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少し前の事になりますが、
久方ぶりにSNSにてお話をUPいたしましたところ、
古都様より素敵な陛下のイラストを頂戴したんです。

陛下が、麗しくって。
もうウキウキ。

で、厚かましくも『欲しいです!!』とおねだりをしたところ、
こちらのブログでご披露してもいいですよ~とご了承いただけましたので
皆様へご披露させていただきます。

もう、兎に角!陛下が素敵なんです。
あの視線で見られたら、悶絶してしまいそうで・・・・・。

さぁ、皆様も
素敵陛下をとくとご覧あれっっ!!!

【 ドキドキして眠れない】 より・・・・・

古都さんイラスト


古都さんイラストセリフ付き



古都様、
誠に有り難うございました~~~~

また描いてくださいね~~(←厚かましくて、スミマセン)


瓔悠。




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【設定】


夫婦設定 ・ 原作寄り



前編から、かなり間が開いてしまいました!!
復習したいゲスト様は、下記リンクからどうぞ~~

淡雪は静かに降り積もる・前編






夕鈴は、軽い足取りで歩いていた。
久々の下町に、胸が高鳴り歓喜の気持ちが溢れる。
往来で思わず小躍りしそうなほど。
それは、『羽を伸ばす』とは各あることかのように・・・・・・。

「さぁ~~て、頑張って手に入れますか!!」

独り言ちると、夕鈴は足早に目的の場所を目指す。
手に入れるのならば、今の時期しかない事を思い出したのは昨日の事。
侍女さんたちとお茶をしていた中での会話で、不意に思い出したのだ。

陛下にお渡ししたい。
陛下の喜ぶ顔が見たい。

黎翔の喜ぶ表情を思い浮かべて、夕鈴の顔にもふんわりとした笑みが浮かぶ。
その想いに呼応するかの様に、足取りは早まっていた。

「着いた~~!」

そこは、すでに行列が出来ていた。
下町ではこの時期の恒例となっている風景で、夕鈴はさして驚きもしなかった。
列の最後尾に並んで、キョロキョロ列の先の方を伺ってみる。
そこには自分と同じくらいの若い娘さん達でワンサカと賑わっていた。

今日は殊更に寒くて、ただ並んでいるだけでは凍えてきそうになる。
夕鈴は、その場で小さく足踏みをし始めた。
両手を擦って、冷たくなった手を少しでも温めようとする。

「今日は、ホントに寒いわね」

空を見上げると、そこに広がるのは鈍色の色。
今にもチラチラと白い雪が落ちてきそうである。


*********


その頃、黎翔はというと。
王宮は遠くにそびえ、既に下町の中心まで来ていた。

「夕鈴は、何処にいるのやら」

黎翔は人の行き交う往来を目を凝らして見つめる。
そこに愛しき兎の姿が見えないものかと・・・・。
兎に角、逃げ出した兎を捕獲するまでは安心出来なかった。
その脳裏に浮かぶのは、夕鈴の事だけ。

やはり、夕鈴は王宮を窮屈に思っていたのか?
それほどまでに下町を恋しく思っていたのか?
私といるだけでは、満足出来ないのだろうか?

考えていると、段々鬱々とした気分になってくる。
『狼陛下』なんぞ言われていても、唯一愛しい人の気持ちさえ御しえないのは情けなくなってくる。
考えれば考えるほどドツボにハマってきて、
そこにいない夕鈴がもう自分の元へは戻っては来ない気さえしてくる。
それはただの妄想だとは思えないほどに・・・・・。

「夕鈴・・・・・・・・・・・」

黎翔は空を見上げた。
自分の気持ちと同じような、灰色の空。
そこから、白いモノがヒラヒラと落ちてきた。

「雪・・・・・・・か」

黎翔は掌を広げて天へと向けた。
そこに落ち来る白き雪。
雪は落ちた途端、自分の体温で瞬時に溶けて水になった。
それでも、後から後から黎翔の掌に落ちて来る。

それは・・・・・・
淡いモノで。
儚いモノで。
頼りなげで。

今の自分が感じている夕鈴との関係の様に思えて、
知らずにため息が漏れた。


「へ、へい・・・・・・いや、李翔さん・・・・ですよね」

様子を伺うように、ゴニョゴニョと濁る声が背後からした。
この声は、紛れもなく愛しき妃のモノ。
そう、夕鈴の・・・・・声。

「ゆ、夕鈴?」

振り返った先には、小首を傾げた夕鈴がいた。
どうして、こんなところに陛下がいるんですか?という視線を黎翔へ向けて。

「夕鈴、何処に行っていたんだっっ!!」

黎翔の語尾は、強めに響く。
ホントは安心しているくせに。
それを見せないように・・・・と。

「えっ?ご、ごめんなさいっ!!!」

いきなり叱られた夕鈴は、取りあえず深々と頭を下げて黎翔に謝った。

「あっ、こっちこそ、ごめん。怒るつもりは無かったのだが・・・・」
「いえ、大丈夫です。でも、どうしてこんなところにいるんですか?」
「それよりも、夕鈴・・・・・もう僕のお嫁さんが嫌になった?」
「は、はい??」

いきなりの黎翔の質問に、夕鈴は面食らった。
下町に買い物に来ただけなのに、どうしてそんな事を言われないといけないのか?

「どうして・・・・・・・李翔さんのお嫁さんが嫌になった、になるんですか?
私は下町にお買い物に来ただけですけど」
「だって・・・・・・・僕に何も言わないで、李順に言って出て行ったから。
てっきり、僕は僕の傍にいるのが嫌になったんじゃないかって」
「そんな事あるはずがありません!!!!!」

夕鈴はキッパリと言い放った。
その言葉に黎翔は緊張が解けたようで、肩がカクッと落ちた。
どうやら、緊張で肩が怒って上がっていたようである。

「ねぇ、夕鈴・・・・・ここに何しに来たの?」
「ああ、それは」
「それは?」
「フフッ、帰るまで秘密です」

夕鈴は、手に持った包みを後ろ手に隠す。
そして黎翔に向けて、ニッコリと笑って見せた。

「僕のお嫁さんは、存外意地悪なようだ」
「え~~、そんなことはありませんよ!」
「いや、意地悪だ」
「そんなことはあり・・・・・・・」

膨れっ面をして抗議しようとする夕鈴の口元が遮られた。
・・・・・・・黎翔の唇で以てして。

「ち、ちょっ、李翔さん!!!ここは往来ですけケド」
「関係ない」
「関係ないって・・・・いや、それは・・・マズい・・・と」

黎翔は全く意に返すことなく、夕鈴を抱き寄せて更に口付ける。

「これはお仕置きだから・・・」
「お仕置き?」
「うん、僕を不安にしたお嫁さんに対しての」
「・・・・・・・・・」

夕鈴は何が何だか分からないまま、黎翔に身を任せた。

無題


優しい口づけ。
それは離れがたく、甘い口づけ。


空から次々に振り来る淡雪は、二人の熱を吸収して溶けていく。
でもそれに追いつかないように、降ってくる。
それは、地面を白く染め始め・・・・・辺りの雑多な色を白一色へと変えていく。

「夕鈴、帰ろうか?」
「はい、そうですね。
私達のお家へ」
「そうだね」
「はい」

二人はどちらからと無く、手を繋ぐ。
温かい・・・・。
降り続ける雪は冷たくとも、二人は全く冷たくは感じなかった。




終。




この作品は、私のバースディにダリ子様から頂きましたイラストへ
厚かましくも私がお話を付けさせて頂いたモノです。

ホントに素敵なイラストでして・・・・。
小躍りしましたの~~~。

皆様にも見ていただきたく、UPさせて頂きました。
どうぞ、イラストのみご堪能下さいませっっ!!!!

ダリ子様、有り難うございました~~~~。
スッゴク嬉しかったです!!!

瓔悠。







【設定】

夫婦設定 ・ 原作寄り







黎翔はイライラしていた。
いるはずの妃がいない・・・・ただそれだけのことで。

政務を早めに切り上げて後宮に戻れば、愛しの妃は影形もなく。
いつもの『おかえりなさいませ』と鈴を鳴らすような声も聴けず。
ここまで夕鈴に依存している自分を知り。

黎翔は大きく嘆息を吐き出す。
そしてまだいるであろう李順を求めて、急ぎ執務室へ足を向けた。
アイツならば、夕鈴の居場所を知っているのではと期待を込めて。

やはり、まだいた。
黎翔の執務机の散乱した書簡を纏めている最中で、
急に戻って来た主君にいぶかしげな視線を送る。

「如何なさいましたか?」
「夕鈴がいない」
「そうですか」
「どうして、夕鈴はいないんだ」
「私にそれを言われましても」
「何処に行った?」
「私にそれを訊くのですか?」
「ああ・・・李順、お前なら何か知っていると踏んでな」
「はい、存じ上げておりますよ」
「ならば、申せ」

黎翔のイライラ度はMAXで。
これ以上不毛な会話を続ける意志などないと、眉間に皺を寄せている。

李順は先程の事を思い出す。
夕鈴との会話を。

「李順さん、少しお願いがあるのですが」
「お妃様が、私にお願いですか?」
「はい」
「私で出来ることならば」
「許可が欲しくて・・・・・」
「許可?」
「はい、実は少しだけ、王宮を出たくて」
「王宮を出るから、私に許可ですか・・・・・私はもう貴女の上司ではないのですよ。
一応、貴女は陛下の妃なのですからね」
「確かにそうかも知れないのですけど。
でも、何となく李順さんに許可を取らないといけない気がするんですよね」

夕鈴は首を縦に小刻みに振りながら、自分の言を妙に納得していた。
それを見ながら李順は、仕切り直そうと短く息を吐き出す。

「なら、一応お聞きしますが、お妃様は何をなさりに下町へ?」
「今時期しか売っていない物を陛下にお渡ししたくて」
「それは王宮にはないのですか?」
「はい」
「そうですか・・・・・・・・・・まぁ、いいでしょう。
どうぞ、お早いお帰りを」
「有り難うございます!!!!」

深々とお辞儀をするとニッコリと満面の笑みを浮かべ、夕鈴は足取りも軽やかに出ていく。
その姿を見送りながら、呆れた表情の李順がポツリと執務室に残されていた。

「全く・・・・・あの方は変わりませんね。
正式な妃となったというのに・・・・でもそれも陛下がお気に召す魅力というところでしょうか」

誰にも聞こえることない李順の呟きは、窓から吹き込む冷たい風に溶け込んだ。


そして、夕鈴が出て行ってから既に数刻が経ち、
今こうして黎翔からの詰問を受けていた。

「お妃様の行先ですか・・・それを知ったところで、陛下はどうなさるつもりで?」
「知れたこと!私もそこへ行くだけだ」
「はぁぁぁ・・・・それならば、言えません」
「言えない所にいるのか?」
「陛下が考えられているようなところではありませんよ」
「どうでもいい!!わが妃の居場所を吐け!!」

黎翔は、腰に剣柄に手を伸ばす。
それを見た李順は、眉根をピクリと動かした。

「陛下・・・・落ち着いてください」
「落ち着いてなどいられるかっっ!
だから、夕鈴は何処だ!」

どうしてお妃様のこととなると、ここまでタカが外れるのでしょうね。
そう思いつつも、これ以上の悶着は李順としても命が危うくなると判断する。

「お妃様は、王宮にはいらっしゃいません」
「はぁ?どういうことだ」
「どうしても手に入れたい物があるということで、お出かけに・・・・・・」

『ガチャ、バンッッ』

戸の開け閉めする音が盛大に室内に響く。
黎翔は、風のようにその場からいなくなっていた。

「かなり前にお出かけになったので、
だから今は何処にいらっしゃるのか分からないんですけどって、
言おうとしたのに陛下は出て行かれましたか」

ため息交じりに呟く李順はただただ呆れ顔をしたまま、
書簡の整理を再開するのだった。




続。








【設定】

臨時妃設定 ・ 原作寄り

【注意事項】

こちらの話は、【カボチャの降る日】の追加的お話です。
SNSにてUPした際、コメント蘭に可愛くてお茶目なイラストをいただきまして~
それに私が話を付けちゃいました!!

ギャグテイストですので、
あまり甘さは有りません!!!
かる~~いお気持ちでお読みくださいませ。

これは、ブログのみの特典話です!!!






回廊で灯されていたカボチャの灯ろうの火が落とされ、
王宮のハロウィンは終わりを告げた。

夕鈴はようやく人払いし、自分も寝台の上でのんびり寛ぐ。
疲れた身体を投げ出して、ボンヤリと今日の事を思う。

ハロウィンは盛況のうちに終わった。
女官や官吏たちも満足したようで、夕鈴としては安堵していた。
一応、このお祭りめいた催しを仕切った主催者としては・・・・。

カボチャ探しも物凄く盛り上がっていたし。
まぁ、あれは陛下側の主催モノだったから、私はあんなことになったのだけど。

夕鈴は誰もいないことをいい事に、ポツリと愚痴を零す。

「ホントは、私も金券なんかが良かったのよ・・・・どうして、ああなったのやら。
何のために参加したのよ!全ては金券、紙幣の為だったのに」

はぁ~~~肺の奥から絞り出すように、深いため息を吐き出した。
その直後、『ふあぁぁぁぁぁ~』と欠伸が出てきて、急に睡魔が襲ってきた。

そのまま敷布に包まり、静かに目を閉じた。


**********


金券と紙幣が空から降ってくる。
お化けカボチャと共に。
次から次へと。

夕鈴は辺りをキョロキョロ探る。
そして自分の周りに誰もいないことをしっかりと確認して、ニッコリと笑った。

よしっっ_!!
誰もいない、今が絶好の好機っっ!!

夕鈴はガッツポーズをして、お化けカボチャに手を伸ばす。

自分の手の中に落ちてくるお化けカボチャ。
あと少し。
もう少し。

手の中に入る瞬間。
お化けカボチャは全て消え失せ、黎翔の姿が。

『夕鈴、金券なんていらないよ。
僕のお嫁さんになれば、借金なんて無くなるんだし~~』

迫りくる黎翔に、夕鈴は捲し立てるように抗議する!

『陛下!!今度はちゃんと手に入るところだったのに~~
なんて事してくださるんですかっっ!!
私は一刻も早く借金地獄から抜け出たいんです!!
どうして、私の気持ちを分かって下さらないんですか~~~~』

しかし、黎翔は全く意に介してはいない。
涼しい顔のまま、夕鈴に甘い声で誘惑する。

『折角のハロウィンの戦利品!どう使おうか~
一日なんてアッという間だから、僕たちの婚姻の儀式に使おうか?』
『はい????何言っているんですか???
私はそんなこと承諾していません!!』

逃げる夕鈴。
迫る黎翔。

夕鈴の額には冷汗がジワリと浮かぶ。

『私は、金券!!紙幣が欲しいだけです!!
それだけなんです!!』

そう言っても、黎翔は諦めてはくれない。
夕鈴は必至で叫ぶ。


「金券!!!金券が~~~~」


無題


ギリィィィィィ。
夕鈴の歯ぎしりが寝台に響く。

それを聞く人物が。
政務の終わった黎翔がコッソリと愛しい寵妃の寝室に忍び込んでいたのだ。

「夕鈴、可愛い~こんな凄い歯ぎしり初めて・・・?!」

ずきゅ~~~~~んん。

衝撃を受ける黎翔。
胸を打つほどの愛らしさ。
夕鈴の知られざる一面を垣間見て、自分の胸が震えるのを感じていた。

「やっぱり、僕のお嫁さんは君だけだよ」

汗のにじむ額にそっと口づける。
そして口元には笑みが浮かんでいた。



終。




イラスト強奪して、スミマセン~~~
でも、こうしてSSが作れたのも
あのイラストがあんまりにも可愛かったからですよ~~
ダリちゃん、ありがとう~~です。














【設定】

臨時妃 ・ 原作寄り

【注意事項】

こちらは、ハロウィンネタです。
私の大好きな絵師のダリ子様に
素敵なハロウィンイラストをいただいたんです。

それで、やっと私が僭越ながらSSをつけさせて頂き、
UPさせていただくことに~~~

もう兎に角、イラスト素敵です。
イラストをご堪能下さいませ。



********************





暑い夏も何処かへ過ぎ去り、涼しい風が吹き抜けてくる頃の事。
それはやって来る。

『ハロウィン』

狼陛下が治める、この白陽国にも・・・。


*************




「お妃様、こちらの飾りは何処に?」
「ああ、それでしたら、窓枠に飾って下さい」
「では、こちらの置物は?」
「そのカボチャの燈火でしたら、回廊脇に並べて下さい」

後宮が賑やかに準備に追われている頃、
王宮では官吏たちがそわそわし始めていた。

万聖節・・・・ある宗教の諸聖人の日の前夜に行われる祭りらしいのだが、
古くは秋の収穫感謝祭に起源があるという。
そんな白陽国には馴染みが無いような祭りも、
数年前に遠い西の国からの使者たちがもたらしたものが庶民の間に広がり、
今では王宮までもその祭りを楽しむようになっていた。

更には、普段は交流の無い官吏と女官たちの唯一の交流の場となっている為、
女官たちも準備に余念がない。

女官たちのお楽しみと言えば、目当ての官吏たちとペアになって探す『カボチャ探し』である。
この『カボチャ探し』とは、至る所に隠されたお化けカボチャの中の宝物を探す催し。

宝物を見つけることが大前提であるが、女官や官吏たちにとって大切なのはその過程。
誰と見つけに行くかが、最も重要な鍵でなのある。
その後の人生に大いに影響することすらあるのだから。

それは・・・・・・・・言うなれば、集団お見合いみたいなもの。
出会いの少ない女官たちにとっては、張り切らざる負えないものなのであった。

まぁ、夕鈴はそんなことには正直参加する意思もなく、資格も無い。
後宮唯一の寵妃がそんなものに参加したとあっては、大問題である。

ところが準備をする中で宝物の中身を知ると、夕鈴も参加したい気持ちが芽生えてきた。
夢見がちな宝物で有れば全く見向きもしない。
が、金券・宝石・紙幣となってくると借金を背負った身の上の夕鈴にとって、それは甘味な誘惑となる。

それにホントの所、こんな楽しそうな企画・・・・お祭り好きな夕鈴は、黎翔と参加したい気持ちも少しはある。

「はぁ~~いいわよね。皆、楽しそうで・・・・・」
「何が楽しそうなのだ?」

ボンヤリ一人で寛いでいる所に、急に振ってくる甘い声。

「へ、へ、へへ、へいかっっ!!」

夕鈴はいきなりの声掛けにビックリして、長椅子からスッ転んでしまった。
自分のあまりの醜態に、真っ赤に首筋まで染める。
転んだまま回りをキョロキョロしてみるが、
先程まで控えていたはずの侍女達は煙のように消え失せていた。

「夕鈴、大丈夫?」

夕鈴は自分に伸ばされた腕を、首をもたげて下から上に向かって視線を動かした。
そこにはニッコリ笑って、優し気な視線を送る黎翔がいた。

「はっ、はい!大丈夫です!!」

その腕を取ることを躊躇われ、夕鈴は自分の力で立ち上がろうとした。
けれど、それは黎翔が許さず、そのまま両手で抱きかかえられた。

「あの・・・・恥ずかしいですから、放してください」
「どうして?僕たち、夫婦なのに?」
「それは、侍女さんたちがいるときだけで良いですから。
陛下言っておきますが、私たちは『偽』夫婦ですからね」

夕鈴は、殊更『偽』と強調する。
それに対して、黎翔は少しだけムッとした。

「僕はいつだって、君と夫婦でいたいんだ!」
「・・・・・それを、バイトに言わないでくださいね」

夕鈴は放してもらおうと、黎翔の腕の中で必死でもがく。
黎翔はそれを阻止しようと、腕の力は更に帯びる。

「君はホントに強情なんだから・・・・・。
それより、さっき言ってた『楽しそう』って何のこと?」
「いや、誤魔化さないでくださいっっ!!!お、ろ、し、て~~~」
「もう、仕方ないな」

黎翔は不満タラタラという表情を浮かべながら、夕鈴を降ろして長椅子へと座らせた。
そして自分も当然の様に隣へと腰掛ける。

「で、楽しそうって?」
「ああ、あれは『カボチャ探し』のことですよ」
「『カボチャ探し』ね~~~確かに楽しそうだよね。若い官吏たちはかなり楽しみにしてるようだもんね」
「そうなのですね」
「楽しみにし過ぎてて政務中にボンヤリする官吏たちが続出で、李順がかなり困っているようだが」
「・・・・・・それは、マズいですね」

夕鈴は、頭から湯気を出している李順を思い浮かべて苦笑する。

「まぁね、それはいいとして、夕鈴も参加したいの?」
「・・・・・・・・・妃である私は、やっぱり参加する資格はないですし」
「え~~どうして?」
「だって、一緒に参加してくれる人はいませんよ」
「いるよ」
「どこにですか?それは有難いです!私、カボチャの中の品物が欲しくて!!
陛下、参加してくれる人を紹介して下さい!!」
「紹介って・・・・・・ここにいるではないか!」
「ここって・・・・・・っっ、陛下、ですか???」
「そう」

ニッコリと微笑んでいる黎翔に、夕鈴は項垂れる。

いや、陛下自ら参加なさるなんて・・・・それはさすがにマズいでしょ。
いくらなんでも。

「いえ、それは、だから、ご遠慮します」
「どうして?ねぇ、参加しようよ、一緒にさ!!
よ~し、参加しようね!ゆーりん」

黎翔に強引に押し切られ、夕鈴は大きなため息を吐き出した。
そして気が付けば、夕鈴は参加する運びとなっていた。




***************

晴れ渡った秋空の下。
その日はやってきた。

女官・官吏たちは、後宮と王宮内の庭園を連れ立ってお化けカボチャを探す。

木の茂みの内。
小川の畔。
花畑の中。
回廊の端。
四阿の石椅子の下。

ありとあらゆる場所に、自然に或いは不自然にお化けカボチャがあった。
そこらかしこで、見つかった歓喜の声が上がり庭園は実に賑やかしい。

「夕鈴、あちこちで見つかっているようだね。
僕たちも早く見つけよう!!」
「はい!陛下!!!!頑張りましょう」

夕鈴の瞳は力強さが漲り、ランランと輝いていた。
あちこちを首を回してキョロキョロしつつ、お化けカボチャを探す。

ところが官吏や女官たちが既に見つけた後で、
お化けカボチャを見つけても中身は『空』なんてことばかり。

「はぁ~~~中々見つかりませんね」

夕鈴はため息をついて、肩をガックリと落とす。
それを見ると、黎翔は俄然やる気が出てきた。

「夕鈴、私に任せておくのだ!すぐに見つけてやろうぞ」
「陛下、お願いします」

黎翔に向かって、夕鈴は微笑んでみせる。
陽に当たり、夕鈴の笑顔はキラリと輝いて見えた。
それを見た黎翔は、夕鈴への愛しい想いが胸を騒がす。
そんな想いを募らせていると、隣で弾んだ声が聞こえてきた。

「陛下、ありましたよ!!!お化けカボチャっっ!!!」
「そうか、それは何処だ?」
「・・・・但し、木の上ですが」
「木の上?」
「ほら、あそこです」

夕鈴の差し示した先には、小高い木。
お化けカボチャは、その木の途中の枝の根元に置いてある。
そこは黎翔が手を伸ばしても届きそうにない場所。

「どうしましょう・・・・ここはダメですね」
「どうして?」
「だって、あんなに高い場所にあるんですよ」
「でも、あんな所だからこそ、誰も手にしてないと思うが」
「陛下も届きませんし、私が木に登ってもいいんですが・・・・それを李順さんにでも知られたら大目玉ですものね」
「なら、こうすればいい!!」

黎翔はヒョイと夕鈴の身体を抱き上げた。
それこそ、お姫様抱っこ。

「えっ、え~~~~~~~~」

夕鈴は急に自分の身体が宙に浮き、アタフタと慌てる。

「ほら、暴れると危ないが・・・・・」
「そっ、そんな!!陛下、これはいけません!!」
「夕鈴、私がこのままでいるから、早く取るがいい」
「・・・・・・・・・・・はい」

夕鈴はそう返事するしか術はなく、黎翔に抱き上げられたまま枝の根元に手を伸ばした。


1023.jpg


「う~~~ん、もう少しなのよね」
「夕鈴、頑張れ!」

お化けカボチャの下側に指先が触れる。
コロリと動き、お化けカボチャが落ちてきた。

「キャッ」

夕鈴が小さな悲鳴を上げる。
すかさず黎翔はカボチャが当たらないように、自分の胸に夕鈴の身体を押し当てて守った。

『ドサッ』

カボチャが落ちた後も、黎翔は夕鈴を放さなかった。
ギュッと抱き締め、その香しい花のような匂いを感じていた。

「陛下、苦しいですっ!」
「あっ、ゴメン・・・・・でも、放したくない」

もがきながらも夕鈴も離れがたく、少しすると黎翔の思うがままにされていた。
広くて大きい胸。
凄く安心する。

夕鈴は、黎翔を慕う恋心がはじけそうになった。

イケナイ、イケナイ。
私はバイト!

寸でのところで、夕鈴の理性が戻る。
自分の立場を忘れそうになった。

「陛下、有り難うございます。
カボチャ取れましたね」
「そうだね」

黎翔が、すんなりと放してくれたことで、夕鈴は自由になりカボチャ回収へと向かう。
カボチャの中には、封書があった。

その封書に書かれていたものは、たった一行。
『自分の想い人と、一日過ごせる権利』と。

「え~~~~~~~~こんなのいらない!!!
私は、金券か紙幣が良かったのよっっ!!!」

夕鈴が叫んだが、それを聞く黎翔はほくそ笑む。
その封書に書かれた手は、黎翔のモノ。

こんな木の上、誰が取るというのだ。
それは、お転婆妃だけだと踏んだ黎翔が仕組んだモノ。

「夕鈴、ほら、いつがいい?
それに何処に行きたい?
何をする?」

黎翔にせっつかれ、夕鈴はしぶしぶ返答する。

「陛下のお好きなように」


そうして、後日。
国王夫婦が仲睦ましく庭園を散策する姿が、官吏や女官に目撃されたのである。


終。


**********


ダリちゃん、素敵なイラスト
有り難うございました~~~~

また是非コラボしてね~~💛


瓔悠。






瓔悠

Author:瓔悠

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