【答えを求めるのであれば】
2017年03月17日 (金) | 編集 |
【設定】

臨時妃 ・ 原作寄り 


【注意事項】

今更ながら、『臨時妃設定』な話を書きます。
ちょっと、今私の中で『浩大祭り』が開催中でして・・・・。

あの飄々としているのに、しっかり自分の役目は果たす責任感の強さが好きで。
妄想がダダ漏れしています。

アチコチ途中のモノがありますが、
どうぞご容赦くださいませ。







「お妃ちゃん、そんなに急いで何処に行くんだよっっ!!」
「あっ、浩大。
何処って、あっち!!」

そうやって、指差した先には先ごろ咲き始めた大きな桜の木が植わってあった。

「お花見かよ・・・・あんまり急いでいるもんだから、何かあったのかと思ったよ」
「ごめんなさい。
だって、今を逃すと見れなくなるから」
「はい?まだ咲き始めたばかりだろ、そんなに急がなくても明日も明後日も見られるじゃん」
「確かに、私一人でならね・・・でも今から陛下と花見なのよ。
陛下がここのとこ忙しくしているのを見て、李順さんがちょっとだけ休憩をくれたんだってっっ!!
だから、急がないといけないの~。
それに・・・・・・来年も陛下と見られるなんて保障は何処にも無いから」

夕鈴は、最後の方は声を潜めて小さく呟く。
浩大には聞こえない様に・・・と。

聞こえないはずは無いのに・・・・な。
オレは優秀なんだぜ。
まぁ、いいさ。
聞こえてない振りくらい、いくらでもしてやるよ。

「それじゃあ、急がないとな。
でもさ、肝心のへーかは何処にいるんだよ」
「まだ政務中よ。先に行って、お茶の準備をしておくの。
だから急いでいるの、私」

そう言うと、今この時すらも惜しいとばかりに兎は跳ねていく。
その後ろ姿を見ていると、何だか口元が綻んだ。

ホントに見ていて飽きなくて、楽しくて。
自分の役目が、あの元気な兎の護衛で良かったと思える。

「お妃ちゃん!オレも何か手伝おうか?」
「えっ?浩大が??
そうね~~何してもらおうかしら」

大きな桜の木の根元で準備を始めた兎に追いついて声を掛けると、
う~~んと小首を傾げながら口元には人差し指を置いて考え始める。

「お茶の準備は私が出来るからいいとして・・・。
そうね~~あっ、そうだわ!
桜の枝を一本だけ欲しいのだけれど・・・・」
「一本だけでいいのかい?」
「ええ、だってお茶に桜を浮かべたいだけだから」
「ふうん」

お安い御用とばかりに、浩大は身軽に桜の木へと登っていく。

「お妃ちゃん、どの枝がいい?」
「えっ?どれでもいいわ。
でも沢山花がついてあるのは避けてね」
「りょーかい」

まぁまぁ花の付いている小枝をポキッと手折ると、手に持ってそのまま地面へと飛び降りた。

「はい、これ!」

小枝を差し出すと、夕鈴はニッコリ微笑んで受け取った。
手の中の小枝を、夕鈴はしげしげと見詰めている。
それを浩大は怪訝そうな視線を夕鈴に向けた。

「それで良かったんだよな」
「えっ、あっ、うん。
・・・・・・キレイよね、桜って」
「まぁね~~でもさ、オレはキレイなくせに儚すぎて、何だかヤだな」
「そうね・・・・・確かにそうかもしれないけど。
それでも、咲いてる間は沢山の人を楽しませてくれるし、心和ませてもくれるわよ。
でも散り際を見ると、涙が出そうになるけどね」
「どうして、泣きそうになるんだよ」

フゥって息を吐き出して、夕鈴は晴れ渡った空を見上げる。

「だって・・・・・何だか寂しいじゃないの。
咲いてる間が短くて、その間に雨や風に曝されると、
その命を周囲にまき散らしながら儚く散り急いでしまうから。
それに満開の時だけ、皆に嬉々として愛でられてるっていうのも・・・・」
「でも散り様が潔くて好きだって、その時だけを愛でる奴もいるけどな」
「そうなのね」


お妃ちゃんは何かを桜と重ねている。

それは、ここにいる『自分』の事なんだろう。
何となく分かる気もするけどな。
自分は偽物なんだから・・・・とか、いつか出て行かなくちゃいけないとか。
色々考えているんだろうけど。
オレから言わせてもらえば、どーせ陛下が離さないだろうよ。
とういうよりも、離せないと思うぜ。

だから、そろそろ覚悟決めろよ。
あの難儀なお人の傍にいる覚悟を。
それが、アンタの『恋』の答えだと思うからさ。
まぁ、そんな事、オレが言える立場じゃないけどさ。





「ゆ~~りん」


遠くから、黎翔の声が聞こえてきた。
どうやら、夕鈴を探しているらしい。

「ほら、へーかが捜しているみたいだぜ」
「そうね」

フフッって笑って、口元に両手をあてて大きな声で叫ぶ。

「陛下~~~~ここですよ~~~」

鈴を鳴らすような声が、空気に溶け込み広がっていく。
それに気がついた狼は、ここに全力疾走で来ているみたいだ。
嬉しそうな気配がダダ漏れである。

「へーかが来たみたいだな。
オレはあっちに行ってるから・・・・お邪魔虫にはなりたくないし。
おっかない狼に、お仕置きされたくないから~~」

軽口を叩いて、その場を立ち去った。
風に乗って、二人の楽し気な笑い声が聞こえてきた。



答えを求めるのであれば、それはお互いが歩み寄らないとダメなんだぜ。
それを怖がっていちゃ、先には進めないんだけどな。
傷つくこともあるかもしれない。
困難なことにぶち当たるかもしれない。
でもさ、オレは二人なら乗り越えられるって思うんだ。

だからさ。
お妃ちゃん・・・・桜の花の様にあればいいんだよ。
だって花言葉には『精神の美・優美な女性』ってあるんだから。
あっ、そういえば、この桜は山桜だったな。
なら『あなたに微笑む』って言うのもあったな・・・・。

まぁ、兎に角、花は笑っているのが一番なんだぜ。
オレは花守だから・・・・。
守っていてやるから。


終。





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【信じるという事】
2015年04月08日 (水) | 編集 |
【設定】

臨時妃 ・ 原作寄り 








太陽が厚い雲の中に隠れ、今にも大粒の雨が落ちてきそうな空。
夕鈴はそんな空を見上げ、一人小さな息を漏らしていた。

自分の気持ちを表しているような。
そんな空模様。

このところ、陛下はお忙しいようでお渡りもない。
寂しい・・・・といえる権利も無いかもしれないけれど、それでも・・・・・・寂しい。

ハッキリ言って陛下のお渡りがなければ、こんな下っ端のバイト妃のやる事なんて何もない。
正妃など高貴な妃であるならば慰問や儀礼・儀式など、王に代わってやる事などもあるのだろうが。

仕方なく夕鈴は午前中、もう一つのバイトに勤しんでいた。
しかし天気が悪いせいか、磨いてもベタベタした感じがして磨きがいも無い。
あまり成果も出ないとなるとやる気も削げ、午後もやる予定だったを早々に切り上げてしまっていた。

自室にいても正直何もすることはなくて手持無沙汰だ。
では書物でも読もうと思って開いてみたけれど、途端眠気が襲って来て断念してしまった。
ならば・・・と窓辺でぼんやりと外を見ていた。

ホント、お妃様って退屈。
この後宮も昔は沢山の妃たちがいたって事だけど、日がな一日何をしていたのかしらね。
それに毎日王のお渡りがあるわけでなく、更にそのお渡りも必ずしも自分の所にお越しだとは限らないし。
昔のお妃様はそれで幸せだったのかしら・・・・・・。
まぁ、私はあくまでバイト妃だから、そんな事を心配する必要は無いけれど。
それでも本当の本当は、陛下には私だけを見てほしいなんて不埒な考えも頭の片隅にあったりする。
そんな自分が堪らなく嫌になる・・・・ずうずうしくて。
大体、陛下は王様で・・・・私は庶民で、本来ならば、えるはずもない雲の上の人で。
こうしている事が奇跡だから、これ以上は望んではいけない・・・・の。

ボンヤリと考え事をしていたせいで、周りにいたはずの侍女さん達がいなくなっていたことなんて夕鈴は全く気が付きもしなかった。
だから、自分の背後に陛下がいたことにも当然気が付かなかった。
それで、出てきた一言。
これを聞かれていただなんて・・・・・。

「私って結構、厚かましかったのね。その内、此処にも居られなくなるのに」

「夕鈴・・・・僕は君を失いたくはないんだ。だから・・・・・」
「えっ?へっ、陛下!いらしていたんですか??」

夕鈴は振り返ると、そこには黎翔が佇んでいて煌めく紅玉の瞳が揺れていた。
その様子をみて夕鈴は、ふんわりと穏やかに微笑む。

「陛下、私は此処にいますよ」

桜桃の熟れた実のような唇から紡がれる言葉は優しく黎翔の耳奥に届くけれども、
険しい表情が晴れることは無かった。

「でもいつかは、君も僕の前から消えてしまう」
「そんな事は有りませんよ。陛下が私を必要としなくなる時まで、私はお傍にいます」
「しかし、それは契約から言っているのであろう」
「そんなことは・・・・・・・有りません!」

夕鈴は言い切って再度微笑んでみるが、その微笑みの意味も想いも黎翔には伝わらない。

どうして・・・・・・伝わらないの・・・・。
本当は私はずっとここに、陛下の傍にいたいのに。
それにしても、陛下・・・・何か様子がおかしい。

「何かあったんですか?」
「・・・・・・・・」
「スミマセン、私が立ち入ることではありませんでした」
「夕鈴・・・・・」
「はい?」
「君には、私の傍にいてほしいんだ」
「だから、いますけど」

フッと黎翔の口元に笑みが浮かぶ。
自嘲めいた笑みで・・・。
そんな黎翔が、夕鈴にはただの青年に見えた。

今だったら、言えるかも。
私の想いを。

「陛下・・・・・・私はいつまでも陛下の味方ですよ」

満面の笑みを黎翔に向けた。
今の自分が出来る事なんてこれくらいしかなくて。
だからめいいっぱいの花も恥じらうような微笑みを黎翔に向ける。
聖母の様な・・・・女神の様な、そんな笑顔。

「夕鈴、ありがとう」
「いえ」
「じゃあ、約束をもらおう」
「約束・・・ですか?」
「そうだよ」

何されるのかしら?・・・・・これは流されてはいけない気がする。

夕鈴は身構えて、一歩後ずさる。
黎翔は一歩進んで、夕鈴との距離を縮める。
それを受けて夕鈴はまた一歩後ずさる。
けれども黎翔もまた距離を詰める。
そうする事、数歩・・・・・・・・・・・・夕鈴は壁際に追い詰められた。

そこに黎翔はニヤリと口角を上げて悪戯っ子のように笑みを漏らす。
壁に両手の掌をドンッと音を立てて押し付けて、夕鈴の逃げ場を奪った。

「ほうら、夕鈴・・・・後はないよ。どうする?」
「・・・・・・・」
「約束してくれるんだろう」
「それは、しますけど」
「では、約束!」

夕鈴は固く目を瞑った。
これ以上、黎翔の紅玉の瞳は見続けることは出来ない。
だって吸い込まれてしまいそうで、身動きが取れないから。

「あはは・・・夕鈴って本当に素直で可愛い」
「へっ?」

うっすらと目を開けると、そこには片手は壁に手をついたままで
もう片方の手は自身の腰に手を当てて笑っている黎翔がいた。

「陛下のイジワルっ!!」

プイッとほっぺを膨らませて、そっぽを向こうとした夕鈴の顎に黎翔の形の整った指先が制止する。
そのまま黎翔は引き寄せて・・・・・・・夕鈴のさくらんぼのような柔らかい桃色の唇に軽く触れる口づけをした。

「あっ、その、何を、陛下、だから」

いきなりの行為に、夕鈴はまともな言葉が出てこない。
そんな夕鈴が愛しいと、黎翔は自分の腕の中に夕鈴の身体を納めた。

「夕鈴、ありがとう・・・・・・これからも傍にいてね。
君の言葉には、裏表も嘘もないのを僕は知っているから信じられるんだ」
「陛下・・・・・・・・」
「僕の周りには嘘つきが一杯だから」
「大丈夫ですよ。私は嘘はつきません!」
「そうだね」

ポツリと囁くと黎翔はもう一度、夕鈴を抱き締めた。

「しばらく、こうしていて・・・・・」

ホンの少しの時間。
でも夕鈴にとっては長い時間に感じられた。

でも自分の中で、私がここにいる事で少しは黎翔の役に立ててるんだ。
そう誇らしく思える自分がいた。





終。


【罪深き】
2015年03月28日 (土) | 編集 |
【設定】

臨時妃 ・ 原作寄り 

【注意事項】

LaLa3月号のネタバレがあります
コミックス派の方にはご注意です。
更に言うなら、陛下少し壊れ気味です。


何でもOKの方のみ、お進みください。
少しでも『ううっ』と思われる方は、止めておいた方がいいかも・・・・。
大丈夫ですか??
大丈夫!だと仰るゲスト様のみお進みくださいね。










手離してから思い知った。
自分の気持ちとこの虚無感。

今なら分かる・・・確かに繋がっていたということを。

ならば、もう一度つなぎ直せばいい。
そして繋がれた手が2度と離れる事の無いように・・・・・・

鎖で絡めとってしまえばいい。
檻にでもいいから閉じ込めてしまえばいい。

それが罪深い行為だと知っていても。


***********


眠れない。
心が落ち着かない。
ならば、政務に精を出して忘れてしまえばいい。
そうしても、全く・・・駄目だ。

気が晴れない。
こんな気持ちを感じるとは。
こんなにも必要としていたとは。
こんなにも恋しいと思うとは。

自分自身が信じらない。
結局、王だといっても・・・・・ただの男だったわけだ。
トンだお笑い種だ。

夕鈴、・・・・・・・・
逢いたい。
触れたい。
抱き締めたい。

心が夕鈴で一杯だったからかも知れない。
幻まで見える。

こんな所で、夕鈴に逢えるはずなんてない。
一番あり得ない場所。

目を擦ってみて、見直してみても幻なんてことは無く
まさしく夕鈴本人だった。


(全く、君って人は・・・・)

声にならない心の声。
途端、心によぎる。
君を閉じ込めてしまいたい。
もう何処にも行かないように。

此処で再会したのも、恐らく意味のあること。
ならば。


「どういうことーーーーー」

夕鈴・・・・・ごめんね。
でももう僕は君を離すつもりは無いんだ
だから。
ここで。
大人しくしていて。

君に対する想いが、溢れそうなんだ。
もう抑えられない。
だから・・・・・少しだけそこにいて。

分かっている。
これが罪深き事だということは。






終。




随分と、本誌とはかけ離れてますね~~
甘いモノでもなく。

でも多分私の疲れた脳みそが、違う妄想へと誘うんです。
『よゆまま』では考えられない
こんなの書いても、絶対に出さないだろうな・・・・・。

読んで後悔したのでしたら、『ごめんなさい』と謝罪しておきます。


瓔悠。


【夢であるように】 
2015年03月24日 (火) | 編集 |
【設定】

臨時妃 ・ 原作寄り 

【注意事項】

LaLa4月号のネタバレ気味(?)かも知れません。
コミックス派の方は、閲覧ご注意ください。
大したネタバレではないのですが。
(あるセリフがネタバレのセリフなんです)













「側にいてほしい、自分の手で君を守りたい」

嘘・・・・・・・
きっと、まだ私寝ぼけているんだわ。

だって、こんな事なんてある筈もないから。
陛下の端正な顔が、私の目の前にあって真剣な表情で私を見詰めている。

ナイ!ない!
私まだ寝ているんだわ。
これは夢。

「君が足りない」

そう言った。
陛下は、確かにそう言った。

聞き間違い?

「はい?」

私は聞こえてない振りで返した。
だって、聞き違いだったら恥ずかしいから。

「夕鈴・・・・・君って罪作りだよね」

今日の陛下はおかしい。
演技だとしても、普段はこうも立て続けに理解不能な言葉を紡ぐものだろうか。

「陛下?」

やっぱり聞こえない振りをしよう。
それが一番いい。

「やっぱり、夕鈴は後宮の悪女だよ」
「どうして私が悪女になるんですか?」
「聞こえているんじゃないか」
「今のは聞こえたんです」

感動的な告白を聞いたとしても、
信じられる・・・・訳が無い。

この恋は隠し通すもので。
私の心の奥で秘める想いで。
だから。
絶対に。
そんな言葉を陛下から聞いては駄目。

期待するから。
勘違いしてしまうから。
ホントは演技かもしれないのだから。

そんな熱い瞳を向けないでください。
狼と小犬が混じった表情をしないでください。

どうしていいのか、分からなくなってしまいますから。


夢なら、夢の中でなら・・・・・どんな言葉でも信じます。
だってそれは、私の願望が作り上げたものだから。


夢であるように。
私はそう願う。



今重ねられた唇の感覚が、リアルだったとしても。





終。




****************


やっぱり、燃え尽き症候群です。
思ったようなものが書けない。

はぁ~~~ダメですね。


こんなモノをUPした上で、開けてもいいのでしょうか?


でも、『待っている人がいる』と言ってくれた友人の言葉を信じてみます。
ダメだったら、その時に考える事にします。



お待たせしました、新装開店です!!!



瓔悠。


【消えない想い】
2015年01月20日 (火) | 編集 |
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臨時妃 ・ 原作寄り 






この想いを捨て去れるものならば、とっくの昔にそうしてた。
でもそう出来ないから、苦しい。

「君を手放すつもりは無い」

そう云われても、それはバイトを繋ぎとめておくためだけの言葉だと。
それくらい私にだって理解できる。
後腐れがない下町の娘を選んだのも、それが利があるから。

だからいいの。
私がこの想いを命果てるまで、抱えていればいいだけの話。
もう多分、私は別の人を好きになることも出来ないだろうし。

初恋が最後の恋になるなんて・・・ね。
生まれなおしたなら、別の人を好きになれたのかもしれない。
でも多分ダメ・・・・・・・・・きっと探してしまう。

その姿。
その瞳。
その存在を。

「愛してます。」

純粋な叫び。
私のありったけの想い。
そして本気の恋。

迷わない。
立ち止まらない。
諦めない。

だからこそ。
私なのだから。


「陛下、お茶にいたしましょうか。」
「そうだね、夕鈴の淹れてくれたお茶は最高に美味しいからね。」
「お褒め下さり、有難うございます。」

陛下の訪れと共に交わされる会話。
いつも通りの。
平穏そのものの。

私は知らなかった。
変わらない日常なんて、一つの行動から・・・・・・そしてたった一つの言葉から崩れ去ることを。

「ねぇ、夕鈴。」
「えっっ!!!」

お茶を入れる手が止まる。
だって、逞しい腕の中に囚われたから。

「あっ、あの・・・・陛下、離してくださいっっ!!」
「ダメ。」
「ダメって、何ですか?」
「だって、夕鈴が居なくなりそうだから。」
「居なくなんて、なりませんよ。」

振り返って微笑んで見せた。
でもこれは嘘。
だって借金をすべて返したのなら、私がここに居る意味なんて無くなるもの。
それは、そう遠くない未来。

「陛下・・・・離してください。」
「離せない。」
「どうして・・・。」
「どうしても。」
「それでは答えになってませんよ。」
「じゃあ、僕が離したくないから。」
「そんな理由は理由になりません。」

私は離してもらおうとジタバタもがく。
でも絡みついた腕は更に強くなる。

そして聞こえる重低音の声。
耳元に甘く囁かれる。
恋の罠。

「ねぇ、夕鈴・・・・僕の花嫁になってほしい。」
「花嫁ですか??」
「そう、だめ??」
「・・・・・・・・」

私は言葉に出来ず、ただフルフルと頭を振った。
頬に伝わるのは、透明な雫。
暖かく、こそばゆい。

「チュッ」

頬に触れる暖かな感触。
これは・・・・・・・・・・・・・・・・陛下の唇。

「泣かないで。」
「・・・・・・・・・。」
「そんなに嫌なの?」
「い・・・・やじゃ・・・・・ない・・・・です。」

呼吸が苦しい。
息が出来ない。
慌ててコクリと口腔に残った空気を飲み込む。
そして胸いっぱいに呼吸をして、新しい空気を身体に取り込んだ。

「陛下が大好きです。」

私は自分の想いを涙声で伝えた。
それは純粋な想いが叶った瞬間。
そして、それは永遠となる。






終。