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こんな事が起こるなんて、思いもしなかった―――。

なぁ~~んて。
そんな事を思うのは、自分の立場では都合が良いのだろう。
いつ何が起こるのか分からないのが『白陽国の狼陛下』と言う立場であって、
それが例え甘受出来ないことであっても平然とした表情で受け入れ無ければならないのだろう。

黎翔は、今日の政務を一気に終わらせたところで天井を見上げる。
折角早く政務を終わらせたって、意味なんて無い。
だって、ここには愛しい人がいないのだから。

「はぁ・・・・・・・・」

吐きたくもないため息が自然と出てくる。

―――ため息を吐くと、幸せが逃げるんですよ。

鈴を鳴らすような声が、耳に届いた気がした。
これは、空耳だ。
黎翔はキチンと理解している。
けれど・・・それは理性が理解していることであって、感情はそれについていけない。

「陛下、今いい?」

遠慮気味に、外窓から声が掛かる。
外に放っている浩大だ。

「ああ」
「今日も、変わりなし・・・・だよ」
「そうか」
「まぁね~~元気に働いてた」
「そうか」
「それで、あの例の金貸し君が甲斐甲斐しく面倒見てくれてるみたい」
「そうか」
「へーか、大丈夫?」
「道具に心配されるとはな、私も落ちたものだな」

自虐めいた言が、黎翔の口から放たれた。
それを浩大は聞こえない振りをしてクルリと黎翔に背を向ける。
そしてそのまま去り際に、一言だけ声を掛ける。

「それじゃあ、また明日」
「ああ」

黎翔は、浩大が消えた後も卓上に肘をついて何をする訳でもなく呆けていた。
今日の分の政務も終わった今、何もする気が起きない。

夕鈴がここから下町に帰って、既に半月。
何も事態が変わらない事に、黎翔は正直イライラしていた。
直ぐに、帰って来てくれると思っていた。
しかし、それはただの幻想であって。
現実はそう甘くは無かった。
未だ、夕鈴は記憶を取り戻す気配もなく。
下町の生活に何の違和感も無く、溶け込んでいるみたいで。


ねぇ、君の夫はここに居るんだよ。
夕鈴は寂しいって思わないのかい?
僕は、夕鈴のいない後宮は見たくないんだ。
だから、そこにはあれから行っていないんだよ。

逢いたいんだ、夕鈴。
君の笑顔が見たい。
君を抱きしめたい。
君の香りを感じたい。


黎翔は再度ため息を吐き出す。
自分が下町まで出向いて夕鈴の記憶を取り戻す為に働き掛けたいけれど。
自らが動くわけにはいかず、ここで浩大の報告を待つだけで・・・・。
それももう限界の域に達しようとしていた。

でも、黎翔は動かない―――いや、動けないのだ。
それには実は理由があった。

それは夕鈴の記憶が無くなって下町に帰して、少ししてからの出来事だった。



続く。













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私には、ただ一つだけ。
叶えたい、いや叶えるべき約束がある。
でもその約束は誰としたものなのかは定かではないけれど。
それでも、それは絶対に叶えないといけない『約束』だという事だけは覚えてる・・・。

それを思い出せない私は、鬱々とした気持ちになってしまう。
だから、私は青々とした空を見上げて精一杯微笑むの。
そうすれば、きっと幸せが転がり込んでくる筈だから―――。


「おいっ、お前はまたあそこを見詰めて・・・・何してるんだよ」
「あっ、几鍔」
「そんな切なげな表情で見てるんじゃねぇよ」
「そうね・・・でもね、何でだろう?分かんないけど、何となく気になるのよ」
「ふぅん、そうかよ。で、何か思い出したのかよ?」
「う~ん、特に無いかな。さぁ~てと、仕事に戻りますか!」
「おうっっ、じゃあな」

そう言って、背を向けて歩き出したのは私の幼馴染である几鍔。
口は悪いが、何かと私に気を配ってくれている。
昔は正直言って鬱陶しいと思っていた事もあったけど、
こうしていつも気に掛けてくれている様子を見れば、有難いと思える様になっていた。

―――それは、私が成長したという事だろうか?
そう、大人になったって事で・・・・・・・大人?
私が、大人ねぇ。

その違和感が有りまくる私の感覚が、私を惑わせる・・・・の。

今、私は下町の或る場所でバイトをしている。
これは生活の為でもあり、もう一つ大きな理由があった。
実は――私には、ここ何年かの記憶が無い。
それを取り戻す為に、色んな人に会って話をして沢山体験して少しでも取り戻せるように頑張っている。

家族に聞いた話だと、私は王宮に住み込みの仕事をしていたらしいけれど。
そこで何かしらの揉め事に巻き込まれて、記憶まで無くして実家へと戻ってきたのだ。
だから正直言って、『もう成人に達している』なんて言われても、
記憶上は17歳だからピンとこないのが現状である。

「夕鈴ちゃん、これを3つ角の先にあるいつものおばあさんの家まで配達してくれるかい?」
「あっ、はい!!」

おかみさんの声だ。
さぁて、仕事に戻らないと・・・・・・。

「おかみさん、これですか?」

店先に置いてある、中くらいの包み。
その中には、生活雑貨が入っている。
ここは、下町一大きな商店『几商店』・・・先程の幼馴染の家だ。
私は、几鍔の口利きでこの几商店で働かせてもらっているのだ。

「そう、それ。お願いね」
「はい、行ってきます」

私は、包みを抱えて元気に店を出て行く。
店の前の道路はいつも賑わっていて、
私はこの賑わいが結構好きで自然とウキウキと心躍っていた。


「いつも元気だよね~お妃ちゃんは」

夕鈴の後を人知れずついて行く人がいるのを、夕鈴は全く気がついていなかった。
その人物が、この国の国王である『狼陛下』の道具である事も。
記憶の無い夕鈴には、顔を合わせても誰であるかも認識することは出来なかった。





続く。






******************


・・・・・新しい話です。
実は、これある企画用の話だったんです。
でもスンゴク長くなりそうで・・・・決められた頁に収まりそうになくて。
なのでボツりました。
でも、勿体無い勿体無い!!
ならば、ブログに載せてしまおう~~と安易な考えが。


そんな感じで、チマチマと書いていきます。
宜しければ、お付き合い下さいませ。

で、企画用の話は何とか思いつきました。
これならきっと長くはならないだろう・・・・と。
締め切り・・・・はい、踏み倒してしまいます。
ははは、、マズイ。
ゴメンナサ~~~~イ。←誰に謝っているのか、ゲスト様には分からないのにスミマセン。
でも、書いてますよ。
チマチマと。
だから、待っててくださいね~~~~~。



そんな感じで失礼いたします。


瓔悠。













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「大好き、です」
「・・・・・・・・・・・・・・・何、それ?」

浩大の突然の言に、夕鈴はポカンと口を開けて問うた。

「何って、愛の告白の言葉だけど?!」
「はぁ」
「・・・『はぁ』は無いんじゃね?」
「だって、今更でしょ」


夕鈴は手を止めずに、そこかしこを掃いていく。
本物の妃になっても今だ続けている、立ち入り禁止区域の掃除バイト。
それは未だ返し切れていない借金返済の為の貴重な財源である。

黎翔に言わせれば、『もう夫婦になったのだから、借金は完済されたも同然』なのらしいが、
『それはそれで、借金は別なのだ』と律儀な夕鈴はキチンとしないと気が済まないのだ。

なので、今は李順のお妃修行の間のわずかな時間を使って掃除バイトをしている。
確かに大変ではあるものの、それは適度に気持ちの切り替えになって夕鈴としても都合がいい。
いつも近くに浩大が張り付いて警護をされながらの掃除で、
こうして自然に浩大と会話をしつつになるのだ。

それで、今日は素直に『愛』を伝える!について談義しているのである。

夫婦なのに、今更そんな言葉を伝えることに意味があるのかしら?
そんな事、恥ずかしくて言える訳無いじゃないの。
お酒にでも酔っているのなら、話は別だけど・・・・・。

夕鈴はダンマリを決め込み、さっさと作業を進めていく。
もう浩大の話には乗らないという意志を見せつける様に。

「お妃ちゃん、これは夫婦円満の秘訣なんだってよ」
「・・・・・・」
「きっとさ、へーかもお妃ちゃんから言われたら、
一日の疲れも吹っ飛ぶと思うんだけどなぁ~~」
「・・・・・・」
「ねぇ、聞いてる?」
「・・・・・・」

完璧に無視を決め込む。
こうなると浩大もお手上げ状態で、それ以上は何も言えず黙り込んだ。

ハハハ・・・・。
へーか、やっぱりお妃ちゃんは手強いよ。
オレでも無理っっ!!

そう、これは実の所・・・・黎翔のささやかな願いで。
恥ずかしがりのお嫁さんから欲しい『愛』の告白。
普段言ってくれないからこその、貴重な言葉。
その言葉を夕鈴から引き出す為に、浩大を一等酒で懐柔したのだ。
しかし黎翔が思うほど、そう簡単にはいかなかった。

そうこうしているうちに、あらかた掃除も終わったらしく夕鈴は水の入った桶を片付け始めた。

「さぁ~~て、今日はここまでにしておくわ。
浩大、今日も護衛ありがとうね。
私、部屋に戻るわ・・・じきに陛下もお戻りでしょうから」

そう言うと、夕鈴は浩大にニッコリと微笑んでその場を後にした。


******


「夕鈴、ただいま~~」
「陛下、お疲れ様でした。
こちらへどうぞ、すぐにお茶の準備を致しますから」

夕鈴は、ゆったりとした微笑みと共に黎翔を招き入れた。
そしていつもの定位置の長椅子へと、黎翔をいざなう。

「ありがとう・・・・・・ところで、夕鈴」
「はい?陛下、どうかしましたか?」
「僕に言いたいことは無い?」
「?」
「いや、いいんだ・・・・今のは忘れて」
「あっ、はい」

夕鈴は首を捻って、考え込む。
今の噛み合わない会話は何なのか?と。
でも陛下は『忘れて』と言ったのだ、きっと大した意味は無いのだろう・・・・。

そう、夕鈴はすっかり忘れていたのだ。
昼間交わした浩大との会話の内容を・・・・。
そうして夕鈴は黎翔にとっておきのお茶を振舞うべく、
手際良くお茶を入れ始めた。

浩大に頼んでいたのに、アイツは役には立たなかったらしいな。
後で締め上げておかないと。

黎翔は腕を組んで、夕鈴には見えない様に苦々しい表情を浮かべる。

『好き』・・・・・だと。
あの可愛い鈴が鳴る様な声で言って欲しい。
『好き』を奏でる、夕鈴の薄桃色の唇が形作るのを見たい―――。
黎翔の純粋な願い。

コトリ。
茶杯が卓上に置かれた音で、黎翔は我に返った。
見上げた先には、頬を染める愛しの夕鈴がいた。
その夕鈴が、恥ずかし気に言葉を紡いできた。

「陛下・・・・・」
「何だい?」
「あの・・・・・・・・」
「うん」
「その・・・・・・」
「どうしたの?夕鈴」
「私、恥ずかしくて・・・・言葉には、出来ないんですけど」

そう言うと、そのまま夕鈴はフワリと黎翔に抱きついてきた。
突然の夕鈴の行為に、黎翔はビックリして深紅の瞳を見開く。

「ゆ、ゆうりん?」

夕鈴は黙ったまま、黎翔の唇にそっと自身の柔らかい唇を乗せた。
恥ずかし気に揺れる薄茶の瞳を瞑って―――。

しばし室内に流れる、静寂の時。
二人の吐息だけが、聴こえてくるだけ。

ゆっくりと離れた唇から、零れ落ちた夕鈴の言。
それは黎翔を驚かせるモノだった。

「あの・・・・・・・陛下、今日もお疲れ様でした。
これは、私からのせめてもの気持ちです」
「夕鈴、ありがとう。
どんな言葉も・・・そう、『好き』の言葉なんて要らないね。
こっちの方が、とても・・・・・とても嬉しいよ」

言葉よりも。
もっと確かな愛情表現。

キス。
それは甘美なご褒美―――。
訪れる一日の終りのご褒美に、
黎翔はただただ心の奥底が暖かくなるのを感じ入っていた。



終。


**************


今日は『キスの日』らしく。
朝、小学校に行くのにエンジンを掛けると
『今日は5月23日、キスの日です』と、
抑揚の無い音声が自家用車のナビから聴こえてきて、
思わずプッと吹き出した私がいました・・・・・。
ハハハ。
今日はキスの日なんだ~~~ふぅん。
何かSSSでも書ければいいなぁ。

そんなかんなで出来たSSSです。




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そよそよと心地良い風が、開け放った窓から吹き抜けていく、初夏の夜。
昼間はそこそこ暑かったりもするのであるが、
夜は別で結構涼しいを通り越して肌寒かったりもする。

ここは白陽国後宮の一室。
狼陛下の唯一が住まう愛の巣。

「夕鈴・・・このままだと風邪をひいてしまうよ」
「・・・うぅ・・・ん」
「眠いのは解るけど」
「・・・・・・・・」

静かな寝息。
コテンと預けられた頭顱。
自分の肩にそっと掛かる重さ。
これは幸せな重さ。
ハラリと滑り落ちてくる薄茶の髪を一房とって、唇を寄せる。
スンと髪から薫る甘い香りを胸一杯に吸い込んで、
そっと吐き出した。

それは、今まで得られなかったもの。
手を伸ばしても、掌から零れていってしまっていたもの。
初めから無かったもの。

だけど、今はこの手の中である。
それはただの日常の一風景なのかもしれない。
でも、それは自分にとっては非常に得難く・・・・手放せないもの。

「ほら、夕鈴」
「うう・・・・・ん、もう少し・・・・このままで」
「ダメだよ。
さっきから何度もそう言っているよね」
「でも・・・・・眠く・・・・て」

クスリと微笑んでしまう。
答える言葉が途切れて、寝息に変わる姿が愛しくて。

「全く、困ったお嫁さんだね」

頸と膝に両手を差し入れて、そっと抱きかかえて、立ち上がる。
不意にきた浮遊感が少し心許なく思えたのか、
僕の首にしがみついいてくる柔らかな両腕。

本当に可愛い人だ。
これは誰にも渡せない、見せたくない僕だけの宝珠。

「さぁ、夕鈴・・・・・寝所に行こうか」
「・・・・・・・」

完全に寝入った夕鈴には聞こえていないみたいで、
返事は無い。
でも口元は柔らかく微笑んでいる。

今、僕は幸せを感じている。
これが、欲しかったんだ。

だから―――。
絶対に―――。
この手を離さない。
何があっても。


「夕鈴、愛してる」

ポツリと囁いた言葉は、きっと夕鈴には聞こえてないだろう。
でも、その揺蕩う微睡みの中で感じてくれていればいいのだけれど――――。




終。








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【注意事項】

え~~と、こちらにはカッコイイ陛下は存在しません。
なので、少しでもヤバい!!と思ったゲスト様はバックしてくださいませ。






『大体、あんな事くらいで怒るなんて思わなかったんだ』

そう自分の優秀な側近に愚痴ったのは、この国の至高の存在である狼陛下だった。


************


「陛下、お話があります!!」

短く言い放つのは、目の前の可愛くて仕方ない自分の嫁である夕鈴で。
少し気色ばんだ表情を浮かべている事に黎翔は心当たりなんて無く、
しばし考える。

何か、怒られるようなことを自分はしたのであろうか?・・・と。

「話って何?ゆーりん」

能天気な声で、答えてみる。
すると、ブチッと聞こえてきそうな夕鈴の青筋が浮き上がっている表情が見える。

これ、マジで怒っている・・・・・・らしいな。

少しだけ緊迫感が募るが、怒っているのは兎である夕鈴で。
自分はその兎を狩るべき狼なのだ。
何を恐れる必要がある!!

「夕鈴、そんなに怒っていると無駄に疲れるよ」
「疲れる?もう既に疲れ切ってますっっ!!」
「えっ?何か夕鈴の身に大変な事でも起こったの??
李順がまた妃としてのあるべき姿を!と勉強を強いてきたの?
それとも、久々に立ち入り禁止区域の掃除でもしに行ったの?
ああ、それで疲れているんだね。
なら、午後はゆっくりと過ごすといいよ」

黎翔は、怒り心頭な夕鈴を宥めるべく労りに満ちた言葉を掛ける。
ところが、夕鈴からあのはにかむ可愛い笑みが返されることは無かった。

うん?
夕鈴・・・・まだ怒ってるよ。
僕の言葉が足りなかった??

「李順さんから何も言われたわけではありませんし、
それに掃除なんて出来るはずはありませんっっ!!」

黎翔の想像は全く的を得てはいないと言わんばかりに、
夕鈴は速攻否定する。

「・・・・・・・・陛下」
「だから、何?」
「そろそろ私がお話しても良いでしょうか?」

痺れを切らした夕鈴の声音が、低いモノへと変質していく。
何故か、背中に嫌な汗が伝う。
今から発せられる言葉を聞くべきでは無い・・・と本能が教えるみたいに。
黎翔は思わず身構えた。

「陛下、いい加減私の願いを受け入れてもらえませんか?」
「夕鈴の願い?」
「ええ、私の願い・・・・・・それは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

夕鈴の申し出は、簡単に言うとこうだった。
毎日では、身体が持たないって事で・・・・・・。

自分にとって、それは有り得なかった。
だって、夫婦なんだよ。
毎日なんて当たり前じゃないか。
ましてや、今まで偽物夫婦を演じていたんだよ。
自分がどれだけ我慢していたのか・・・・・。
目の前に美味しい兎さんがいるのに、狩ることを禁じられていたのだ。
それがどれだけ忍耐力を有していたのか?!
夕鈴には、僕の苦労が全く分かっちゃいない!!

「いや、そんなの、世の夫婦は当たり前の事だと思うけど」
「当たり前??
それは陛下が勝手に思い込んでいるのでしょう。
そんな事は断じてありません!!」

夕鈴は血相を変えて、否定する。

ええ~~。
そんなに否定しなくても・・・・・。

黎翔は、ガックリ肩を落とす。
しかし、何故そんなに夕鈴は嫌がるのだろうか?
不思議に思った黎翔は素朴な疑問を投げかける。

「夕鈴は、どうして嫌なの?
だって、僕たちは愛し合っているんだよ。
なら、行動で示さなきゃ」
「・・・・・・・・・・・・・だって、恥ずかしいんですよ」

真っ赤に頬を染めて、夕鈴は小さく呟く。
それを黎翔は聞き逃しはしない。

「何が恥ずかしいの?
何も恥ずかしい事なんて無いよ。
寝所での夕鈴は、それはそれは匂い立つような色香があって、
僕はいつもそれに当てられているんだけど。
それの何処が恥ずかしいって言うんだい?」

心底、夕鈴の気持ちが分からない・・・・・。
黎翔は眉根を引きつらせ、考え込む。

「もうっっ!!!そんな恥ずかしい事、口にしないで下さい!!!」

夕鈴は慌てて自分の口を両手で塞いだ。

「・・・・・・毎朝、侍女さん達に興味深々な視線で見られるのが恥ずかしいんです!
ああ、昨晩も陛下に・・・・・・と」
「それがいけない事なの?」
「いけないに決まっているでしょっっ!!!!
もう少し、私の気持ちも考えて下さい!!!!!」

夕鈴は、黎翔に伝わらなくてイライラし大声で叫ぶ。

「もう、いいです!!!
今夜は陛下は後宮には戻って来なくていいです!!
お戻りになっても、私に部屋には入れませんから。
ど・う・ぞ、後宮内の自室でお休みくださいませ」
「え~~~~~~~そんなぁ~~~~~」

夕鈴はピシャリと言い放った。

もうこうなった夕鈴に取り付く島なんてものは無い。
ガックリと肩を落とした黎翔は、部屋を出て行った。


そして、冒頭の言葉を発することになるのだ。



終。



瓔悠

Author:瓔悠

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