・・・これじゃあ練習にならないんですけど!!

夕鈴は、ジト目で黎翔を牽制する。
宴まで少しの時間も無駄には出来ない夕鈴にとっては、
今こうして繰り広げている黎翔とのやり取りすらも時間的に惜しいのだ。

しかし、黎翔は引かない。
そんな黎翔を見て、夕鈴は言葉にはせずにただ微笑む。
それは優雅な笑みとはかけ離れたモノで・・・・・黎翔もそれに対抗するかの様に、嫣然な笑みを浮かべた。

長く続く攻防かと思われたその時―――。
ある人物の言で、呆気なく終わりを告げた。

「あの・・・・・お妃様。
大変申し訳ございませんが、私・・・・少し体調が優れなくなって参りました。
お稽古は、本日お休みにさせて頂きたく」
「えっ?紅珠、大丈夫ですか?」
「ええ、邸宅で休めば明日には回復致します故・・・・。
お妃様のご心配は、大変嬉しいのですが」
「そう・・・・・・分かりました。それでは明日に致しましょう。
紅珠、ゆっくりと休んでくださいね」
「はい、有り難うございます」

紅珠の顔色は、青白く。
身体は小刻みに震えている。
表情は強張っていながら、儚い笑顔で夕鈴にお礼を言う。

夕鈴はそんな紅珠に申し訳ないという気持ちで、
侍女に紅珠の邸宅まで無事に送り届ける様にお願いをした。

そして、庭園に残ったのは―――黎翔と夕鈴のみ。

「ゆーりん、僕に演奏聴か「もうっっ!陛下、邪魔しないでください!!
私には時間が無いと言うのに!!!」
「だって~~~~夕鈴ともう何日も共寝すらもしていないんだよ」
「そんなのは、理由になんてなりません!
今日は通しで演奏出来る様になりたかったのに!!
陛下なんて、知りません!!!お早く、政務へ行って下さい!!!!」

畳みかける様に言葉を放つ夕鈴。
そしてギロッと黎翔を睨みつけると、その場からさっさと立ち去った。
唖然とした黎翔は、その場でしばし夕鈴の立ち去った先を見詰めていた。


立ち去った夕鈴が向かった先――――それは、この事態をどうにかしてくれるであろう人物だった。
しかし、これが後に大騒動になるとは、この時の夕鈴は知る由も無かった。



続きます。
















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こんばんは!!


丸一日開いてしまいました。
お待ち下さっていたゲスト様、スミマセン。
そして有り難うございます。

さぁ~~て。
ここら辺になると、最初に決めていたあらすじからは
かけ離れてきたりするんですよね~
でもそれが書いてて楽しくて、
更にはそれがリレーの醍醐味ですね。

はいっっ!!スンゴク楽しんでます。



それでは、続きにいきますね~


第4話はコチラから~(この世の春様)


***************




【設定】

本物妃 ・ 原作寄り ・ 夫婦設定

【注意事項】

こちらの作品は、ほんのりとネタバレが出てきますので
ご注意ください。





目の前の兎が悪いのだ。
こんなに可愛らしく、そして艶めいているのだから。
そして、そんな兎は無意識に自分を誘っているのだから。

だから・・・断じて悪いのは、自分では無い!!


「美味しそうなんだよね・・・・」
「はい?陛下、何か仰いましたか?」
「いや、何も?!」

本当に美味しそうで、今すぐにでも寝所へ連れ込みたくなる。
そして頬紅でホンノリと染まった頬に口づけを施して―――。

「君が、いけないんだ」
「えっ?」

夕鈴が黎翔の言葉に反応した瞬間、天井の模様が瞳に映り込んだ。
それはクルリと夕鈴の目線が切り替わった事を意味する。

黎翔によって長椅子に押し倒された夕鈴は抗議をしようとしたのだが、
それは叶わず―――。
もうすぐ咲かんとする桜の花色と同じ色の唇が塞がれた。

「あっ・・・・あぁ・・・・・・・うぅ・・・ん」

抗議する言葉は、意味の無い音に擦り替わり。
あえかな色香を纏った声が、響く。
熱い吐息が漏れ出した時、黎翔の舌が小さく開いた夕鈴の唇に割り入れられた。
口腔内を味わう様にゆっくりと動く舌は、夕鈴の口腔内をジワジワ蹂躙していく。
それに伴い、夕鈴の身体中の力は抜けていった。

「あぁん・・・・・・・・」

もう我慢出来そうに無い。
このまま食べてしまいたい。

まだ昼下がりであるにも関わらず、黎翔の理性が無くなっていく。
それは夕鈴にとっては不本意な事であるが。
このまま抱き上げて、寝所へ。
そして、そこで夕鈴を・・・・・・。
黎翔の欲情は、雄の本性と言うべきものであろうか・・・・。

夕鈴に迫りくる黎翔の魔の手。
ここで自分が止めねばならないが、
グズグズにされている状態の夕鈴はあまりまともな思考はないに等しい。
しかしそれでも夕鈴の今頭の中の全てを占めている『宴の成功』と言う絶対遵守の事柄がチラつき、
最後の理性で以て黎翔を止めに掛かる。

「へい・・・・・・か、だめ・・・・・です。
私・・・・・今か・・ら・・・衣装合わせが・・・・あるん・・・です」
「いいじゃないか。
このところ、すれ違ってばかりで夫婦の触れ合いも無かったのだから」
「でも・・・・・・・今は・・・・ダメ・・・・なんです」
「僕だって、夕鈴の気持ちを優先して今まで我慢していたけど。
もう、我慢したくないっっ」

狼から小犬へ。
甘えた声音で夕鈴を陥落させようと、黎翔の言葉つきが変わっていく。

「・・・・・・・・・・」

何も言わない夕鈴に、落ちたとほくそ笑む黎翔。
だが、この宴の成功を誰よりも願う夕鈴は一筋縄ではいかなかった。

「ダメっっ!!!ここで流されては、ダメなのよ!!!」

先程までトロリと蕩けていた薄茶の双眸に、光が宿る。
自分の上の黎翔の身体からスルリと抜け出すと、
サッサと身体を起こして少し乱れてしまった自分の衣装を直した。

そして黎翔にニッコリと微笑むと、こう宣った。

「陛下、お早く政務にお戻り下さいね。
私もこれから衣装合わせに参りますので」
「・・・・・・・・・」

黎翔は呆気に取られて、身動きが出来ない。
それは仕方ないであろう――――。

狼の鋭い牙で、兎は今まさに食べられる瞬間だったのだ。
それが、鮮やかにまんまと逃げられてしまったのだから。
こんな事になるとは、思いもよらず。

茫然自失な黎翔を置き去りにして、夕鈴は出て行ってしまった。

「えっ?何?今のは・・・・・・・。
このままお預けって事??
まさか、宴当日までお預けなんてことは無いよな」

ボソリと口から出た言葉は、静かな部屋に広がっていく。
それを聞くものは誰もいなかった。



続きます。

















こんばんは。

1話目では沢山の方に拝読頂き、恐悦至極でございます。
正直ビックリしております。

有り難うございます。

3話目をお届けします。
楽しんでいただけると嬉しいのですが・・・・。


第2話はコチラから・・・(この世の春様)





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「李順、本当に大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ、あの方は根性だけは誰にも負けませんから。
それに、大事な方の為なら・・・・どんな事でも成し得るもんですよ、女性は」
「お前は、どうしてそんなに呑気でいられるんだっっ!」

黎翔はイライラしていた。
春の宴のこれまでの慣例通りに執り行うことを決めたのは自分だ。
でもそれが殊の外、夕鈴に負担を強いてしまうことが解り切っていたから。
それでも官吏たちが宴に向けて動き出している以上、
取り消すことなんて出来無い。

「陛下が心配なさっても仕方ありませんから、ひとまず夕鈴殿の事は置いといてくださいませ。
それで陛下・・・・そちらの書簡に署名が頂きたく」

バキッ。

黎翔の手の中で無残にも折れた筆。
折れた筆の柄の欠片が卓上に散らばる。

「ちょっと、様子を見てくる!!!」

乱暴に椅子から立ち上がると、黎翔は飛び出して行った。
向かうは、愛しいお嫁さんの元へ。

「はぁ~~。どうせ行かれても、夕鈴殿に追い出されるでしょうに、
無駄な事をなさるのだから・・・・。
まぁ、あの方は実際に追い出されないと諦めることはなさらないから、
仕方無いと言う所ですね」

李順は、黎翔が卓上に放り出した書簡を素早く回収する。
その書簡には達筆な黎翔の手で署名がなされており、
安堵の息を吐き出した。
そして一先ず政務室へと持ち出すのに、李順も書簡を手にそそくさと出て行った。



**********


宴までの夕鈴のスケジュールは、詰めに詰められていた。

蘭遥による、作法講義。
侍女達による、衣装の採寸。
そしてこれが一番時間を割いているのであるが、
筝の稽古。

どれをとっても重要で、正直言って時間がいくらあっても足りないのである。

「まずは蘭瑶様のご講義からね。
今日は一発で合格を頂かないと!!」

夕鈴は独り言を呟きながら、後宮内蘭瑶の室へと向かっていた。

「お妃ちゃん!張り切ってるね~~」
「あら、浩大!!勿論よ・・・だって宴できちんと務め上げられるように、
兎に角今はがむしゃらに頑張らないといけないから」
「張り切るのはいいけどさ・・・・・・・狼さんのお相手も忘れない方がいいと思うけど」
「は?陛下お相手??そんな時間があるわけないじゃないの!!」
「マジ?そりゃ、ひでぇよ~~王宮が荒れに荒れるぜ!」
「えっ?どうして王宮が荒れるのよ??
だって陛下は宴のご準備でお忙しいのだから、後宮にお戻りになる暇は無いと思うわよ。
だから、私も精一杯自分に出来ることをしようと思っているの。
そりゃ、陛下に会えないのは寂しいけど・・・全ては宴の成功の為だから。
寂しいなんて、私が我儘をいう訳にはいかないわ」

夕鈴は、回廊の脇にある木の上にいる浩大に向かって微笑んだ。
それを見た浩大は、ニカッと笑い返す。

「ふぅ~~ん、まぁ、倒れない程度で頑張りなよ。
お妃ちゃんは無意識で頑張り過ぎるんだからさ」
「ありがとうね」

そう言うと、夕鈴は小走りにその場から離れていく。
それを見送った浩大は、回廊脇で佇む人影を見咎め短く息を吐く。

「へーか!お妃ちゃんが頑張るってさ。
どーするよ、このまま追いかける?それともそっと見守る?」
「それを私に言わせるのか?」
「言わせたいんだけど」
「夕鈴が、我慢すると言っているのを無下には出来まい?!」
「そだね。でも、へーかは我慢できるのかよ?」

黎翔は、浩大の言葉に何も返答せずにクルリと踵を返す。
その表情は、無表情を貼り付けていた。


****

「陛下っ、もうお戻りで?」
「ああ・・・・・・・」

驚く李順を尻目に黎翔はそれ以上何も語らず、卓上の書簡の山に対峙した。
これを全て片づけないと愛しい妃には会いに行けないと、
自分の我欲な心に言い聞かせるように・・・・・・。



続きます。






こんにちは!!

昨日予告致しました、コラボ!
始めさせていただきます。


誰とコラボなのか?

それは、いつもお世話になっている 『この世の春』のあさ様です。
それこそ、おおよそ1年程前にもコラボをして頂き、スンゴク楽しかったんです~
それでようやくこちらのブログも通常運転し始めたので、
今回は私の方からお誘いしてみました。
ご了承くださり、モシモシしながら話の大筋を決めて~~。
いやぁ~~それだけで楽しかった!!
やっぱり一人で作るよりも、他の方とネタ出しすると話が広がりますね~~。

まぁ、そんな感じで。
この季節ならではの話となると思いますので
お楽しみいただければ幸いです。

そしてまたUPの競争かな?
あさ様!私、負けませんからね~~

それでは、長い前置きになりましたが
本編をど~~ぞ。






************

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「・・・・・・・・・・」

春の足音が聞こえてくるような穏やかに晴れ渡ったその日、
私はある人から聞かされた言葉に絶句した。
そして、我に返った最初の言葉がこれだった。

「え~~~~~~~~それって、何かの冗談なんかではありませんよね?」
「冗談なんかを私が貴女に言うと思っているのですか?
私はそんなに暇ではありませんよ」
「・・・・・・ですよね」

目の前の男性はずり落ちた眼鏡をスイッと人差し指で押し上げると、
鋭い眼光を放つ。
それに戦くように、背筋がピンと張っていく感覚に襲われた。

「夕鈴殿・・・いえ、お妃様。
再度申し上げますので、よくお聞きください。
この度の桜の宴では前回の役目であった花を運ぶのに加えて、
宴の始まりを告げる筝演奏もして頂くことになりました」
「はぁ・・・・・・」
「その気の無い返事は、優雅な返事とは言えませんっっ!」

間髪入れずに、厳しい叱咤が入る。

「はいっっ!」
「宜しい」
「あの・・・・私は筝が得意ではありません・・・・よ」
「それは百も承知です。
でもそれは、今まで歴代の王の妃が行ってきたことなのです。
前回は、陛下が『宴は最低限の事で簡素に行う事!』と通達していたので、
お妃様の筝演奏は省かれたのですが・・・・。
今や国も安定し民たちの暮らしも向上した今、そうも参りません。
ですので、今回はキチンと慣例に則った宴にしなければならなくなりました。
そこで、貴女の筝演奏と相成ったのです。
陛下の唯一の妃である貴女の役目なので、『出来ない!』では困るんです」

狼陛下の側近である李順は、頭を抱えつつもピシャリと夕鈴へと伝える。
それを大人しく聞いている夕鈴の表情は、困惑から段々と恐怖におののいていく。
夕鈴の思いは、ただ一つだった。

――― 失敗したら、どうしよう・・・陛下にご迷惑が掛かってしまう。

「・・・・・・・・李順さんの仰っていることは、キチンと理解しました。
ただ、本当に私・・・・・・自信がありません」
「それ位、私も把握しています。
なので、優秀な先生に協力依頼をしています」
「優秀な先生?」
「ええ。貴女よりは、よほど優秀な方ですよ」
「はぁ・・・・・・・・」

そりゃ、私は所詮庶民。
出来ない事は多い。
でも、陛下の傍にいると決めた以上、私に出来ることは何でもするとあの時誓った。
だから、今回も兎に角先生に食らいついてでも、筝演奏が出来る様になる!
それは引いては陛下の為になるはずだから・・・・・。

「はい、精一杯務めさせて頂きます」
「そうですね、頑張って下さい。あっ、それと言い忘れていましたが」
「えっ?まだ何か?」
「ええ、貴女には沢山言いたいことはありますが、もう一つだけ。
前回の宴の時よりも、より優雅に花を運んで頂きたいですので、
その為に蘭遥様のご講義はしっかりと受けておいて下さいよ」
「はい、分かりました」

夕鈴の返事を貰えた李順は、『ああ、忙しい!忙しい‼!』と独り言ちながら出て行った。
誰もいなくなった自室で、夕鈴はボンヤリと考え込んだ。

「筝の先生って誰かしら?
もしかして、水月さんかしら?あの方は楽に秀でているものね~~」

そう呟いて、卓上の茶杯の中の花茶をコクリと一口飲み込んだ。



続きます。




第2話はコチラへ (この世の春 様)







瓔悠

Author:瓔悠

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