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ドシリアス、及び死ネタ有ります。
私が書く中では、ホントに規格外のモノになりますので
少しでも受け入れられないとお思いのゲスト様は
ご無理をなさらぬよう、お願い申し上げます。









「今だっっ!!夕鈴、走れ!!!」

黎翔は剣で短剣を薙ぎ払いながら、夕鈴へと短く指示を出す。
兎に角、夕鈴だけは無事に・・・とそれだけを思い。
夕鈴を建物内に避難さえさせれば、少しは応戦のしようもある。
こんな何もないガラ空きの庭園では、360度何処からでも刺客は狙える。
それこそ、格好の的だ。

「陛下は?」
「私は大丈夫だから、夕鈴は早く建物内に入るんだっ」

緊迫した黎翔の声から、夕鈴はここは夫の指示に従った方が邪魔にならない事を察する。

「分かりました!
陛下、どうか無理はなさらずに」

そう言い置くと、夕鈴は黎翔に視線を向けて微笑んだ。
『自分は大丈夫ですから・・・』と。
それは一重に黎翔に安心してもらうために。
そうして斜め左の回廊に視線を移し、そこへ逃げ込むべく駆け出した。

これでいい―――。
黎翔は夕鈴が駆け出したことで、未だ姿を現さぬ刺客達に声を飛ばす。

「おいっ、誰一人として狼の前には出ることは敵わぬのか?
お前たちは揃いも揃って、卑怯者だというわけか!」

その言葉は、刺客達の矜持を大いに傷つけ、先程よりも明確な殺意が黎翔に向けられる。
それを黎翔は待っていた。
刺客の殺意を夕鈴に向けぬ為。

「何を!」
「卑怯者だと?!」
「貴様ごとき偽りの王は、我々の大望の前に消されるんだ」

口々に声を上げる刺客。
それを黎翔は鼻で笑って更に挑発する。

「ほう、卑怯者が大望なんぞ口にするな!
その言葉すらも穢れる」
「何っっ!!!!!」

刺客達の怒りも頂点に達したらしく、それまで蔭に隠れて攻撃してきていたが、
その中から血気走った者たちが出て来ると、その勢いのまま襲い掛かって来る。
それを黎翔は自慢の剣技で、その者たちを地に這わせていく。

「さぁ、次はどいつか?
どこからでも、かかって来るがいい!」

黎翔は息を上げることも無く、次の刺客に立ち向かおうとした。
ところが、黎翔の前には誰も立ち向かってこない。

どうやら黎翔の剣技に恐れをなし、正面切って立ち向かうことの愚かさがここにきて分かったらしい。
またもや遠距離からの攻撃に切り替え、今度は弓矢が其処かしこから降ってきた。
黎翔はため息交じりで、その降ってくる弓矢を全て打ち落としていた。

全く、芸の無い!!

そう・・・・・・・思った瞬間だった。
空を切る音が黎翔の耳に届いた。

『ヒュン!!!』

それは黎翔が背にした方向から、陽の光に煌めく剣が飛んできたのだ。

「何?!」

黎翔が振りむいて落とそうとしたが、前面からは弓矢が飛んでくるのを阻止することでその動きが一瞬遅れてしまった。

「ダメぇぇぇぇ~~~!
陛下を殺させたりはしない!!」

夕鈴の悲痛な声が辺りを劈く。
そして黎翔の背を庇うように、夕鈴の身体に剣が突き刺さった。





続。











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ドシリアス、及び死ネタ有ります。
私が書く中では、ホントに規格外のモノになりますので
少しでも受け入れられないとお思いのゲスト様は
ご無理をなさらぬよう、お願い申し上げます。
但し、私が書くものですからね・・・・・・・とこれだけは申し上げておきます。

こちらの話は、ある方との会話の中で生み出されたお話です。
スッゴク盛り上がって・・・・・その方はすでにお話を書かれたのですが
私のお話も読みたい!とご希望がありましたので、
ここにお届けします。


ゲストの皆様、
覚悟は良いですか?
ホントに読んで後悔しませんね?!

オールOKのゲスト様のみ
この先へお進みくださいませ。


瓔悠。








これ以上の哀しみはないと思った。
これ以上の痛みは感じないと思った。

それくらいの衝撃だった。
君を失うことは。
君の笑顔を永遠に見れなくなることは。

「夕鈴!!!!」
「お妃ちゃん!」
「お願いだから、目を開けてくれっっ!!」
「陛下・・・・・もう、そのくらいに」

李順は黎翔の腕から夕鈴を引き離そうとするが、それは叶わなかった。
くったりと息をすることも無く心臓の鼓動もその動きを止めた夕鈴を、
黎翔は誰にも渡すまいときつく抱き締める。
身動き一つせず。
どれくらい経ったのか?・・・・それすら分からない程に。
その空間だけ、刻を止める。


***********


それは、ある昼下がりの事だった。
それまではホントに普通の、いつも通りだった。
昼餉後の休憩を、風の吹き抜ける四阿で夫婦仲睦ましく過ごしていたのだった。

「陛下、そろそろ戻りませんと。
李順さんが連れ戻しに来ますよ」
「そんなのは、放っておけばいい。
折角、夕鈴と過ごしているのに・・・・・・誰にも邪魔はさせない」

黎翔は、夕鈴から急かされようと柔らかい寵妃の膝枕から起き上がろうとはしない。
気持ち良くて、政務なぞどうでもよくなる。
それに、こうして夕鈴と共に過ごす時間なんて一日の内にどれくらい取れるのか正直分からないから、その時間は大切にしたいのである。
しかし、当の妃はそんなに甘くはない。
自分の膝から丁寧に黎翔の頭をずらして立ち上がり、腕を組むと仁王立ちで黎翔を見詰める。

「陛下!そんな我儘が通ると思っているのですか?」
「勿論!!だって僕は王なのだから」
「そりゃ、そうですけど・・・・・でも、王であるなら、ご自分の責務は果たさなければなりません。
ほらっ、陛下でないと解決しない問題もあるのですから」
「ふぅ、夕鈴には敵わないな。
今宵は早く戻るから、君も笑顔で迎えておくれ」
「・・・・・・・・はい、お待ちしております故、お早くお戻りくださいね」

薄桃色に染める寵妃の愛らしさに、黎翔の口元は自然に緩む。

そんな幸せの構図のような、まどろみの刻だった。
それが突然崩れ去るとは。
黎翔は想像だにしなかった。

「陛下っっ!!!早く、お妃ちゃんとここから離れてっっ!!!」

浩大の緊迫する声に、黎翔は腰にささった剣の柄を握る。

「賊か?」
「そう!!!!」

瞬時に、狼のオーラが立ち昇る。
辺りが緊迫感で包まれる。

「夕鈴!私の傍から離れないように」
「はい!」

その刹那、どこからともなく短剣の雨が降り注ぐ。
それを黎翔と浩大は、自身の剣で次々となぎ落としていく。

「おいっ!賊は何者か?」
「どうも、地方の豪族の手下らしい」
「ほぅ、私の退位を望むのか?」
「退位だけじゃ、済まないみたいだけどね」

剣を振るいながら、浩大は黎翔に端的に事態を伝える。
それまではまだ余裕があった。

しかし、その短剣の雨は降り止むことなく、
更に激化していった。
どうやら、辺りに散らばっていた賊が集結し人数が増えたらしい。

「これって、マジでヤバいよ。陛下はお妃ちゃんを安全な所に避難させた方がいいよ」
「だな!」

お互いが目配せして、浩大と呼吸を合わせる。
その場から逃げ去るにもかなり骨が折れるようで、
更に夕鈴も一緒ということで黎翔が抜け出るその瞬間を計っていた。

でも、抜け出す隙が中々出来ずに足止めを食らっていたのが、
不幸の始まりだった。

「夕鈴・・・・・大丈夫か?」
「はい、陛下の傍にいるから安心です」

夕鈴は目の前で自分を庇う夫へ、笑みを見せる。
これくらいは大丈夫!と自分に言い聞かせながら。


そして、その刻が訪れる。



続。










瓔悠

Author:瓔悠

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