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この作品は、某SNSのコミュニティにて開催されたハロウィンパーティに合わせて
『花の四阿』管理人・さくらぱん様とコラボした作品を私なりに加筆したものです。

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ご注意の上で閲覧くださいませ。













眩い西陽が、私の影を伸ばす・・・もうすぐ陽が暮れようとしている時間帯。
夕闇が迫る空は、淡いラベンダー色に染まり出していた。
凄く綺麗で、私は思わず見上げて暮れ行く空を堪能する。

「この時間帯はいつも忙しくて空なんて見上げてる暇はないから、
夕暮れの空がこんなに綺麗なんて忘れてしまっているのよね~」

まだ空には星はない。
でも灯り始めた街の灯りが、煌く星のように一つずつ増していく。

そんな時刻に何故か私は話題のテーマパークの入り口で、ひとり佇んでいた。
テーマパークの入口ゲート前の時計は、午後5時半を指している。
黎翔さんとの待ち合わせ時間は、確か午後5時だった。
なのに、いくら待っても黎翔さんの姿は何処にも見えない。

段々、本当に今日のこの時間に待ち合わせだったのか?と不安がよぎる。

「遅いなぁ~~ ホントにここで良かったのかな?
黎翔さん、どうしたのかしら?」


左右どちらの道から来るのか分からなくて、首を左右に振りながら待っている。
そんな私の顔は、きっと待ち人顔のはず。

普段忙しい黎翔さんからの急な誘いで来たというのに、誘った本人はまだ来ない。

【明日の5時に遊園地前で】

珍しく 用件だけの短いメール。
メールを読んだ私はクスリと笑みが零れる。

よっぽど忙しいのかしらね~私的には嬉しいんだけど、無理してほしくはないんだけど。
でも久々のデートだから、やっぱり本心は嬉しいのよね。

そう思ってしまうのは、大好きな彼を思うからこそだったけれど。
こうして実際デートの誘いがあると、やっぱり ウキウキしてくる気持ちを私は抑えられなかった。
そんな私は中々寝付けない夜を過ごす羽目になった。

私がボンヤリ昨日のことを思い出していた時だった。


ドン っっ!!!!

「んぎゃ!!だっ・・・誰っ???」

急に背後から、ギュっと抱き締められて大きな衝撃が身体を走る。

もしかして、ち・・・痴漢っ?
えっ、こんな道端で???
私・・・・むね、・・・胸触られてるぅ!!

「ちょっと!いい加減・・・・・・」

私が叫ぼうとした瞬間、私の耳に届く聞きなれた声。

「夕鈴っ、ごめん!!お・ま・た・せっ!」
「黎翔さん!?」

一瞬、心臓が止まったよ~~黎翔さんのバカッ!バカッッ!!


右でも左でもなく突然背後からギュウギュウに抱きしめてきた恋人に、
私は物凄くびっくりしたのだった!

嘘でしょ?!
なんで……後ろからなの?
更に胸触っていたわよねっ!

「黎翔さんっ!驚かさないで下さい!!」


予想もつかない方向からの突然の恋人の出現に、ドキドキ早打つ動悸が治まらない。
まだ治まらない心臓は、自分の耳の奥で耳障りな音を立てていた。
次第に潤む私の瞳は大粒の涙を溜めたまま、彼に抗議した。

「もうっ、心臓が止まるかと思いました!
もっと普通に来てくださいっ!普通にぃぃぃ!」

「で、いつ?いつ、来たんですか?」

「私、左右の道を見てましたけど、車も人すらも通りませんでしたよ?」

「しかも後ろから来たということは、遊園地の中から来たんですよね!
私が 待ち合わせの場所を間違えました?」

矢継ぎ早に黎翔さんに質問をしてしまうのは、この恥ずかしい状況を一刻も早く改善して欲しいから。

黎翔さんの腕の中にすっぽり納められた私の身体を、
即刻離してもらおうと身をよじって努力してみたものの・・・・所詮無駄だった。

私を強く抱き締めて離してくれない恋人は、楽しそうにクスクスと笑いながら私の耳元で囁いた。

「夕鈴は、間違えてなんかないよ。時間に遅れたのは悪かった・・・・・・」

ヒャアアアア~~~~声無き悲鳴。

久しぶりに会う恋人からの生の囁き。
腰砕けそうになる色気ある魅力的な声が、吐息混じりに耳を嬲る。

ここは遊園地の入り口で、こんな往来じゃあ人の目もある!
お願いだから、早く!兎に角早く私を離してちょうだいっっっ。

そんな恥ずかしい状況と久しぶりに出会えた喜びとで、私は林檎のように顔が染まるのが分かった。

しかしふと辺りを見渡すと、何故か私と彼の二人しかここには居ない。
平日の夕方とはいえ、いま巷で話題の遊園地。
何故か園内から出て来るお客さんも、一人も居ないことが不思議だった。




続。












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「どうして、誰も出てこないのかしら?」

さっきからの疑問が、つい口から出ていた。
私が不思議顔で考え込んでいると、それに気付いた黎翔さんが説明してくれた。

「あれぇ?!夕鈴に伝えてなかったっけ?
ここは僕が所有する遊園地だよ。
で!今夜は、夕鈴と僕だけの貸切にしたんだ」

嬉しそうな黎翔さんの表情に比べ、私は難し顔に変貌する。
貸し切り?
こんな大きな遊園地を?
しかも今話題の遊園地で、平日とはいえどかなりの集客力があるのを返上してまで?

そんな私に黎翔さんは甘く囁いてくる。

「夕鈴、たまにはこれくらいさせて欲しいんだ。
だっていつも会えなくて寂しい思いをさせているし・・・デートだって満足にできないし。
ホント、ごめんね」

しょんぼりとし始めた黎翔さんを見て、私は慌てて手を振りながらフォローの言葉を発する。

「とんでもないですっっ!!忙しいのは私だって分かっていますから。
別に寂しいなんて、私はひと言も・・・・・・痛っ!!」

ギュッ。
黎翔さんの抱き締める力が一瞬強くなり・・・・・・私は、痛さで悲鳴をあげた。

「夕鈴、強がらなくていいよ・・・僕は知ってるのだから。
優しい君が、寂しい思いを我慢していることを。
それに僕も、君に会えなくて寂しかったんだ。
恋人なのにね・・・・」

ポツリと呟いた黎翔さんの寂しそうな声に 、私は肩越しで振り向いた。
黎翔さんの切なげな深紅の瞳と、私の傷ついたような薄茶の瞳とが絡み合うようにかち合った。
しかし深紅の瞳はいつもの輝きが戻り、小犬のような明るい瞳が見え始めた。

「あのさ、僕は久しぶりのデートだから、今夜を楽しみにしてたんだ!
だから今夜は、いっぱい遊ぼうね、夕鈴!」

私より年上で世界中を飛び回り、その辣腕ぶりで『狼陛下』と呼ばれている黎翔さん。
いつも忙しくて時間の取れない彼がわざわざ私とのデートの時間を作ってくれたのだと思うと、
それだけでジンと胸の奥が温かくなりすっごく嬉しくなる。

「ありがとう、黎翔さんっっ」

ニッコリと微笑んだ私に、黎翔さんが無邪気な小犬のような笑顔を返してくれた。
いつもは大人びた彼なのに、今日はホントに子供みたいで・・・・・そんな彼が眩しく見える。

なんか今日の黎翔さんって、可愛い。

黎翔さんの嬉しそうな様子に、私もつられて嬉しくなる。
ドキドキ……と、心臓が跳ねてウキウキ踊りだす。
ハミングと、スキップを同時にしたい気分!

今から始まる遊園地デートに、いやでも期待が高まってくる。

「さあ、遊ぼう、夕鈴!ほらっ、時間が勿体無いよ!」

黎翔さんは私の手を引きながら、テーマパークのゲートを二人でくぐって中へと入った。

ホントっ、子供みたいだわ。

もう1分1秒ですら待ちきれないといった雰囲気で、今にも駆け出しそうな彼の様子に私はクスリと笑みが零れた。
そして私は考える。

そういえば、外で待ち合わせてのデートって・・・これが初めてかしら?!
いつもだと、黎翔さんが家まで迎えに来るか、学校の近くまで迎えに来てくれていた。
でも途中で仕事の呼び出しが入ったり、いいところで邪魔が入ったりしてデートは中止になっていたのよね。
折角の貸し切りなんだし、今日はそんなこと無いといいな~。

私の胸の奥でチラリと掠めた不安を、黎翔さんの楽しげな笑顔が打ち消してくれた。

今日は黎翔さんの雰囲気が、いつもと思うのは気のせいかしら?!
久しぶりのデートだからかな?
うん・・・・きっと、そうね。だって、私もドキドキしてるもの。

握られた大きな手を握り返して、遊園地のゲートを先に進んだ。
入ってすぐに黎翔さんから握られた大きな手をパッと離されて、私は大きく戸惑った。

「・・・・黎翔さん??」
「夕鈴!ここは不思議の国のアリスのテーマパークだから、 ここからはしばらく男女別々だよ。
ゲストは、アリスの登場人物になりきって遊ぶんだ。 ほらっ、あの建物で着替えておいでよ。
僕も着替えて、向こうの出口で待っているね」

イタズラっぽい笑顔を残して、黎翔さんは男性用の入り口へと姿を消した。
私も促されるまま、女性用の入口へと進んだ。


「「「いらっしゃいませっっ♪
Alice in Wonderlandに、ようこそ!」」」

建物に入ると、コミカルで軽快な衣装を身につけた3人のお針子さんたちが私を待っていた。

「いつもだと、お客様に好きなご衣裳を選んでいただくんですけど」
「今日はオーナー直々の指示がありまして」
「お嬢様には、こちらのお衣装に着替えていただきます」

3人のお針子さん達が代わる代わるこの状況を説明する。
そして手に持った可愛い衣装を手際よく、次々と着用させていく。
その間私はなす術もなく彼女らになされるがまま、身動き一つ出来なかった。
気が付けばあっという間に、私の衣装は見事にチェンジさせられていた。

ふわりとした水色ワンピース。
白いエプロンをつけて、スカートの中にはご丁寧にドロワースまで穿いている。
長い薄茶の髪は丁寧に梳られて、半分だけ結い上げた髪にワンピースとお揃いの水色の大きなリボンが飾られていた。

鏡の中に映る私は、すっかりお伽の国のアリスの主人公そのものだった。


「とても、お似合いですわ♪」
「さあ!オーナーが外でお待ちです♪」
「行ってらっしゃいませ、アリス様」

「「「楽しい夜を!!!」」」

お針子さんたちは楽しげに歌い踊りながら、にこやかに私を送り出してくれた。

煌びやかな夜のイルミネーションと楽しげなBGM。
出口から出た私を待っていたのは、発光きのこが弾む不思議な世界。

そこに佇んでいたのは、シルクハットの背の高い紳士が一人だけ。
柔らかな黒髪を夜風に靡かせて、帽子を取り軽くお辞儀をする私の恋人・・・黎翔さん。

「やっぱり、ゆーりんは可愛いね♪ まるで本物のアリスみたいだよ」
「いえ、黎翔さんもカッコイイですっっ!!!」
「そうかい?ありがとう。
僕は、帽子屋だよ。それも君だけの・・・・夕鈴だけの専属のね」

イルミネーションに優しく煌く黎翔さんの紅い瞳が綺麗で。
微笑む黎翔さんの微笑みが優しくて。

私は思わず、ぽぉっと見惚れてしまっていた。

「さあ、行こうか!僕のアリス。ほら、手を出してっっ!」

差し出された黎翔さん手に自分の手を重ねる。
二人だけのロマンティックなシュチエーションに、否が応でも期待が高まってくる。

近くのカラクリ時計が、賑やかに鳴った。
これはドキドキのアリス・デートの始まりの合図。
煌びやかな色彩に煌く噴水が立ち昇り、それはまるで星が落ちてきたかの様で。

「帽子屋さん!!行きましょうっっ!!」

私たちは、噴水とカラクリ時計が終わる前に不思議の国へと駆け出していった。



続。














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眩しく光るアトラクションが見えるところまで来た時には、繋がれた指は熱を帯びていた。
私はそれが嬉しくもあり、恥ずかしくもあった。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、黎翔さんが優しく微笑んでいた。

「ねぇ、夕鈴、アレに乗ろうか?」

駆けてきた衝動でまだ息が整わない私に、黎翔さんが指差すアトラクションはメリーゴーランド。

「えっ?!アレですか?」

私は黎翔さんの指差す先を見詰めて、疑問の言葉で返した。
メリーゴーランドなんて、小さな子供のとき以来乗ったことは無い。

「うんっ!僕、ゆーりんと一緒に乗りたいな!」

手を握られたまま黎翔さんに連れられて、メリーゴーランドの前までやって来た。

そこには、煌びやかな鞍を付けた白馬。
更には、いななき声が聞こえそうな勇猛な黒馬。
何種類もの花があしらわれた馬車。
そして電飾の光にキラキラ輝く七色ガラスで彩られた馬車。

まるでお伽話から抜け出たように美しい色彩に溢れたメリーゴーランド。
煌びやかな電飾に彩られた、メルヘンな光景が目の前に広がる。

「うわぁ~このメリーゴーランド、すっごく綺麗ですね」
「そう??」

自分がデザインさせたメリーゴーランドを恋人に褒められて、黎翔は少し嬉しくなった。

「ではアリス、夢のメリーゴーランドへご案内致しましょう」

ニッコリ微笑んで黎翔さんは、私をさっと軽く抱き上げた。
水色のスカートがフワリと揺れ、私の身体が宙に浮く。
そのままストンと黎翔さんの腕の中にすっぽり納められた。

「キャッ」

急な恋人の行動に、私は小さな悲鳴を上げる。
でも悲鳴くらいで、黎翔さんは私を降ろしてはくれない。
落ちそうになった不安定な身体を、私は黎翔さんの首に腕をまわして支えた。

そして黎翔さんに抱きかかえられたままゲートをくぐり、
一番豪奢な白馬に上にチョコンと降ろされた。

すかさず黎翔さんは私の後ろに跨がると、二人乗りで白馬に乗った。

「なんで?黎翔さん、白馬は他にもありますよ!」
「なんで?って・・・僕は、君と乗りたいんだ!
ねぇ、夕鈴は嫌なの?」
「嫌も何も・・・・・だって今日は貸し切りなのに、何も二人乗りしなくたって」
「夕鈴っっ、こういうのは恋人と二人乗りだから楽しいんだよ!」

後ろから囁かれて、私は耳朶まで真っ赤に染まる。
黎翔さんの低く甘い声に、私はしっかりとつかまっていないと落ちそうになっていた。
そんな私を黎翔さんは後ろからそっと支えてくれていた。

うわっ・・・・ちっ、ちょっっっと、近いっ!!!
恥ずかしい~~。

黎翔の瞳に映る夕鈴は、恥ずかしげに身を捩らせて涙目で訴えている。
それは黎翔にとって、そんな仕草がたまらなく可愛いいと感じられていた。

はぁ、困ったな・・・・あんな可愛い所を見せられたら、ますます困らせたくなる。
もうちょっとくらいならいいのかな。

黎翔の悪戯心は止まりそうもなく、彼女を困らたい気持ちを心の中でたしなめた。


ジリリリ・・・・・
発車のベルが鳴り響く。
夢の世界へと出発。

始まりの合図と共にメリーゴーランドが、ゆっくりと廻りだす。

抱きしめらたままの気恥ずかしさから、私は動きだした白馬から降りようする。
しかしそれを軽く黎翔さんは、抱き直す。

「夕鈴、もう動き出したんだから危ないよ」

黎翔さんは優しく言いながら、どさくさ紛れに私の額にキスした。
私はそのままガタピシと動けなくなっていた。


僕はキスしたとたん真っ赤になった可愛い恋人を抱えて、
くるくると廻るメリーゴーランドを楽しんだ。
何度君を困らせても、このイタズラは楽しい。

僕にとっても、いつ以来のメリーゴーランドだろうか?
久しぶりに乗るメリーゴーランドは、子供の頃とは違う楽しさに溢れていた。

温かくて。
楽しくて。
心躍り。
嬉しい。

きっと、それは・・・・君が僕にくれた贈り物。
僕の恋人、夕鈴。

僕たちは、煌びやかに輝く光の渦に飲み込まれ 、
つかの間の楽しい時を過ごす。
ささやかな愉しみと共に・・・・・。

ここには二人きり。
他に誰もいない。
私の頬を啄む黎翔さんを、誰も止める者も咎める者も居なかった。

メリーゴーランドが止まる頃。
私は、すっかり茹で上がってしまっいた。
腰砕けた私を抱えて、黎翔さんはご機嫌で耳元で囁いた。

「ねぇ、折角だから、もう一回乗ろうか?」

はぁ?冗談じゃないっっ!!!
メリーゴーランドの動く間中、顔にキスの雨を降らせておいて・・・・。
黎翔さんは全くの知らん顔。
こんな恥ずかしい事なんて、二回も出来るはずはないっ。
パクパクと高鳴る心臓が破裂してしまいそうで、
それに恥ずかしさで声さえも出ない。
私は深く息を吸い込んで吐き出した。

「・・・・ぃ・・・・・・いいえ。もう結構です!」

未だ収まらぬ真っ赤な顔で、ピシャリと断った。
黎翔さんは残念そうに、じっと私を見つめてきた。

「・・・・・ダメ?!」

「もう無理です!!なら、黎翔さんだけで、乗ってきてください。
私、ベンチで休んで待っていますから・・・・・」

「夕鈴、それじゃ乗る意味が無いよ。だって、君と乗るから楽しいのに」

黎翔さんは、まだ何か言いたげだったが今度はすぐに諦めたようだった。




続。

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腰砕けた私を、パークの中央にある大きな広場に黎翔さんは連れてきてくれた。
ここからは、荘厳とそびえ立つハートの女王のお城が見える。
ライトアップされて存在感が半端ない。
私はしばらくお城を見上げていた。

突然、お城の方向から花火が上がった。
赤や黄色、緑や青、紫やピンクといった華麗な花が天上で次々と花開く。
咲き誇るように、天空の花畑は見る者すべてを魅了する。

「わぁ、綺麗・・・・・」

私は瞬きも忘れて、瞳いっぱいに焼き付ける。

「夕鈴~お腹が空いたでしょっっ!!はい、コレ」

黎翔さんの手から、チュロスとコーラが私へと手渡された。

「ありがとうございます!嬉しいですっ!
実はちょうどお腹が空いていたから・・・・・・」

スッゴク嬉しいけど、いつの間に買いに行ったのかしら?

「ちゃんとした食事でなくてゴメンね。でもチュロスがここの名物らしくて、それに・・・・」
「花火を合図にもうすぐパレードがここを通るから、夕鈴と一緒に見たくて。
これなら歩きながら食べられるからね」
「パレードですか?!うわぁ~楽しみ♪」

このパーク、一押しの名物・・・・輝くイルミネーションに彩られたパレードが見れると知って、私は顔を輝かせる。
夕鈴の表情を横目で見た黎翔は、満足気に顔を綻ばす。
そうして黎翔は、やっと自分の手に持ったチュロスを食べ始めた。
途端口の中に甘い味が広がる。

「案外、美味しいな」
「えっ?黎翔さん食べたことないんですか?」
「え?まぁね」

へぇー、そうなのね。
黎翔さんはここのオーナーだから、てっきり食べたことはあるんだと思っていた。
初めて食べる味をじっくりと味わうために会話もせずに、チュロスを頬張る。

「あっ、夕鈴、動かないでっ!」

私は急に掛けられた声に驚いて、動きを止めた。
黎翔さんの顔が・・・・口が・・・・徐々に私の顔へと近付く。

え?

黎翔さんの突然の行為に耐えられなくて、私は薄茶の瞳をギュッと瞑った。
そうすると、私の唇あたりに温かい感触が。
どうやら、ペロッって舐められたらしい・・・・・。

はい??
いま、ペロッて・・・・・・ペロッてっっっ!!!!

私は瞬く間に、一気に沸点へと上昇するかにように両頬が真っ赤に染め上がる。

「夕鈴!ご馳走様っ。可愛いサクランボの唇に粉砂糖ついてたよ」

ウソっ、ヤダ!私、子供みたいっ!
恥ずかしい~~~

身悶える私をよそに、黎翔さんは涼しげな顔で。

「夕鈴、可愛いっ。ほらっ、こっちにも・・・・」

味を占めたようにまた口付けようとする黎翔さんから逃れるのに、私は片手で唇を隠した。

「もう砂糖は、ついてませんよ~~」

口付けしようししていた黎翔さんは私にガードされて、
とても残念そうな表情を醸し出し諦めたように見えた。
私は安心して短く息を吐き出した。

ふぅ~良かった。
これ以上キスされたら、心臓壊れちゃう。

私が油断したその時。
すかさず・・・・チュッと私のおでこにキス。

片手にはチュロス、もう片方は唇で。
逃れる術なんて、無いっ!

「もうっ、黎翔さんっっ!!!!」

私は黎翔さんの突然の行動に驚き、防ぎきれなかった悔しさと恥ずかしさで顔が火照っていくのを感じた。
口付けられたばかりのおでこは軽く熱を帯びている。
私は慌てておでこを手で押さえて、恥ずかしさと熱を少しでも治めようと深呼吸をする。
そして一気に息を吸い込むと、目の前でニヤリと笑う黎翔さんに向かってキッパリと言葉を放った。

「そんなところに、お砂糖はつきませんっっっ。
こんな恥ずかしい事は、もう金輪際お断りです!!!!」

焦って怒る私の絶叫と黎翔さんの明るい笑い声が、静寂のパーク内に響く。
そんな二人の前に、迫りくるパレードの列。

華やかな音楽が高らかに響き、煌びやかなイルミネーションが眩く輝いた。
そして楽し気に跳ねる兎と、整然と行進するトランプの兵たち。
その中で踊るのは、ハートの女王。

煌びやかな一行が近づくにつれて、私の瞳はそこに釘付けになる。
夜のパレードは、七色の吐息。
不思議の国の夢空間。

甘い粉砂糖がけのチュロスを頬張りながら見るパレードに、私は夢中になった。

綺麗に飾りつけられた車には、 不思議な格好をしたおとぎ話の主人公達が。
軽やかなステップを刻み踊りながら、私達に手を降ってくれる。

少し顔を紅潮させてパレードを見つめる私を、隣にいる黎翔さんがさりげなく肩を手を置く。
その所作はごく自然で、私はいつの間にか引き寄せられていた。


ここでデートをすることにして良かった。
円らな瞳をキラキラと輝かせる夕鈴は、凄く楽しそうで。
パレードの音楽に合わせて、リズムをとる姿も可愛い・・・・・・。

黎翔は今回のデート時間を捻出するため今日まで仕事を少々無理してきたが、楽しそうな様子にそれまでの苦労が報われた気がした。

こんなに楽しそうな彼女の姿を見るのは、本当に久しぶりだった。
いつもデートの途中で仕事が入り、『仕方がないですから』と送り出してくれる夕鈴。
でもその瞳は、寂しげな色が宿っていたっけ。
その瞳を見るたびに、ホントに申し訳ない気持ちに苛まされていた。

黎翔はボンヤリと考え込む。
いつも間にか、手に持ったチュロスはすべて無くなり紙屑だけになっていた。

チュロスを食べ終わった黎翔は、そっと夕鈴の耳元へと優し気に囁く。

「夕鈴、楽しい?どうせならパレードに混ざって、僕らも踊ろうか?!」
「いいえ、いいです。 楽しいけど・・・・パレードで踊るなんて恥ずかしいですから」
「そうなんだ、折角なのに、いいの?」
「見てるだけで十分です。だってこんなに綺麗だから」

ニッコリと優しく微笑む、夕鈴。
そして黎翔を見つめる瞳はイルミネーションに彩られ、七色に輝いている。
その瞳に黎翔は、しばし見惚れてしまった。

このまま、ずっと夜が明けずに 君と一緒に過ごせたらいいのに。
こんなに愛らしい君を、ずっと見つめていたい。
朝まで・・・・・いっそ、今夜は帰さないか。

黎翔は、自分の気持ちを実行に移そうかと浅はかな考えがフワリと浮かんだ。

僕の君への想いは、パレードの光のように流れて留まることを知らない。
今日は、僕たちの特別なデートにしたい。
夢のように楽しい、僕たちの最高の夜に・・・・そして思い出に。

僕は、もっと君の笑顔が見たい。
花が咲き誇るような満開の笑顔が。
だからそのための準備を、少しずつ進めてきた。
そして僕の人生をかけた計画は、ここまでは順調だ。
こんなにも楽しそうな夕鈴を見たことは無い・・・・・。

だったら、後は。
最高の時と場所で、『あの計画』を実行するだけ。
失敗なんてするはずはない。
最高へと一段ずつ上り始めているのだから。

待ってて、夕鈴。
君の笑顔を永遠にするから。
だから。

黎翔は、隣でパレードに夢中の夕鈴の腰に手を回してそっと浚う。
今すぐキスしたい衝動を抑える代わりに・・・・・。

パレードの列が、次第にゆっくりと二人から遠ざかり始めた。
光りの洪水が、先へと伸びていく。
その光の一筋が消えるまで、二人は見詰めていた。
そして黎翔は自分の掌に感じる夕鈴の熱を、幸せな気持ちで味わっていた。



続。





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煌びやかなパレードも終り、周囲はまた静けさを取り戻していた。
でも、まだ私は夢見心地で幸せな気分に浸る。

おとぎ話の登場人物が、まるで万華鏡の中で踊り回るように光の洪水を作り出し、私の瞳に心に余韻を残した。

そんな中で私は、ふと黎翔さんとの不思議な出会いを思い出していた。



*******


彼との出会いは今から考えると、きっと運命だったんだと思う。
だって普通に生活していたならば出会うはずなんてない。
一般庶民と大企業の社長なんて、何の接点もないのだから・・・・・・。

そう、あれは今から3年前。
私がまだ高校生で。
全ては、父のあの一言で始まった。

「夕鈴、話があるんだが・・・」

仕事から帰って来ると、一目散に私が夕ご飯を作っていた台所にやって来た。
珍しいことも有るものだ。
いつもだったら、仕事着から着替えて『ちょっとそこらで、一杯だけ飲んでくるから』と居間から声を掛けて、
さっさと出掛けるところなのに・・・・。
私は夕ご飯を作る手を一時止めて、振り返って父さんを見る。
父さんの目はニヤニヤしてて、正直これは余りいい話ではないような気がしてくる。
また厄介事でも持ってきたのか??
私は身構えて、父さんの話を聞くことにした。

「なぁ、夕鈴・・・・・実はな、割のいいバイトがあるんだが」
「はい?バイト??バイトならしてるけど」
「ほら、お前バイト増やしたいって、前々から言っていただろ!?」
「そりゃ、確かに言っていたけど。でもよく考えてみたら、時間のやりくりが大変かなぁ~って」

これは、食いつかない方がいい。
ロクなことが無いような気がする。

私はそう言うと、また夕ご飯の支度に戻った。
それで終るかにみえたが、父さんは引かずに話を続ける。

「それが、ある会社ビルのフロア清掃なんだが・・・・割がいい!時間の融通が利く!そして高校生でもOK!と、中々条件が良くてな。
今しているバイトを全部辞めても、バイト代が増額になるんだよ。
ほら、中々いいバイトだろっっ」

父さんは得意げに目を輝かせる。
私は短く息を吐き出して、父さんに言い聞かせるように反論した。

「父さん、そんな夢のようなバイトがあるはずないじゃない。
そんな割のいいバイトなんて、そうそうないから・・・・人が好過ぎる父さんだから、騙されたのよ」
「そんなことないぞ!それってウチの会社の本社ビルだし、雇い先は本社の秘書課だから絶対大丈夫だって!!
父さんが保証する!!」

イヤ・・・父さんに保障されたってね。
もっと世の中疑って掛かろうよ。

そうは思いつつも、割高なバイトに少しだけ興味は湧いていた。

「・・・・・・父さん、ホントに大丈夫なの?」
「おう!オレが太鼓判を押してやる!」

だから、それが一番不安なんだってば。

かなり疑う気持ちを持ちつつも・・・私はそのバイトの面接を一応受けることにした。
そして指定された日に、本社ビルへと面接を受けるために出向いた。
スッゴク大きなビルで、入り口前で少し躊躇したほどだった。
そして教えられた秘書課へと乗り込んだ。

私に目の前にいる面接官は、結構イケメンの眼鏡青年だった。
そして社長秘書なのだと簡単な自己紹介をされた。

へぇ~この人、若い人みたいだけど社長秘書だなんてエリートなのね。
てっきり人事部のおじさんが面接官だと思っていたけど・・・。

私は自分の予想が大きく違っていたことに驚き、変に緊張してきた。
ドキドキする自分の心臓の鼓動を、身体全身で感じていた。
面接官の値踏みされているような鋭い眼差しに圧倒されて、綺麗に揃えている両足がプルプル震えているのが分かった。

実はこの人、凄く怖い人なのかしら?
それとも面接官だから、こんなに怖く感じるのかしら?
やだ、手のひらに変な汗が出てきちゃったわよ。
何を聞かれるのかしら?
こんなに緊張してて、キチンと答えられるの私?

相手が話し始めるまで、頭の中でグルグルと思考が駆け回る。
私はごくりと息を飲み込んだ。

「貴女が、応募者ですね」
「はい!宜しくお願いいたします。汀 夕鈴ですっっ!!!」

出てきた声はいつもよりも大きくて、辺りに反響していた。

「元気があって、宜しい!ところで貴女、高校生だということですが・・・・」
「えっ?はい・・・・・そうですが?」

高校生はダメなの?
今更そんな事言わないわよね~~。

私は恐る恐る相手の出方をみた。

「高校生ですか・・・・それはちょっと、例のバイトに採用するというわけにはいきませんねぇ」
「はい??」
「いえ、こちらの話です。一応、確認だけはしておくと致しましょうか」
「確認ですか?」
「率直に聞きますが・・・・・貴女、彼氏はいますか?」

この会社は大丈夫なのかしら?と思ったのは、この時だった。
だって、ただのフロア清掃のバイト面接で彼氏の有無を聞かれるとは思いもしなかったから。

実のところ、私は今までのバイトをすべて辞めてこの面接に臨んでいた。
落とされるのは絶対に困るっっ!!!
食べ盛りの弟がいるウチの家計は、毎月・・・火の車。
父さんが毎晩のように飲み歩くから、正直ウチには蓄えなんてものは殆ど無い!
進学を望む弟の塾代だって、バカにならない。
私の脳裏に可愛い弟の顔が浮かんで消えた・・・・。

絶対に、このバイトを受かってやるっっ!
いや、受かんないとスッゴク困る!

私は、太ももの上で重ね合わせた両手に思わず力が入る
この変な質問が仕事にどう繋がるのか疑問を持ちつつ……分らないまま正直に即答した。

「いいえ、いませんが・・・・それが何か??」
「そうですか・・・・・それならば結構です。
汀 夕鈴さん、貴女を採用いたします!」
「は、はいっっ! 有り難うございます。 私、一生懸命に頑張ります!!」


こうして私は、この怪しげなバイトを始めることとなった。



続。










瓔悠

Author:瓔悠

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